政局の行方
2024.11.18
今回の衆院選は、日本の政治が「変わるかもしれない」という期待を少しだけ感じさせる結果でした。
しかし、立憲民主党の野田代表の力では野党結集は無理(というより何もできない?)で、石破首相が少数与党のまま続投となりました。
立憲民主党は確かに議席数を大幅に増やしましたが、小選挙区で与党が“ずっこけ”たことで議席が転がり込んだだけの結果です。
人気のバロメータを示す比例票は0.6%しか増えていません。
つまり、この党に政権担当能力がないことは国民に見透かされていたわけです。
こうした同党の弱点を突き、石破首相(というより森山幹事長)は、立憲民主党と組む「大連立」を目論んでいるのではないでしょうか。
国会の予算委員長を始めとする重要な委員長ポストを立憲民主党に渡すという策略(?)から、そうした狙いが透けて見えるのです。
当初、自民党は自公に国民民主党を加えて過半数を維持することを画策しました。
財務省は嫌な顔をしていますが、国民民主党が主張する「103万円の壁」を飲むことで実現できると考えたようです。
しかし、国民民主党が与党には入らないことを明言したことで、この案は後退しました。
そこで、立憲民主党をポストで釣る策に出たわけです。
確証はありませんが、このシナリオの背景に財務官僚の策略の匂いがするのです。
目玉の予算委員長に就任した安住淳氏は、13年前の野田政権時代に財務大臣に就任しました。
このときに財務官僚とのパイプができたのだと思います。
そもそも立憲民主党のバックにいる労働組合「連合」は、公務員労組と企業労組の寄り合い世帯です。
そのうちの公務員労組は岩盤ともいえる立憲民主党支持です。
そこからも、同党と財務官僚たちとの距離が近いことが伺えます。
一方、国民民主党は28議席と大幅に議席を伸ばしました。
特に、比例票が2.4倍増の617万票となり、公明、維新を上回り、第三党に躍り出ました。
ただ、本当は31議席になれたはずが、比例の候補者不足で3議席を逃したことは痛恨のミスでした。
同党の今回の躍進は「国民の手取りを増やす」という分かりやすいキャッチコピーが効きました。
若年層を中心に、働く世代に広がる不満・不安を他党は軽視し過ぎていたわけです。
このように、上手に国民の関心を引き付けた同党ですが、政党としてはまだまだ足腰が弱く、来年の参院選に向けて組織強化をどこまで進められかが大きなカギです。
その努力結果を見てからでないと同党の将来の判断はできません。
と思っていたところ、玉木代表の不倫騒動です。
犯罪ではなく内輪ネタですが、イメージダウンは大きいし、代表としての脇の甘さは大きな問題です。
しかも、代わりとなると榛葉幹事長しかいないという層の薄さも問題です。
榛葉幹事長は、代表よりNo.2として力を発揮するタイプなので、玉木代表を下ろすという判断は難しいでしょう。
同党は、この危機をどう乗り越えていくのでしょうか。
少々無責任ですが、「高みの見物」といきましょうか。