岸田首相は、5月の広島G7まで?

2023.01.15

【国際・政治】2023
 
岸田首相は「インフレ率を超える賃上げを」と、さかんに賃上げアピールを繰り返しています。
ご丁寧に、連合の新年交換会に出席して「5%を超える賃上げの実現を支援する」とのリップサービスまで行いました。
国民の多数を占めるサラリーマンを意識してのことでしょうが、評価する声はほとんど聞かれません。
どうも、岸田首相の言葉は、聞く人に対する「訴求力」に乏しいようです。
情緒的な言葉で言えば、「心の琴線に響かない」のです。
「賃上げを」の言葉の後に、防衛費増額や少子化対策用として増税に言及するという“ちぐはぐ”さに、国民は白けてしまうのです。
 
岸田首相は、「首相になりたい」という名誉欲のみが強く、「この国をどう導く」という強い理念を持っていたわけではないのでしょう。
良くも悪くも安倍元首相には「日本を戦後レジームから脱却させる」という明確な意志がありました。
戦後レジームとは「日本を戦前の負の遺産に縛り付けている内外からの鎖」であることは明らかです。
ゆえに、安倍氏の個々の手段に間違いは多かったけれど、理念としては“真っ当”でした。
安倍政権が長期政権になったことは、それを国民の多くが支持したことの証です。
 
岸田首相は、その安倍氏の威光をバックに首相になったわけですが、突然にその後ろ盾を失ったことで、羅針盤なき航海になってしまっています。
ならば、腹をくくり、明るい方向は分かるので、「こっちへ行くぞ」と国を引っ張っていけば良いのです。
5月の広島G7は、その絶好の機会です。
それまでに自分の理念を固め、世界に発信し、返す刀で国民に繰り返し説明し実行していけば良いのです。
 
しかし、最大の懸念は、岸田氏のブレーンの実態が見えないことです。
そもそも、「自身を支える力を持ったブレーンがいるのか?」という疑問すら湧きます。
企業経営でも、大企業はもとより、中小企業だって、トップ一人の能力だけで作った理念は弱いし、実行段階で頓挫し、迷走する危険も大きいです。
夫婦ふたりだけの商店だって、ブレーンとなる連れ合いの助言や助力は欠かせません。
一人だけの自営業者でも、適格な助言をくれる外部ブレーンの存在は必要です。
 
議長国として迎えるG7サミットは、得意の英語を生かす岸田首相にとっての絶好の舞台です。
インパクトある政策を世界に発信し、その実行のためとして現在の自公の枠組みを終わらせるのです。
与党以上にひどい野党の姿を考えると、国民の中に与野党の政権交代の声は起きません。
なので、与党の枠組みを大胆に変える政策を発表するのです。
当然、与党内の大きな反発を呼ぶでしょうが、総選挙に打って出て国民の審判を仰ぐのです。
これが民主政治としての王道です。
そして、解散権こそが首相の持つ最高の切り札なのです。