国債は、どこまで発行可能なのか
2026.01.06
日本だけでなく世界各国は企業や個人を助けるための補助金を出しています。
米国はスタートアップ企業を支援する補助金が多いのですが、日本は倒産を防ぐためや一律ばらまき型の補助金が多いのが特徴です。
こうした目的がどうあれ、補助金の大盤振る舞いは、当然、公的債務の膨れ上がりを招きます。
日本の公的債務(国債+地方債)残高は、“実質GDP”の213.5%と先進国では断トツのトップです。
それゆえ、「財政健全化」を主張する政治家、評論家と、「積極財政」を主張する政治家、評論家は、殴り合いになりそうなくらいの激しい意見の応酬になっています。
国の台所を預かる財務省は、もちろん「プライマリーバランス(つまり、歳出は歳入の範囲内に抑える)」を強く主張しています。
こうした声に押されて、岸田、石破政権は増税を主張してきました。
野党の立憲民主党・野田代表は、かつて政権を担っていた当時、消費税の増税に踏み切ったご本人ですから、同じ主張を展開しています。
そこに誕生した高市政権は、「責任ある積極財政」を主張しています。
その最初の試金石が、2025年度補正予算の編成でした。
一般会計で18兆3034億円と、24年度比で31%の増加となりました。
25年度末の税収は80兆円台に乗る見込みですが、当然不足です。
その穴埋めの国債発行額は、24年度補正の6.7兆円から11.7兆円と大幅に増加しました。
今後の舞台は2026年度の本予算に移ります。
岸田、石破政権における予算編成は、「プライマリーバランスの黒字化目標」による「歳出の目安」によって規模は硬直状態となっていました。
それに対し、高市首相は「インフレ対応や社会保障改革」を掲げ、「プライマリーバランスの黒字化目標」には言及していません。
この首相の姿勢が、本予算にどう反映されるかが大きな焦点です。
その規模によっては国債発行の大幅な増加が必要になり、野党や財政規律を主張するマスコミ・評論家の批判を浴びることが必至です。
しかし、大事なことは発行額ではなく、GDP増加率との比較です。
そこで、経済崩壊の懸念が大きくなっている中国との対比でみてみることにします。
日本と中国の比較(中国は元・円レート21円で換算)
・公的債務 :日本 1200兆円、中国 2814兆円
・名目GDP:日本 620兆円、中国 2880兆円
・GDP比 :日本 193.5% 、中国 97.7%
「なんだ、中国のほうが健全じゃないか」と思われますか。
1995年の中国のGDPは、わずか27兆円でしたから、30年で100倍超となったわけです。
「え~、ウソくさい」と思われたのではないでしょうか。
正直な話、真相は分かりませんが、中国の統計データがあてにならないことは、今や世界の常識です。
欧米調査機関が発表しているデータでは、中国の公的債務は円換算で5040~6300兆円となっています。
中国発表のGDP値が正しいとしても、GDP比は1.75~2.18倍となり、ほぼ日本と同レベルです。
しかし、中国発表のGDP値は、地方政府から上がってくる報告をそのまま加算していますので、信憑性はかなり低いと言われています。
そこで、外貨準備高を調べてみることにしました。
外貨準備高は米国債の割合が高いので、水増ししにくいからです。
その額は、2025年9月末で3兆3387億ドル(円ドル155円で、517兆円)です。
2001年では2200億ドルでしたから、24年で15倍です。
GDPは100倍に増加しても、国の貯金ともいえる外貨準備高は15倍しか増えていません。
GDP値は、かなり水増しされている可能性が大と言わざるを得ません。
仮に、GDPの増加割合が外貨準備高の増加程度だと考えると、GDPは1351兆円となります。
2倍強、水増しされている計算になります。
このように、数字を水増しすると、どこかに“おかしい”ところが出てしまうものです。
話を日本の国債発行額に戻します。
現在の経済状態が続くようであれば、日本国債の銀行の買い入れ余力は110~500兆円となり、限界に近いといえます。
しかし、GDPが伸びていけば、その分、買入れ余力は増えていきます。
つまり、「国債は国の借金だから返さなければならない」という考えから、「国債発行を続けるには、GDPを上げなければならない」に考えを切り替えなければならないのです。
ちなみに世界全体の負債総額は、国家債務100兆ドル(1京4900兆円)、民間債務226兆ドル(3京3674兆円)、合わせて4京8574億円と、感覚がまったく追い付けないレベルになっています。
それでも世界経済は回っています。
経済とは「数字のマジック」なのでしょうか。

