ウクライナの戦況
2023.05.15
【国際・政治】2023
毎日、様々なチャンネルを通してウクライナの戦況をチェックしていますが、ロシア軍には戦略はおろか、明確な指揮命令系統も機能していないように感じます。
激戦が続く東部戦線の中心となっているバフムトは、陥落間近と見られていましたが、ウクライナ軍の驚異的な粘りで膠着状態となり、今や形成は逆転している様子です。
バフムト市街の北側と南西側でウクライナ軍はロシア軍を圧倒し出していて、バフムトのロシア軍は逆包囲されかねない状況になっています。
バフムト戦線でロシア軍の中心になっているのが、民間軍事会社のワグネルです。
創設者とされるプリゴジンの“いかつい”顔が煩雑にTVやネット上に登場するので、おなじみ(?)となっている部隊です。
バフムトには、ワグネル以外に10社程度の民間軍事会社が入っていると言われていますが、民間(?)の軍事会社がロシアでは大手を振るって活動していることに驚くしかありません。
ロシアが、とても法治国家とはいえない国である実体がどんどんと明らかになってきています。
混乱はバフムトだけでなく東部戦線全体に及んでいるようです。
現在、どの戦線でもロシア軍は単純な攻撃を繰り返すだけで、戦果に乏しく損害ばかりが増えていく状況に陥っています。
この状況は、正規軍も民間軍事会社も、てんでバラバラで、全体を統率する存在がいないことを示しています。
ネットには、絶望して自決するロシア兵の映像までアップされています。
「支離滅裂」がふさわしい状態といえます。
正規軍が多くの将校を失ったことで、もはや効果的な作戦立案も実戦での指揮もできなくなっているのではないかと思われます。
全体戦略を練る役目は、ショイグ国防大臣とゲラシモフ参謀総長なのですが、どうも彼らの影が薄く、ワグネルのプリゴジンに呼び捨てにされる始末です。
しかし、彼らがまったくの無能とは思えず、その理由を考えました。
そして、以下の結論を得ました。
プーチン大統領は、どうも「自分以外の誰にも手柄を挙げさせたくない」のではないでしょうか。
自分の手柄にするつもりだった侵攻初期の電撃作戦が大失敗に終わった後は、無理な命令を出しては司令官の罷免を繰り返し、ついには参謀総長のゲラシモフを司令官に任命するという首を傾げる人事に至っています。
参謀は作戦の立案が主任務であり、司令官は前線での実戦指揮が役割です。
しかし、ゲラシモフが前線に出たという報道はなく、実際は最高司令官不在状態ではないかと思われます。
こうした人事の結果、最前線の正規軍は指揮不在状態となり、損害だけが増える事態に陥っています。
一方のウクライナ軍には、欧米による武器弾薬の支援や兵員訓練だけでなく、米軍が作戦立案を指導しているものと思われます。
つまり、参謀本部は実質、米軍の管轄下にあるのではないかと思われるのです。
こうして立案された作戦をザルジニー司令官が的確に指揮しているのではないでしょうか。
今や戦局の目は、ウクライナの反撃がどこから始まるのかということに注がれています。
これに関しては出どころの確かな情報が少なく、予測は難しいです。
もし、この攻勢に失敗すれば一転してウクライナが不利になるので、徹底した情報統制を敷いているようです。
心情的には、ウクライナの反転攻勢が成功し、クリミヤ半島を含めた領土の奪還をもって戦争終結への道ができることを期待していますが、そこまでの可能性はまだまだ低いでしょう。
引き続き、情報を追っていきたいと思います。