新総裁の財政政策は?
2024.10.02
前号で、自民党の総裁選への立候補は「最終的に5~6名ぐらいに絞られるかな」と書きましたが、結果は9名と私の予想を大きく上回りました。
これが、石破氏に有利に働いたと考えています。
さて、石破氏の経済政策ですが、正直言って、さっぱり分かりません。
彼の発言内容が聞き取れないからです。
「声が聞こえない」のではなく、常に「主題を明確にせず、結論を“うやむや”にする」ので、「何を主張したいのかが、分からない」のです。
首相になっても、このような言い方に終始するのであれば、短命に終わるでしょう。
来月の国会で首相に指名されるのは確実ですから、最初の所信表明の内容に注目したいと思います。
ですが、その前に私の予測を述べます。
以前にも述べましたが、積極財政の姿勢を明確にしている高市氏に対し、石破氏ははっきりしません。
「地方活性化」を口にしますが、地方に対するリップサービスでしかなく、具体策がありません。
気になるのは、財務省との関係です。
財務官僚をリードできれば良いのですが、その逆になる可能性が危惧されます。
現在の岸田首相がそうでしたから、読者のみなさまはこうした危惧が良くお分かりと思います。
財務省としては、積極財政を公言している高市氏は阻止したかったので、少しほっとしていることでしょう。
ただ、前述したように、石破氏の経済政策は、これまでの言動を見る限りまったく不明です。
もしかしたら、明確な政策を持っていないのかもしれません。
前号で、財務省は石破氏のことを「経済に弱く、コントロールし易い」と考えている節があると書きました。
これまでの石破氏の経済に関する発言内容に鋭さを感じることがなかったからです。
知っている財務省OBも同様のことを言っていました。
そうなると、気になるのは石破氏の経済ブレーンです。
それが誰かが分かると、そのブレーンの意見や考えから、今後の方向を推測できます。
しかし、このブレーンの影もよく見えないのです。
ただ、ちらちら見え隠れする情報から考察すると、石破氏には増税派の匂いがします。
金融所得課税とか法人税率引き上げなどの言動が出たこともあります。
所得税でなければ、国民は反対しないだろうとの思惑があるのかもしれません。
企業経営からすると、この危惧が、かなりの不安要素です。
新総裁は、10月中に総選挙を行う意向のようですが、株価の大幅下落などの現実に焦っている感があります。
また、総裁選を争った有力候補のうち、小泉氏はともかく、高市氏と小林氏の取り込みに失敗し、大きな火種を抱えたことから、早期解散で国民の関心を逸らそうとの狙いも透けて見えます。
まずは、新首相の経済政策に注目です。