G7サミットの評価

2023.06.15

【国際・政治】2023

ウクライナ侵攻の最中ということもあり、今回のサミットは、例年の「イベント」的な雰囲気とは違い、改めてG7の意義や目的が問われた会議となりました。
最大の議題は、如何にしてウクライナ侵攻を終結させるべくG7各国が結束するかでした。
サミット直前にフランスのマクロン大統領が中国を訪問、習近平主席におべっか(?)を使ったことで懸念が生じましたが、さすがにG7ではマクロン大統領が和を乱すことはなかったようです。
(その後で、また問題発言をしましたが・・)
 
しかし予想されたことですが、G7では「ウクライナへの軍事的支援をさらに強化する」という以外の策はなく、侵攻終結への道のりは描けませんでした。
手詰まり感が漂う結果になったことは、止むを得なかったというしかありません。
ただ、インドなど主要な国際会議の議長国を参加させたことは成果ですし、なによりウクライナのゼレンスキー大統領の直接参加は、世界を驚かせました。
また、各国首脳が揃って原爆資料館を訪れたこと、その後、ゼレンスキー大統領も訪れ、涙を必死に堪えていたとの報道もありました。
カナダのトルドー首相は、翌日も単独で訪れたとのことで、首脳たちにも強い衝撃を与えたようです。
 
ただ、こうした成果をどう次に繋げていけるかを考えると、現実の厳しさがよりあらわになります。
ロシアや中国という核兵器を保有する独裁大国が存在する以上、世界平和は来ないと腹をくくるしかないと思うのです。
 
西側が直接介入をためらっているのは、ロシアが核兵器を使うと脅しているからです。
皮肉なことですが、核兵器の存在が戦争拡大の抑止力になっている現状を思い知らされます。
G7サミットで核兵器廃絶への道が示されなかったことから、被爆者などからは「サミットは失敗だった」との批判が寄せられています。
しかし、酷な言い方ですが、そのような非難は逆効果ではないでしょうか。
核保有の現状を無視し、理想論だけ振りかざしサミットを批判しても共感は得られないと思うのです。
核戦争回避の思いは、世界すべての国民に共通の思いだと考えます。
被爆者ゆえの歯がゆい思いは理解できますが、人類の未来に関わる大問題です。
そして、野望を抱く核大国が存在している以上、一歩ずつ進むしか道はありません。
「G7サミットは失敗だった」というような過激な言動は解決への道を困難にするだけです。
 
まずは「非核保有国に対する核攻撃の絶対禁止」から初めて、核兵器による脅しに対する制裁、さらに保有数の削減という地道な道を進んでいくしかないのです。
そうした意味からいえば、今回のサミットはその第一歩として成功といえるのではないでしょうか。
そして、この先の長い道のりを考えれば、ウクライナへの核攻撃をちらつかせ、隣国ベラルーシへの核配備を進めるプーチンの意図を挫くことが、次の一歩だと思うのです。
 
プーチンが核使用をためらっているのは、欧米からの核兵器による報復です。
皮肉なことですが、核廃絶の第一段階には、こうした核抑止力がまだまだ必要なのが現実です。