高市政権の今後
2025.11.17
誤解を恐れずに言えば、高市首相の台湾有事に関する発言は、すぐに忘れ去られるでしょう。
なぜなら、今や年中行事のような話題だからです。
2023年8月、当時の自民党副総裁の立場で訪台した麻生太郎氏は、台湾有事を念頭に置いた「戦う覚悟」なる発言をしました。
当然、中国は猛反発し、日本の野党も一斉に非難しました。
この麻生発言は、今回の高市発言など問題にならないくらい踏み込んだ発言でした。
しかし、2年経った今、みな、そんなこと忘れています。
今回も同様で、やがて忘れ去られる話題に過ぎません。
そんなことより、高市政権の命運を制するのは経済対策です。
経済政策に対する能力に欠ける立憲民主党が、意味のない幼稚な論争を仕掛けたことで肝心の経済対策に対する議論が深まっていません。
これからの議論の深まりに期待したいところです。
しかし、先日の国会での城内実 (きうちみのる)日本成長戦略担当大臣の答弁は“ひどい”ものでした。
立憲民主党の古賀之士議員の「時給1500円の達成目標はなくなったのか」の質問に対し、「なくなってはいない」とだけ答えれば良いのに「高市総理から賃上げ環境整備担当の私に、物価上昇を上回る賃上げが継続する環境整備に向けた戦略策定への指示があった。
この戦略の中で、最低賃金を含むこれまでの政府決定への対応について、経済動向も踏まえて具体的に検討していくということになります」と、何を言っているのか意味不明な回答を、それも“しどろもどろ”に答弁しました。
これに対し古賀議員は、米国ニューヨークの市長に当選したゾーラン・マムダニ氏の『時給4500円の公約』のように「明確な数字を挙げる」ことを要求しました。
城内大臣を“頼りない”と見たのか、高市首相が引き取り「今の段階で、明確に目標を示すのは非常に難しい。ちょっとでも上がっていくように、春闘の数字もあるし、それぞれの党で目標とされている数字もあるかと思うが、政府として統一したものは、今はございません」と答弁した。
また、財務大臣の片山さつき氏は「おっしゃる通り、実質賃金をプラスにしていくことは大変大事なことで当面の経済政策の肝中の肝だ。だが、総理も言ったように給料が払えるかどうかを全部国が決めてしまったら極めて社会主義的になる」と、やはり金額や時期の明言は避けた。
発足1か月も経たない新政権に具体的な金額や実施時期を無茶ぶりで求める立憲民主党も“ひどい”ですが、それを切り返せない新米大臣の未熟さは、今後、政権の弱点となる危険があります。
高市首相が、夫婦別姓などの話題に対し“そっけない”のは、このような未熟な大臣を抱えながら経済向上を果たす難しさを痛感しているからでしょう。
他の話題に関心を向ける余裕など無いということなのです。
となると、野党は、今後も高市首相の経済向上策の妨害に終始することは確実です。
政権がこの妨害に屈すれば日本経済は落ち込み、屈しなければ経済は向上するということになります。
高市首相には、このような妨害にめげずに、日本経済の復興に向けて全力を掛けることを望みます。

