日本は同じ過ちを犯してしまうのか

2025.05.01


日本は、1955年から始まる高度成長期を過ぎた後も経済成長を続け、経済大国への道を駆け上っていきました。
そのピークの1995年のGDPは、なんと米国の72.6%に迫っていました。
しかしそれから30年、2025年現在、GDPは米国の13.7%にまで落ち込み、2010年に抜かれた中国の背中も遠くなり、2023年には円安の影響もありドイツに抜かれ第4位に後退しています。
まさに「失われた30年」です。
どうして、こうなってしまったのか。
果たして、この先、盛り返せる日は来るのでしょうか。
 
米国の社会学者エズラ・ボーゲルが著書「ジャパン as No.1」を発表したのは高度成長期からバブルへ向かう1979年でした。
その本の予告(?)どおり、日本経済は米国を追い落とす勢いで急成長を続けました。
焦った米国は、1985年9月22日に米国ニューヨークのプラザホテルでG5の会議を開き、各国の財務トップと中央銀行総裁が為替レートの安定化策で合意しました。
これが、世に言う「プラザ合意」です。
主な合意内容は、各国の外国為替市場の協調介入によりドル高を是正しアメリカの貿易赤字を削減し、アメリカの輸出競争力を高めることでした。
2025年の今は、この時のデジャブ(既視感)を見ているかのようです。
 
当時と大きく異なっているのは、ターゲットとなっている国とその対立軸です。
1985年のターゲット国は、まさに日本でした。
欧米5カ国vs日本という構図になり、多勢に無勢の日本は屈服するしかありませんでした。
結果として、世界シェア80%近かった日本の半導体に対し米国は安全保障上の脅威として「スーパー301条」を適用し、日本の半導体ビジネスは崩壊しました。
 
それから40年後の現在、再び大きな貿易赤字を抱えた米国で「第二のプラザ合意」の必要性が語られ始めましたが、今回のターゲット国は日本ではなく中国です。
また、40年前は米国についた欧州各国は、トランプ大統領の過激な政策で米国と敵対関係にあります。
つまり、米国vs中国の構図だけでなく、米国vs欧州(カナダも欧州側です)という対立軸の二重構造になったわけです。
こうした状況に、日本はどうすべきでしょうか。
 
石破首相は、ひたすら米国に「お目こぼしを・・」のお願い外交で凌ぐつもりで、他に策はないようです。
一方、中国との関係はというと、ビザの大幅緩和など親中姿勢が目立ちます。
こうした日本の姿勢に対し、どこかで米国から圧力が掛かる可能性がありますが、石破首相がその対策を考えている様子は見えません。
40年前と状況は同じではなく、日本が打つべき手はあります。
しかし、今の日本政府が40年前以上に無策なことが最大の危機です。
今年中に、政治の仕組みを根本から変えなくてはなりませんが、その責任は国民にあります。
その話は、次号(5/15号)で。