2021年2月15日号(国際、政治)
2021.02.28
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2021年2月15日号
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発行日:2021年2月15日(月)
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2021年2月15日号の目次
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★ミャンマーの政変が意味するところ
◇抑止力という名の軍事力(10)
★韓国の幼児化が止まらない
◇リベラリストの言い分
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
五輪組織委の森会長の辞任はTVワイドショーの格好の餌になっている感があります。
しかし、その発言以上に、なぜ森氏が会長に担ぎ出されたかのほうが問題だと思いますが、あまり報道がないようです。
森氏の顔が各所への根回しに有効ということだったのでしょうが、そうした根回しとは具体的にどんなことなのでしょうか。
長野五輪では、五輪招致のための裏金の存在が指摘されましたが、当時のスキー連盟会長の「不正はなかったと信ずる」の鶴の一言で、追求は“うやむや”になりました。
森氏にも、そうした役割が求められたのでしょうか。
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┃★ミャンマーの政変が意味するところ ┃
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ミャンマーの軍事クーデターを欧米各国は非難していますが、やや腰が引けた印象は否めません。
経済制裁をすればミャンマーが中国へなびくことが足かせとなっています。
一帯一路の要衝にあたるミャンマーは、中国にとって重要な相手です。
事実、同国に対する中国の支援額はダントツです。
今回のクーデターの裏に国軍と中国の結び付きがあるとの意見がありますが、しかし、両者はそう単純な仲ではないようです。
中国は、すぐに外交部を通じてミャンマー国軍への支持を表明しましたが、両者の発表内容が微妙に食い違っています。
中国が「“適切な”役割」とした国軍の役割について、当の国軍総司令官は「“積極的”役割」と強調しました。
両者の間に思惑の違いがあることは明らかです。
中国は、ミャンマーへの開発投資が今回のクーデターの影響を受けることが、とにかく心配なのです。
国軍の非難はしないが、同国のこれ以上の混乱は避けたい意図が明確に見えます。
アウン・サン・スー・チー氏は、非暴力で政権の座に着いたことで、ノーベル平和賞を受賞しました。
しかし、少数民族に対する迫害を見て見ぬ振りしていると欧米の人権団体から非難されていました。
いま、こうした事態を見てみると、スー・チー氏が迫害を阻止できなかったことがよく分かります。
阻止に動いたならば、迫害の当事者である国軍が即座にクーデターを起こしたはずだからです。
開発途上国では、経済難から強引な政策を進める権威主義国家(つまり、独裁国家)が増えています。
米国が民主・人権主義を前面に押し出す外交政策を進めれば、こうした国々は中国になびくでしょう。
しかし、ASEAN諸国をはじめとする開発途上国の多くは、決して中国による支配を望んでいるわけではありません。
傲慢さと強欲をむき出しにする中国に対するカードとして米国にも期待を寄せています。
しかし、どの国も米中の戦争に巻き込まれるのはまっぴらごめんです。
それゆえ、第三極としての日本への期待は大きいのです。
世界第三位の経済力と、並の核保有国さえしのぐ軍事力を持つ日本への期待感は、日本国内では考えられないくらい大きいのです。
果たして菅首相に、その期待に応える(はたまた、戦略的に利用する)力量があるでしょうか。
次の総選挙までに、その片鱗でも見せてくれれば続投の可能性はあります。
それとも、立憲民主党が見せてくれるでしょうか?
うん?・・、それは絶望的ですね・・
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┃◇抑止力という名の軍事力(10) ┃
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本メルマガで何度も述べていますが、政治体制に関係なく国家の軍事力を支えているのは経済力です。
日本を含めた西側諸国は、経済が豊かになれば独裁国家も自然に民主主義に移行すると信じていました。
しかし、中国の現状は、そんな理屈など成り立たないことを証明しています。
歴史の事実からも、「自然に民主主義・・」など幻想に過ぎないことは容易に分かります。
戦前の日本やドイツは経済発展に伴い独裁制が強まり、侵略国家へひた走りました。
両国のいまの民主主義は、自発的なものではなく、軍事的敗北の結果、欧米から移植されたものです。
その欧米ですら、民主主義が根付くまでどれほどの血が流れたことか、知らない人はいないはずです。
なのに、どうして単純な平和主義が主流になり、現代の中国のような巨大な独裁国家の台頭を許してしまったのでしょうか。
それだけ、中国の指導者(特に、トウ小平)が賢く欧米を騙した結果でしょうか。
そこを深く考える必要があります。
民主主義は、ガラス細工のような脆さ(もろさ)を持つ政治体制です。
ゆえに、国民に対し、この脆さを自覚させる啓蒙教育が欠かせないのです。
ところが、我々団塊世代は戦後教育で、逆に「民主主義は強い」と教わり、戦前の日本は“民主主義の強さ”に負けたと教わりました。
しかし、それは真っ赤なウソだったのです。
日本は、米国の経済力に支えられた軍事力に負けたのです。
米国の民主主義に負けたのではないのです。
もちろん、米国の強さは民主主義に支えられた米国民の意志の結集とも言えますが、それは米国式の啓蒙主義の効果であり、民主主義自体の強さではありません。
そのことは、トランプ政権下で広がった米国民の分断を見れば、容易に分かります。
あの姿こそ民主主義の脆さの現れなのです。
バイデン新大統領が「自分に投票しなかった人たちも集まって欲しい」と呼びかけているのは、民主主義の脆さを痛感しているからであり、今後の米国政治の方向を見定めるキーワードの一つです。
となると、バイデン政権の政策は非常にオーソドックスな手法になるとの予想がつきます。
中国に対しては強行姿勢が続きますが、トランプ大統領のような子供じみた政策は取らないでしょう。
同盟強化の宣言が示すように、米欧日にインドやオーストラリアを含めた経済・軍事連合を再結集し、軍事力を高めた民主主義で中国の進出を抑える戦略を強化するはずです。
しかし、中国も黙ってはいません。
この包囲網を破る戦略を練っています。
その第一のターゲットは最も脆い韓国ですが、メインターゲットは日本です。
日本を中国の味方にすることは無理でも、米国との仲に亀裂を入れさせ、あわよくば中立的な立場に置こうと、硬軟取り混ぜた戦術を繰り出しています。
これは、日本の戦国時代末期、羽柴秀吉が得意とした戦術です。
明智光秀の盟友だった細川藤孝を自分の敵に回さない手法や賤ヶ岳合戦で柴田勝家の配下だった前田利家を籠絡(ろうらく)した手法です。
それは、「味方になれ」ではなく「中立を保て」という説得法です。
単純な攻撃力と違い、抑止力は外交力と軍事力の両輪のバランスで発揮する力です。
尖閣を守り抜く軍事力の強化と併せ、菅首相には、中国寄りの二階幹事長を使いこなす力量が求められます。
二階氏の中国とのパイプは、危険であると同時に、使える武器でもある両刃の剣です。
首相のお手並み拝見ということです。
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┃★韓国の幼児化が止まらない ┃
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韓国メディアが連日、日本に関係する報道を流していますが、その内容がどんどん幼児化しています。
ついには、「日本が竹島を軍事侵攻するシナリオがあり、それに備える韓国側の戦力を明示した内部文書があり、国会に報告していた」という記事まで報じられました。
論じること自体がバカバカしくなる記事ですが、そこまで劣化が進む韓国の国民意識が心配になります。
暗黒の歴史が国民意識を歪ませることは、日本も他山の石としなければなりません。
本メルマガで、長期連載したこともありますが、朝鮮半島の歴史は、中国の圧迫による暗黒史です。
唐を実質的に建国した李世民(太宗皇帝)は、中国では英雄中の英雄です。
付き合いのある中国人は、みな学校で英雄として教わったということで、悪く言う人はいません。
ところが、韓国人に聞くと、みな真反対のことを言います。
それはそうです。
太宗皇帝は、何度も高句麗(今の北朝鮮地区)に攻め入っています。
韓国の学校で、どう教えているかは分かるでしょう。
かの元寇でも、日本に押し寄せた軍勢の大半は駆り出された半島の人々です。
台風によって海の藻屑と消えた10万以上の中に元帝国の人間はわずかでした。
中国の覇権が清に替わった1600年代、朝貢(ちょうけん)を拒んだ朝鮮国王がいましたが、怒った清の大軍に攻められ、わずか40日で降伏する憂き目となりました。
その和議の地である三田(サムジョンド)で、清国の皇帝の前に引き出された朝鮮国王は地面に何度も頭をこすりつけて謝罪するという恥辱を味わされました。
このことは、今の韓国においても「三田の屈辱」と呼ばれている有名な話です。
これだけ歴史上、屈辱を舐めたのですから、半島の人々の怨念は、本当なら中国に向くはずです。
しかし、中国はあまりにも強大で、朝鮮には敗北の歴史しか無いという惨めさです。
服従するしかないという諦めがあります。
その清国を、日清戦争で日本が破ったことで半島は清国の支配から開放されました。
その後、日本に併合されましたが、日本の敗戦で“たなぼた”の独立がもたらされました。
しかし、歪んだ誇り意識から、それで「結果オーライ」とはなりませんでした。
矛先を日本に向け、日本から実力で独立を勝ち取ったというまったくのファンタジーを歴史にしてしまったのです。
こうして、敗戦国の日本を格下に見下すことで、歪んだ精神のバランスをようやく保っているのです。
こうしたウソを“歴史の事実”として学校で教えている弊害は計り知れません。
こうした教育を受けた韓国人の多くは、日本を格下の犯罪国として見下しています。
それに対し、戦後、日本は敗戦国の負い目から、自国を卑下する自虐史観に終始してきました。
その経緯で、事実を曲げてまで韓国に何度も陳謝し、賠償金を払ってきました。
それに対し、韓国は感謝ではなく、格下の日本の当然の行いだと認識してきたのです。
言葉は悪いですが、“図に乗った”文大統領は、さらなる悪ノリを繰り返し、日韓関係を修復不可能なほどに壊してしまいました。
それでも「日本が折れるはず」と、本気で思っていたようです。
その幼児性に呆れる以外の言葉が見つかりません。
しかし、政府間の公式合意を作っても破るだけの韓国に対し、ついに、日本人の気持ちは限界に来てしまいました。
「喧嘩は好まないが、無視しよう」となってしまったのです。
「半島から距離を置く」政策は、これから広く日本国民の支持を得ていくでしょう。
経営者という立場では「経済は別」と言いたいのですが、経済は政治に翻弄されます。
韓国とビジネスを行っている企業は、自己責任で残るか撤退するかを決めるしかないでしょう。
私は撤退を決めましたが・・
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┃◇リベラリストの言い分 ┃
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リベラルの本来の意味は「自由主義」ですが、それだと幅が広すぎるようです。
そこで、リベラリストと呼ばれる人たちの主張を分析してみました。
幸い(?)、労働運動や人権運動などに熱心な知人もいて、話す機会もあります。
良い悪いや、賛同できるか否かを抜きにして、彼ら自身や考えていること、欠けている視点などをまとめてみました。
まず、多くが高学歴で成績も優秀な人たちです。
そして、高い理想を持っていて、日常生活は真面目です。
災害などが起これば、ボランティアとして被災地に駆けつけるなどの行動力も高いです。
弱者支援の活動にも熱心で、恵まれない子どもたちや母子家庭への支援などは、私のような怠惰な人間から見ると、自分への反省を込めて感心するしかありません
ところが、その理想思想が仇をなすのです。
どんなことにも清濁があるということは、本メルマガで何度も論じてきました。
リベラルな人の高学歴や優秀さ、弱者支援の精神は素晴らしい清さですが、それゆえに「濁ったもの」への嫌悪感が強くなり過ぎるのです。
犯罪者はもちろん、学歴の低い人や怠惰な人に向ける深層意識が厳しすぎるのです。
知的にすぐれ、洗練され、人権感覚も豊かな自分たちと、学業成績も判断能力も低く、もちろん人権意識のジの字もない連中が、選挙では同じ一票を持っていて、しかもその連中が支持する政党が勝ってしまう現状に苛立って仕方ないのです。
無意識下で「まっとうな判断力もない愚か者のせいで、自公政権が続くのか。かんべんしてよ」という感覚が働いてしまうのです。
そうなると、自分たち「いい人」と、そうでない連中とが日本において同等の自由や権利を持っていることに“耐えがたい苦痛”を感じるようになります(もちろん、潜在意識でです)。
「多くの阿呆どものせいで、くだらないアベ政治に8年近くも付き合わされた」といった意見を聞かされたこともあります。
そう思うリベラリストにとっては、さらに、菅政権でその「延長戦」が続く現状は、我慢の限界を超えているようです。
菅首相を批判する言葉の裏側には、「アベやスガを支持する“まともな判断力も見識もない”ヤツラと自分たちが同等の権利を持っているのがおかしい」という意識が見え隠れします。
しかし、そこには大きな思考の落とし穴があります。
それは、自分たちが毛嫌いするアベやスガを総裁とする政党が「なぜ支持されるのか」について、冷静に分析できなくなっているという落とし穴です。
彼らから見たら、まったく価値のないアベ政権が史上最長の政権となり、しかも、その後を、もっとバカにしているスガが継ぐという事態に怒りがこみ上げ、「自分と政治的主張や社会的価値観が異なる者」の意見を聞くという余裕を失っているのです。
かくして、オンライン上で自分と同質の意見のみを同質の者たちにシェアして拡散し、一般人との乖離を深め、悪意の中に孤立するという悪循環にハマり、さらなる怒りをたぎらせていくのです。
温暖化問題で世界の政治家に辛辣な言葉をぶつけるスウェーデンの少女にも同様の憎しみの心理が伺えます。
でも、冷たい雨や酷暑の中で農作物を育てたり道路や建物を造るといった、生活を支える一次産品やインフラ構築に従事している人々の多くは、リベラリストたちが軽蔑する政治家を支持している割合が高いのです。
私の郷里の人々も、大半がそうした人たちです。
かつて、故郷の親族の席で「田中角栄が・・」と言ったところ、長老格の人から「先生と言え!」と一喝されました。
その時、私の胸にこみ上げたのは、怒りや軽蔑の感情ではなく、「そうなんだよな・・」という気持ちでした。
雪深く、冬は歩くかソリを引くしかなかった故郷の道を「雪が積もらない道路」にし、ボロボロだった学校の校舎を鉄筋コンクリートの建物に変えてくれた人は、たとえ犯罪人になろうと先生と呼ぶべき恩人なのです。
リベラリストのように、こうした学歴もない人たちを非難する気持ちは、自分には持てないのです。
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<編集後記>
WHOによる中国・武漢の調査は中国の筋書き通りに推移したようです。
遺族などの都合の悪い関係者からの聞き取りもできず、中国が用意した場所しか調べられない調査に何の意味もありません。
口の悪い筋は「WHOの調査団は武漢に観光旅行に行っただけ」と辛辣なコメントを出しています。
案の定、勝ち誇った中国は、「中国は感染源ではない、米国を調べろ」と悪ノリ気味です。
今回のコロナ禍でWHOの価値は地に落ち、この調査で完全に存在意義を失う瀬戸際です。
この組織はいったん解体し、中国の影響力が及ばないよう再編するしかないでしょう。
そのことのみが、今回の調査の成果だといえます。
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