中国は、自由主義国の小判鮫なのだ
2024.02.16
「資本主義」には「利潤を追求する経済活動の自由」や「自由な私有財産制度」という大原則があり、さらに「自由な資本移動を妨げない」と続きます。
つまり、自由主義国でないと機能しない経済の仕組みといえます。
ところが中国は「全体主義=独裁主義」の国家体制のまま、GDP(国内総生産)世界第二位まで上り詰めました。
世界の経済学者たちにとっては予想外の事態であり、解析に苦労してきました。
でも、中国独特の功利主義を考えれば、謎ではありません。
中国自身は、自国経済に「社会主義市場経済」などと意味不明な名前をつけています。
そもそも「社会主義」と「市場経済」は相反する概念ですが、そんなことは「どうでも良い」のです。
他国との関係は“協調”ではなく、自分の考えの“強調”で良いのですから。
当然、反発が来ますが、中国流の“ごまかし”で、自国民さえ黙らせればOKなのです。
もちろん、指導層はバカではありません。
こんな言葉遊びで自国民はごまかせても、他国(とりわけ、経済大国)はごまかせません。
それで、冒頭に上げた資本主義の原則を認めるフリをする、一定の譲歩はする、一定の市場開放は行うという戦略(ごまかし?)で自由主義国に媚を売り、「忍」の一字でひたすら中国の経済力を上げることに徹してきたわけです。
ターゲットは、米国を筆頭にEUそして日本です。
いわば、こうした自由主義大国の「小判鮫」になって自らを大きくしてきたのです。
このような屈辱ともいえる忍耐を主導してきたのがトウ小平や胡錦濤でした。
彼らの思惑(努力?)は“まんま”と当たり、日本を追い抜いて世界第二位の経済大国になったわけですが・・そこで、中国人の自尊心が頭をもたげてきました。
「世界の中心に位置する」という意味の「中国」という国名が持つ自尊心です。
この国民の自尊心を煽り、政敵を倒し、自らを皇帝にしようとしているのが現在の習近平主席です。
ところが、ここにきて「社会主義市場経済」なるインチキの化けの皮が剥がれ出し、その中身が欧米に見え出してしまっているのです。
経済通と言われた李克強とタッグを組んでいた間は、まだ“ごまかし”が効いていましたが、彼を抹殺したことで、みるみるバケの皮が剥がれてきたのです。
昔話の「因幡の白うさぎ」を思い出しますね。
あと一歩で岸辺に付く寸前で有頂天になり、騙したワニたちに「バカめ」と喋ってしまったウサギの姿と習近平主席がダブって見えます。
中国が世界一の強国になることなど、米国は絶対に容認しません。
大統領がバイデンのままでもトランプになろうとも、米国民のこの気持ちは変わらないでしょう。
EU各国も、中国の風下に置かれれば自国経済が奴隷状態になることを確信し出しました。
ところが、未だに中国市場に未練を持っているのが日本です。
中国が危険な独裁国家であることを忘れ、「バスに乗り遅れるな」と競って中国に乗り出した企業は大中小問わず多数に上りましたが、危険に気づき撤退したのは、まだ少数です。
そのうち、今度は「撤退の船に乗り遅れるな」となるのでしょうか。