今後の韓国は、少しは変わるでしょうか?

2023.03.15

【国際・政治】2023

日本では“いわゆる”という定冠詞が付く徴用工問題に対し、韓国の尹錫悦政権は、韓国が肩代わりするという解決案を日本に提示しました。
その代わりに、日本側に“なんらか”の謝罪に近い反応を期待しています。
それに対し、岸田首相は過去の政権で行なった「お詫び」を踏襲することで韓国側に応える方針のようですが、それすら「危ないな」と思えるのが、今の日韓関係です。
 
たしかに、尹錫悦政権は日韓関係の改善に必死ですが、韓国の世論がそれを容認するかどうかは別問題です。
それでも伊大統領がそこまで必死になるのは、韓国の経済および安全保障が危うい状態になっているからです。
 
中国や北朝鮮に迎合していた前政権の姿勢は、日本にとっては“苦々しい”ものでしたが、それが前政権の考えた韓国の「生きる道」だったわけです。
その方針とは正反対の尹錫悦政権の誕生で韓国が西側から離反することは食い止められました。
しかし、先の大統領選挙での票差は紙一重でした。
まさに、韓国民の意識は“真っ二つ”なのです。
まして、対日感情は多少良くなった程度に過ぎないと認識すべきです。
 
戦前の日本政府には朝鮮の独立を容認しようという意見もあり、かなりの現実味を帯びていました。
1910年の朝鮮併合まで半島の統治者であった李氏朝鮮の皇族は、日本の皇族に準ずる王侯族として皇族と同様の扱いを受けていましたから、復活は容易でした。
あの戦争がなかったなら、朝鮮は独立して、日本との同盟関係となっていたと思います。
しかし、その全てを開戦、そして日本の敗戦が壊してしまいました。
半島の独立は南北に分かれてしまい、南の韓国では米国に亡命していた李承晩が初代大統領となりました。
この時、朝鮮の王族を復帰させ、日本と同じような国家体制とする案もありましたが、李承晩が強引に米国を説き伏せ、自らが大統領となりました。
こうした経緯が伏線にあり、李承晩は自己の正当性を誇示するため「国民の不満を反日に向ける」ための教育を強力に進めました。
これが、心の奥底で“くすぶっていた”韓国民の自意識の高さを刺激してしまい、今日まで続いているわけです。
 
その後、金泳三元大統領の時代には、「河野談話」「村山談話」といった日本の証言を引き出したことで、日本政府の思惑とは反対に反日世論はすっかり力を得てしまったのです。
こうした日本の政策は、真逆の結果を招いたわけです。
以来、韓国のメディアは左派の活動ばかりを取り上げるようになり、日韓問題は、ほとんどが「日本悪き」の構成になってしまいました。
そして、文在寅政権の反日教育の徹底で、中年以下の人々は「反日教育」しか知らず「反日ありき」の結論報道しか目にしなくなってしまったわけです。
 
もちろん韓国でも反日教育が「おかしい」と気がついている人もいますが、そうした人たちは声を出せないのです。
声を出せば左派系市民団体の批判の集中砲火を受け、社会的に抹殺されかねないのです。
「日本好き」的な発言をした韓国の芸能人が執拗な迫害に合う姿は、日本にも伝わっています。
また、慰安婦問題で実際の資料を基に本を書いた大学教授などが激しい糾弾にさらされる姿も見聞きしています。
韓国で、こうした声をあげる勇気は並大抵のことではないのです。
 
今の尹錫悦政権が、どの歴代政権より日韓問題修復に力を入れていることは、いまのところ間違いないと思ってよいでしょう。
しかし、反日に凝り固まった教育という根本から改革しないことには、先は暗いです。
その中での突破口は、観光やビジネスでの実体験やSNSでの投稿です。
尹錫悦政権の5年間で、こうした触れ合いが続き、教育改革が進み、次の政権に受け継げられていくなら、その先に望みはあるかもしれません。
それまで日本は、嫌韓反応は抑えて、しかし過度に“のめり込まず”、長い目で関係改善の合意を少しずつ進めていくしかないでしょう。
次の政権で元の黙阿弥になることも想定して、適当な距離は常に置くべきです。