イラン情勢と中東の行く末

2026.06.16


米国による突然の攻撃で始まったイラン戦争ですが、トランプ大統領がイスラエルに背中を押されたことが今では明らかになっています。
しかし、「だからイスラエルが悪い」とは言えません。
共和党の後ろにはユダヤ系の大富豪たちがいます。
同党は、彼らの莫大な資金力がなければ選挙を戦えません。
しかし、彼らはMAGA派のような熱烈なトランプ信者ではありません。
彼らは、自分の商売がすべてです。
民主党のほうが有利だと考えたら、すぐに鞍替えします。
現在の彼らはトランプの奔放さと無責任な言動には辟易し出しています。
そのことが選挙の予想に出てきて、トランプはかなり焦っています。
 
一方、イスラエルは周囲を敵対する国に囲まれている小国です。
ハリネズミのように強力な軍事力で武装し、核兵器を所有していると言われていますが、同国の立場に立って考えれば「無理もない」と言わざるを得ません。
現在、周辺国で同国を承認しているのはエジプトだけですから。
 
もう「過去のこと」のようになりつつありますが、
イスラエルの野外音楽フェスティバルをガザ地区を支配していたイスラム組織ハマスが襲撃し、360人以上の死者と多数の民間人が拉致された悲劇が起きたのは2023年10月です。
あの襲撃の背景にハマスを支援するイランがいることは誰もが知るところです。
当時のイランは焦っていました。
「サウジアラビアがイスラエルを承認する」という情報がイランにもたらされたからです。
イランは「それはマズイ、阻止せねば」となり、ハマスを動かしたのがあの惨劇の背景です。
表面的には、この“たくらみ”は成功し、サウジの腰は引け、イスラエル承認は白紙になりました。
 
その反対にイスラエルは、サウジの承認で同国への脅威が減ると油断したことを悔いましたが、逆に利用することに考えを切り替えました。
そして、“やり過ぎ”といえるほどの猛攻撃をガザ地区に対して行いました。
また、ハマスだけでなくイスラエルに敵対する勢力への無差別ともいえる攻撃を激化させました。
 
しかし、軍事強国とはいえ、イスラエルにイランとの全面戦争を遂行できるだけの力はありません。
そこで、背後からトランプ大統領を動かした結果が突然のイラン攻撃だったわけです。
イランは当然反撃し、イスラエルだけでなく湾岸諸国にある米国の軍事基地まで攻撃しました。
ただ、我々が注目すべきは、これらイランによる一連の攻撃はポーズである意味合いが強く、
軍事的効果はほぼ無いという事実に対してです。
 
現在の実情は、米国とイラン双方とも疲れ切っています。
米国ではガソリン価格をはじめとする物価高騰でインフレ懸念が強まってきています。
トランプ大統領が指名したFRB(連邦準備制度)のウォーシュ新議長は、利上げを期待する債券市場と利下げを要求する大統領との板挟みに苦しんでいます。
こうした経済事情が秋の中間選挙で与党共和党への悪影響を及ぼすのは当然です。
一方のイランは、もちろん軍事・経済の両面で相当に疲弊しています。
こうした両国の事情から今回の合意が成ったわけですが、この合意の実効性にはかなりの疑問符が付いています。
でも、世界は両国の実行を注視していくしか手はありません。
 
まずは、イランによるホルムズ海峡の解放ですが、機雷が残っていればその除去が第一の課題となります。
日本の機雷除去能力の高さは世界が認めるところですが、日本への要請があるかどうかは、現在のところ全く分かりません。
 
もう一つ、イランの核開発計画が大きな課題となっていますが、その話は次の機会に。