米中首脳会談、その後

2026.06.16


歴史的な首脳会談だったはずですが、1か月ですっかり色あせてしまった感があります。
習近平主席は、トランプ大統領に「トゥキディデスの罠」の話をして、「衰退した米国に代わって中国が取って代わる」という示唆を匂わせたようです。
しかし巷の噂では、トランプは「トゥキディデスの罠」の話を知らなかったようで、習近平の空回りだったと言われているようです。
 
「トゥキディデスの罠」の話をご存じの方は多いと思いますが、簡単な注釈を。
この話は、既存の覇権国に対し、急速に台頭してきた新興国が力を付け、やがて互いの恐怖や猜疑心がエスカレートしていき、避けられない戦争に陥いる現象を指す国際政治学上の概念です。
 
中国(というより習近平)の思惑は単純です。
今や格下となったロシアを従え、米国を共通の敵と明言し、ついでに日本を「脅威」と名指しして牽制する。
つまり、東アジアの安全保障環境から米国を遠ざけ、中国が主導する地域だと世界に認めさせることにあります。
その戦略の一番の邪魔者は日本です。
岸田、石破内閣当時の日本は、こうした中国の思惑の協力者(手下?)として機能していました。
しかし、高市首相になって日本の態度は180度変わりました。
その象徴が台湾有事発言だったわけです。
なぜ、中国があれだけ執拗(というより異常)に高市首相を攻撃し続け、日本の野党を使ってまで発言撤回を要求し続けたのか。
それを冷静に分析すれば、中国の焦りの程度が分かります。
 
中国が台湾進攻を諦めていないことは明白であり、不安定なトランプ大統領を揺さぶる手を緩めることは、これからもないでしょう。
中国側からすれば、台湾進攻の最大の障害は米国であり、次が日本です。
トランプ大統領は、米中首脳会談において台湾への武器売却の実行を明言せず、保留するとまで発言しました。
台湾側の衝撃は大きく、同国の政局が不安定化する兆しすら表れています。
議会の過半数を握る野党の国民党は、中国へのすり寄りを加速させています。
同党の鄭麗文(ジェンリーウェン)主席は6月初旬に訪米しましたが、トランプ大統領だけでなく政権の要人にも会えずに目論見は外れました。
米側は彼女を「中国の代理人」と受け止めたようです。
一方の頼清徳(ライ・チントー)総統も米国をつなぎ留めることに必死ですが、その過程で日本にかなりの期待を寄せています。
日本は、高石政権に代わってから自らの立ち位置を明確にしています。
頼清徳総統にとって、高市首相の台湾有事発言は苦境の中での光と映っているはずです。
さらに武器輸出三原則の見直しも力になっているはずです。
 
中国の習近平主席にとっての悪夢は、米国と日本が共同で台湾進攻を止めるというシナリオが現実化することです。
であれば、その悪夢を「正夢」にすることが、台湾海峡および日本の平和にとって何よりも大事であることは明白です。