2022年3月31日号(経済、経営)

2022.04.18


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2022年3月31日号
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発行日:2022年3月31日(木)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2022年3月31日号の目次
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★中国経済の成長は止まるか?
◇新しい日本型資本主義の中身(6)
★今後の建設需要(26):日本建設業連合会の要望
◇これからの近未来経済(16):山なり多重回帰曲線型経営(その7)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
ロシア財務省が国債償還をルーブルで行うと発表しました。
外貨資産の半分が凍結されている現状がボディブローのように効いているようです。
債権者が拒否した場合はデフォルトとなる理屈ですが・・ さて?
企業だったら、そこで倒産ですが、国家は居直ることが可能です。
不謹慎といえますが、その顛末を見てみたい気がします。
 
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┃★中国経済の成長は止まるか?                    ┃
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GDPの250%に達する日本の国債発行残高に対し、中国の政府債務残高は75%程度だと言われています。
一方、西側の金融調査機関の調査では、230~300%に達しているとの情報もあります。
どちらが本当かを論じることに意味はないでしょう。
中国は「国家資本主義」と呼ばれる特殊な経済の国です。
とても、日本のような資本主義国と同じように考えることはできません。
かといって、単純な共産主義の国と考えると、見誤ります。
 
国営企業は政府の出先機関と考えるべきですが、判断が難しいのは民間企業です。
そもそも経済理論から言えば、共産主義国に民間企業はないはずです。
それに従えば、企業や家計の債務も「国家債務と考えるべき」となります。
それがGDP債務比率230~300%説の根拠です。
 
しかし、そう単純な話ではありません。
これまでの経済常識で今の中国を測ることはできません。
まったく新たな視点で考える必要があります。
そのカギは14億人の人口です。
これが巨大な市場となり中国を世界最大の経済国家に成長させるか、逆に大きな重荷となって転落していくかが、中国の未来を決します。
今のところ、どちらに振れるかは五分五分ですが、次第に暗い影が広がりつつあるのは確かです。
 
どの国の国民にとっても、大事なのは政治理論や体制ではありません。
また大義名分でもありません。
生活であり、未来につながる安全や経済です。
それを保証する政治家が支持されるのです。
 
しかし、この大国を率いる習近平主席に、そうした意識があるのかどうかが最大の懸念材料です。
経済に強いとされる李克強首相は、習主席と対立する共青団派に所属していて、しかも秋には退任する様子です。
もうひとつの派閥、上海派を率いる江沢民元主席も健在な今、経済対策そっちのけの政治派閥抗争が始まりそうです。
その行く末に国民の幸せは無いように思いますが・・
 
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┃◇新しい日本型資本主義の中身(6)                 ┃
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岸田首相の「新しい日本型資本主義」は、「成長なくして分配なし」よりも「分配なくして成長なし」が強い理論です。
首相自身、新自由主義経済が「富める者と富まざる者との分断」を生みだしたと明言しています。
それは、その通りです。
新自由主義は「経済は市場原理に委ねるべき」という思想ですから、必然的に大きな格差を生み出していきます。
個人の能力差がもろに反映する経済になるのですから格差の拡大は当然です。
実際、統計データによると、日本の貧困率は15%を超え、20%に達するのも時間の問題となっています。
一人世帯に限ると貧困率は50%を超え、女性の場合は56%以上となっています。
私には正直ピンとこない数字ですが、一人世帯や母子世帯のかなりの割合の生活が大変なことは理解できます。
 
経済用語から言うと、日本の場合の貧困率は「相対的貧困」で計算した数字です。
相対的貧困とは、所得が中央値以下の世帯の割合を表す数字なので、数学的にいえば、50%が「普通」となる計算方法です。
そう聞くと、一人世帯の貧困率50%は「普通では?」と言いたくなります。
国全体の15%は、逆に考えると85%の国民は貧困を感じていないという数字になります。
単純に「悪い数字なのかな?」と頭を捻ってしまいそうです。
 
それに対し、開発途上国の貧困を表す「絶対的貧困」は、一人あたりの収入が1日1.90ドル(220円ぐらい)以下の水準を表す絶対値なので、客観的な数字といえます。
この値は「生存が脅かされる生活水準」ということですから、深刻な貧困ということも頷けます。
 
相対的貧困は「見えざる貧困」と言われるように、「周囲は豊かで幸せそうなのに、どうして自分だけが貧しいのか」と精神的に追い詰められている状況を指す指標と言われています。
昭和30年代の私の子供時代、6人家族だった一家の年収は30万円程度だったと思います。
一人あたりに換算すると、1日140円ぐらいですから、現在の絶対的貧困水準以下です。
ゆえに、長男だった私は小学4年から家を手伝い、働いていました。
でも、周囲も貧しい家庭が多かったせいか、「自分の家だけが貧乏」という思いはなかった気がします。
両親は「絶対的貧困」の中で必死だったと思いますが、子供の自分は「相対的貧困」で「これが普通」と感じていたのだと思います。
 
話が横道に逸れたので、戻します。
岸田首相は、自民党の中では左派の「宏池会」の出身ですから、分配優先の考えになるのは頷けます。
安倍氏を意識して、口では「アベノミクスを継承しつつ・・」と言っていますが、そんな気はないでしょう。
ですが、「新しい日本型資本主義」の中身が見えない限り、アベノミクス以下と言わざるを得ません。
参院選までには、政策としての骨格をはっきりと見せるべきです。
それまでは、批判も共感もしません。
その時が来たら続編を書くということで、いったん、本シリーズは終わります。
 
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┃★今後の建設需要(26):日本建設業連合会の要望          ┃
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日本建設業連合会が、資材価格の高騰を受け、公共工事に適用されるスライド条項などを民間工事にも適用させるよう国交省に要望する方針という報道がなされています。
つまり、資材価格の高騰などの原価上昇分を契約金額へ上乗せできるよう、民間の顧客に国から圧力を掛けてくれという要望です。
日本が共産主義の国ならば可能かもしれませんが、自由経済を標榜する国家としては、どうなのでしょうか。
もし、国が民間のデベロッパーや不動産業界などに強制したとしたら、各社は分譲価格や家賃を上げてくるでしょう。
結局、最終のつけは一般個人に回ってくる構図となります。
顧客の立場からしたら、到底許容できない図式でしょう。
そして、そうした批判を恐れる政府が受け入れるはずもない要望ということです。
 
建設業連合会は、小学生でも分かる、こんな理屈が分からないのでしょうか。
いえ、そんなことは無いはずです。
連合会の要望は、原価が悪化する業界をなんとかしたいとの思いからでしょう。
ですが、それ以上の思考が回らないとしたら、連合会の存在意義そのものが問われます。
もちろん、個々の建設会社は、こんな安易なことが通るとは思っていないでしょう。
また、期待もしていないと思うのですが、どうでしょうか。
 
私は、建設会社と顧客側の両方の立場で仕事をしてきて、今もその延長線上にあります。
それゆえ、どちらの立場も痛いほど分かりますし、永遠の呪縛のような課題であることも理解しています。
それゆえ、この呪縛を解くための仕組みを永遠のテーマとして、考え続けてきました。
考えるだけでなく、利害関係者間の利害を調整する仕組みを作り、実際の案件で適用も行ってきました。
気がつけば、最初の取り組みから26年もの月日が流れています。
こうした様々な経験を経て、ようやく、自分なりに「これで調整できる」といえるような仕組みを考え、数年前から実践の準備段階に入っているところです。
そう遠くないうちに、新B-net(仮称)として動かす予定です。
 
本シリーズは今回を最終回としますが、新B-netの実践や建設関連のトピックス、建設会社への提言などを建設用のホームページ上に掲載していこうと考えています。
サイトは次回ご案内いたします。
誰でも自由に閲覧できます。
今後とも、よろしくお願いします。
 
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┃◇これからの近未来経済(16):山なり多重回帰曲線型経営(その7) ┃
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ここまで6回にわたり述べてきた「山なり多重回帰曲線型経営」は、創業からの成長、そして倒産の崖っぷちという経験の中で、多くの優れた方々から直接の教えを受け、かつ、様々な経営戦略論を学んだ中から自分なりにまとめてきた経営手法です。
 
「山なり」は“山あり谷あり”の経営そのものを指す言葉であり「曲線」につなげた言葉です。
「多重回帰」は、その繰り返しが経営だよという意味の言葉ですが、単に過去をなぞるのではなく、スパイラル(螺旋状)に成長するという意味の言葉です。
これらの言葉をひとつにした造語が「山なり多重回帰曲線型経営」というわけです。
そして、企業経営の本番は「第二成長域」からであり、それまでは予行演習のようなものだよという意味もあります。
 
私の場合は、創業から7年で、この「第二成長域」の入り口に達したのに、本理論を構築する前であったことで、道を誤り、崖下へと転げ落ちてしまいました。
新たな投資に投入すべき資金を、停滞に陥った事業の赤字補てんに使うという最悪の手を打ってしまい、崖から転げ落ちたのです。
しかも、この落下の途中で、いったん岩場の出っ張りに引っかかったのですが、またもや経営方針を誤り、さらに崖底へと転げ落ち重症を負ってしまったのです。
しかし、崖底に落ちても、かろうじて命がつながったことで、この経営理論に行き着き、そこから必死に這い上がってきました。
 
この這い上がり時期は、二度と経験したくない本当に苦しい時間でした。
どん底状態での資金調達のため、闇金業者とまで交渉しました。
「ナニワ金融道」や「闇金のウシジマくん」などの漫画やドラマをご覧になった方もいらっしゃると思いますが、現実はあれ以上の“えげつない”世界です。
以前、このメルマガでも書いた「水商売でのヤクザとのやり取り」の経験があったことで、私はどんなに苦しい時でも、この闇に捕らわれることはありませんでしたが、隣のブースや奥での電話の声などから、いかに多くの人が闇に落ちていくかが実感できました。
 
こうした“どん底”を抜けるのに時間を要したことで、本理論に到達するのに創業から20年もかかり、抜けた時には60歳を超えていました。
さらに「第二成長域」の本質を理解し、実践するまでに5年を要したことで、気がつけば、創業から30年もの年月が経ち、老境の年齢になってしまいました。
でも、感覚的には15年ぐらいの時間しか経っていないので、笑える話ですが、今でも50代のような錯覚の中にいます。
 
そもそもが、大手企業からの支援はすべて断り、3人の設計事務所から始めた企業です。
時間が掛かるのは当然といえます。
大企業からの支援をうまく使う方法はあったと思いますが、不器用な私にはできませんでした。
創業メンバーの2人さえ10年も経たずに去ってしまったことから分かるように、迷走してばかりの道のりでした。
現在は、ようやく未来に繋がる道を歩いている感触がありますが、それも決して平坦路ではありません。
しかも、私に残された時間は、それほど多くはありません。
ですが、それ故に、残りの時間でやるべきことは明確になっています。
この「山なり多重回帰曲線型経営」の確かさも実感していますので、この道を進んでいくだけです。
 
「山なり多重回帰曲線型経営」の連載は今回で終わります。
ですが、「これからの近未来経済」は別の視点で続けますので、引き続きご購読をお願いします。
 
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<編集後記>
無線電信を発明したマルコーニは「これで戦争をなくす。誤解や秘密がなくなるから」と言いましたが、
結果は真逆でした。
科学技術が幸せにした人の数と不幸にした人の数の比率はどうなのでしょうか。
ミサイルなどの無人兵器が一般人を殺す現代を考えると、寒々とした思いに囚われます。
 
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