米国の下院の混乱から2024年大統領選を予想する(民主党では)

2023.02.15

【国際・政治】2023
 
民主党は、中間選挙の予想外の善戦で、皮肉にも次の大統領選での候補者選びが難しくなっています。
バイデン大統領は、80歳になったこともあり、「中間選挙の敗北で次は無い」と見られていましたが、逆になり、俄然、本命候補となっています。
当のご本人は、再選を目指して立候補するかどうかを2023年の早い時期に決断するとしていますが、やる気満々です。
確かに、バイデン大統領の求心力は回復傾向にあり、次の有力候補と見られていたカリフォルニア州のニューサム知事(55)等は、「バイデン氏が再選をめざすなら、自分は立候補しない」と発言しています。
 
そうは言っても、バイデン氏の年齢は、やはり大きな不安材料です。
2024年の選挙は82歳で迎え、仮に当選して任期を終える時には86歳の高齢です。
「大丈夫かな?」の声は次第に大きくなってくるでしょう。
 
となると、副大統領のカマラ・ハリス氏(58)の存在が重要になってきますが、目立った実績もなく不人気にあえいでいます。
就任時には、女性で、黒人で、アジア系の初の副大統領として鳴り物入りで起用されましたが、すっかり色あせた感じで、メディアもほとんどスルー状態です。
バイデン氏は、自分が2期目を目指す場合は、彼女を再び副大統領候補に指名すると発言していますので、自分の後の大統領候補にと考えているのは確実です。
2023年中に、若い有力候補が浮上してこない限り、民主党はバイデン・ハリスのコンビ継続で決まりのようです。
 
そのため、民主党幹部は、次の選挙でハリス氏を押し上げようと、大統領候補選びの仕組みを大胆に改革する方針のようです。
これまでの党員集会を廃止して予備選挙に一本化する案が有力になっています。
さらに、これまでは、白人が多い中西部アイオワの党員集会と、東部ニューハンプシャーの予備選挙からスタートしていましたが、これを黒人が多い南部サウスカロイナを最初の予備選挙とし、その後にヒスパニック系が多い西部ネバダを続け、3番目に白人が多い東部ニューハンプシャーと続ける案です。
その後は、南部ジョージア、中西部ミシガンの順というように、白人の多い州と有色人種の多い州をモザイク状に交互に実施していくという案です。
この案には、バイデン大統領の強い意向が反映していると言われています。
建前は「より多様性を反映させるため」としていますが、黒人女性の支持率が高いハリス氏に有利に働くような案であることは確かです。
 
この改革案は、来年2月の民主党全国委員会で決まる予定です。
ただ、これまでは緒戦の舞台として全米から注目を集めてきたアイオワ州などは反発していますから、なお紆余曲折もありそうです。
 
昨年の中間選挙では、年齢が若い層ほど民主党の支持が高い傾向が示されています。
激戦州で民主党候補が競り勝った決め手も、若者の投票率が比較的高かったからでした。
2024年には、有権者の世代交代がさらに進むわけです。
これまで社会の中核を担ってきたベビーブーマーは、全体の4分の1ぐらいまでに減り、現在40歳前半から下のミレニアル世代と次のZ世代を合わせた“新しい世代”が、4割以上を占めると予測されています。
両党の大統領候補が誰になろうと、こうした“新しい世代”から支持を得ることが勝敗を分ける鍵になりそうです。
このため、民主党は、次の大統領選挙を勝ち抜くため、女性やマイノリティー、若者からの支持を固めたいとしています。
その中で、エイミー・クロブシャー上院議員らの名前が上がるなど、まだまだ余談を許さない情勢です。
 
一方の共和党は、年齢の高い白人男性に偏ってきた支持層を、女性やマイノリティー、若者にも広げられるかどうかが課題になり、トランプ氏の芽は無くなりつつあります。
その中で、元国連大使でインド系の女性であるニッキー・ヘイリー氏(51)が名乗りを上げました。
こちらも、まだまだ余談を許さない情勢です。
まずは、両党の候補者選びに注目です。