トランプ大統領の狙いは中国にある
2025.04.15
ハラリ氏は、第2次大戦後に人類が繁栄したのは「強い国が一方的に小さい国を征服してはならないというルール」が作られたからだと言っています。
しかし、ロシアのウクライナ侵略と、強国の力を振り回すトランプ氏の復権によって、このルールが破られつつあるとして、ハラル氏は危機感をあらわにしています。
歴史を振り返ると、1930年代の大恐慌時代に米国は高関税による貿易戦争を引き起こし、その結果、世界は大戦へと突入していきました。
その当時との類似性から「世界は第3次大戦に向けた時代に入った」と指摘する評論家もいます。
そうした見方の是非は置くとして、世界が対立の時代の入り口をくぐろうとしていることは事実です。
経済の国境を低くすれば経済の流れが活発になり世界経済は発展し、平和になります。
しかしトランプ大統領は、これとは真反対の、とてつもなく高い関税の壁で経済の流れを阻害する政策を推し進めています。
こうした彼の真の狙いはどこにあるのでしょうか。
それは、ずばり中国の覇権を阻止することにあります。
近年、世界中に安い中国製品が溢れたことで中国経済は巨大に膨れ上がりました。
その経済力を背景にした軍事力増強で、中国は米国の覇権を脅かすまでになっています。
さらに中国は、自国中心の経済チェーンを全地球的に築き、世界の覇者になる野望を隠そうとしなくなりました。
その中国に欧州や日本がなびいているという現状認識がトランプ大統領にはあります。
だが、ここまで各国と中国の経済的結びつきが強くなった現状を簡単に変えることは難しい。
ゆえに、米国の力がまだ強いうちに、強硬に本丸の中国経済を叩こうとしているのです。
そうして世界中に例外なしの高関税を課すとしたトランプ大統領ですが、わずか半日で90日間の関税アップの停止という命令を出しました。
かつ、この停止期間中に各国との個別交渉を行うことを発表しました。
世界全体を相手にするのではなく、各国それぞれと個別にディール(取引)を行って敵と味方をはっきりさせようとの狙いがうかがえます。
しかし、90日間で70カ国との交渉などできるのでしょうか。
おそらく、個別交渉は米国と貿易額の大きな国に限り、後は一律的な関税にするのだと思われます。
今回、関税アップの停止対象から中国を外したことからも、中国潰しの目的は明白です。
かつ、最初の交渉相手に日本を選んだのは、中国になびいている今の石破政権に対して脅しを掛け、中国から離反させ、最初の成果にしようとの狙いがあるとみています。
しかし、その最中に自民党の森山幹事長と公明党の斉藤代表が相次いで中国を訪問するわけです。
無策の石破首相を良いことに、親中派勢力が自分の利権を固めておこうとする動きです。
トランプ大統領は怒り心頭でしょうから、米国に行かされる赤沢経済再生担当大臣は、針のむしろに座らせられる役回りで、気の毒なくらいです。
それほど、自公政権は親中派に牛耳られているのでしょうか。
石破首相にリーダーシップがあるのか、はなはだ疑問ですが、今後の事態には要注意です。
次回は、米国と中国、それぞれの今後の戦略を探ってみたいと思います。