2017年1月31日号

2017.02.17


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2017年1月31日号
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発行日:2017年1月31日(火)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2017年1月31日号の目次
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★自由経済と過剰品質
★トランプ大統領との付き合い方(経済篇)
★グリーンビジネスの停滞
☆短期的変動に備える経営へ(1)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は経済、経営の話題をお送りします。
大統領に就任したあとは慎重になると期待(?)されていたトランプ大統領ですが、大統領令の乱発という暴走ぶりに世界は困惑しています。
でも、このような「仰天」大統領が誕生したことは、「世界が大転換期を迎えていることの証拠なのだ」と考えることにしました。
一喜一憂することなく、冷静に、その先の世界へ目を向けていきます。
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┃★自由経済と過剰品質                       ┃
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このところ、24時間営業を止めるファミレスやコンビニが出てきました。
消費者の要求には限度がなく、サービス業は、ついに24時間営業という限界にまで来てしまいました。
たしかに、消費者のニーズに応えるのが商売の王道とはいえ、24時間営業×365日営業は「過剰品質」ではないかとの声が出てきたわけです。
ところで「過剰品質」とは何でしょうか。
どこから「過剰」の線が引かれるのでしょうか。
最近にわかに「ブラック」という言葉が巷に氾濫してきました。
過剰な残業や働き方を強いる企業に対し「ブラック企業」というレッテルを貼り、“さらしもの”にするという社会の懲罰的意味が込められているようです。
つまり、「ブラック」のレッテルが貼られるかどうかが「過剰」の線引きかもしれません。
しかし、これは知名度のある大企業などにしか効かない線引きだと思います。
中小企業の場合は、簡単に「ブラック」とは断定できない諸事情があるからです。
例えば、「ブラック」とされた大企業が残業規制や休暇制度を増やした結果、そこの従業員は楽になるかもしれません。
しかし、その企業は、それにより収益が悪化した補填を、下請け企業や仕入れ材の納入業者に課していく可能性があります。
それを受ける形になる中小企業は、断れば仕事を失うかもしれません。
多くは、泣く泣く受け入れることになります。
そして、その損失を補うために、従業員にサービス残業をお願いすることになる可能性があります。
しかし、小さな企業ほど、従業員は経営の大変さが分かります。
なかなか「イヤだ」とは言えないし、当局に訴え出ることもしないでしょう。
結果、この種の「ブラック」は表に出てこないのです。
考えなくてはならないことがあります。
日本では、カネをもらっている側のほうが、圧倒的に立場が弱い。
そして、この図式の頂点に立っているのが「最終消費者」ということをです。
つまり、「ブラック企業」の上に多くの消費者が「ブラック客」となって君臨しているのです。
しかも、消費者には、自分が「ブラック客」との意識はありません。
そうした“無自覚な”ブラック客がブラック企業を「ブラック」として攻撃するという”おかしな”図式が成り立ってしまっているのです。
なぜ、こんなにも客の立場が上になってしまったのでしょうか。
それは、多くの商品の品質が均質化され、消費者がその品質に満足していることがベースにあります。
その状況で、売る側が価格の値下げや品揃えで差別化するとしても限界があります。
ユニクロが突き当たった限界が、まさに”それ”です。
そうなると、他社に負けない「サービス」という付加価値で勝負することになります。
この「サービス」競争には精神論がつきまとい、日本式の「がんばろう」につながるわけです。
もともと日本人には「商売にはサービスが大事」という精神が根付いています。
かつて松下幸之助氏が言った「お客様は神様です」という言葉が有名ですが、ご本人の真意は別として、「商売の金言」として消費者にも浸透してしまったことは事実です。
そうして、「過剰サービスを当然だと思う意識」を消費者に醸成させてしまい、それに過剰反応していったファミレスやコンビニ業界では24時間営業が当たり前になっていき、多くの産業も引きずられていったわけです。
しかし、自由経済を標榜する日本が、政府命令で「24時間営業」を禁止することはできません(欧州では、それに近い法律がありますが・・)。
労働者を保護する観点では、労働法により、企業に対し労働時間を抑制しています。
その一方で、個人の働く自由に制限はかけられません。
ここに盲点が生まれます。
この問題は、次回に続くとします。
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┃★トランプ大統領との付き合い方(経済篇)             ┃
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トランプ新大統領にかけられていた「1月20日以降は過激な発言は慎むのではないか」との淡い期待は脆くも崩れ去りました。
しかし、評論家の願望(?)とは裏腹に、米国の株価は史上初めて2万ドルの大台を突破するという盛況ぶりです。
日本からすると、「いったいどうなっているのか?」という疑問と「この先、どうなっていくのか?」の不安が募りますが、
「単純に考えていけば良いのでは・・」と思いました。
まずは、トランプ大統領というよりトランプ氏個人の思考を考えてみましたが、とても単純です。
トランプ氏の思考の優先順位は以下のとおりです。
1.トランプ氏個人
2.トランプ・ファミリー
3.米国
4.その他
つまり、「トランプ氏にとっての良い悪い」がすべての判断基準なのです。
大統領の就任演説で「アメリカ・ファースト」を30回も唱えたとニュースになっていましたが、あれを「トランプ・ファースト」に置き換えてみれば、よく分かると思います。
「米国のために動く」と言っていますが、それが「トランプのため」になるからです。
もしロシアのために動くことが「トランプのため」と思えば、躊躇なく政策をそちらに振るでしょう。
経済政策も、まったく同じ思考で動かすと思います。
米国の輸入超過をもたらしている国はすべて「トランプにとって悪い国」です。
当然、第一の矛先は、米国の貿易赤字の50%を占める中国に向けられていますが、日本にも向けられています。
この矛先をかわすのは、安倍首相の演技力にかかっています。
安倍首相は、2月10日にトランプ大統領との首脳会談を行います。
野党は、必ず「具体的成果がない」と批判するでしょうが、もとより具体的成果など期待できる状勢ではありません。
相手は、正論が通じない相手です。
安倍首相は、「屈辱外交」と言われようが、トランプ大統領に気に入られるように振る舞うしかありません。
まさに「臥薪嘗胆」の気概を持って首脳会談に臨むべきなのです。
安倍首相がトランプ氏にとって「好ましい人物」になることが日本の国益なのですから。
TPPが事実上終わってしまった現在、これまでの経済戦略自体がご破算になったと考えるべきです。
新たな戦略の要(かなめ)の要素はトランプ大統領個人です。
安倍首相には、政治や軍事で譲歩を強いられても経済の実を勝ち取る“したたかさ”を期待します。
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┃★グリーンビジネスの停滞                     ┃
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今となっては昔話のようですが、オバマ前大統領は、8年前の2008年の大統領選時に、「環境ビジネスによる経済成長と雇用創出」を大きく打ち出しました。
その時、具体的な目標として、「500万人の雇用創出」、「2015年には100万台の電気自動車」などを公約として掲げました。
しかし、どれも実現はしませんでした。
結局、2期目のオバマ政権が打ち出したのは、シェール革命による「競争力のあるエネルギー価格」という、真逆の政策です。
その結果、米国のエネルギーコストが低下し、その恩恵で製造業が復活、雇用を増やす結果となりました。
一応、オバマ前大統領の功績となっていますが、はたしてそう言えるのでしょうか。
一方で、再エネ事業の雇用者はまったく伸びていません。
知らぬ間に、環境ビジネスの目標も消え去っていました。
トランプ新大統領は「気候変動は嘘っぱち」と断定し、再エネ振興策やグリーンビジネスには全く関心を示していません。
逆に、化石燃料の生産を増加させる政策を打ち出し、米国のエネルギー自給率を100%にすると宣言しています。
しかも、この政策にはトランプ支持層のみならず、産業界も両手を上げて賛同しています。
米国におけるクリーンビジネスは死んだも同然となるでしょう。
2022年の脱原発を決定しているドイツでも、再生エネルギーによるグリーンビジネスの話は下火になり、
輸出産業に悪影響が出ないように電気料金アップにつながる再エネ導入のスピードをコントロールし始めています。
こうした報道に対して、Energy Democracy等の再生エネルギーを推進する立場の団体は、「全くのデマ」と反論しています。
その反論の中で「ドイツにおける再エネによる電力量が全発電量の30%に達している。これは25年前の1990年に比べて10倍に伸びている」と述べています。
その数値はウソではありませんが、ドイツにおいても、環境ビジネスでは大きな成長と雇用を作り出すのが難しいとされていることも事実です。
今の再エネは補助金なしには成り立たないというアキレス腱を持ち、エネルギーコストの増大が国際競争上の弱点となります。
環境にうるさい欧州各国の国民も、それに耐えきれなくなってきているのが現状です。
地球環境の上からは、再エネは大事なエネルギー源ですが、現代の技術力ではその弱点の克服は難しいといえるようです。
ところで、これまで再エネに15億ドル以上の投資をしてきたIT企業のグーグルが原子力開発に乗り出すというニュースが伝わってきました。
つまり、再エネへの投資からは期待したとおりの成果が得られず、投資先を原子力に変えるとのことらしいのです。
グリーンビジネスの前途は多難なようです。
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┃☆短期的変動に備える経営へ(1)                 ┃
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2016年の倒産件数は8,446社ということで、3年連続で1万社を割り込みました。
しかし、倒産には至らない廃業が3万件弱という別の数字もあります。
中小企業の足元の不安定さは増していると考えたほうが良さそうです。
しかも、トランプ大統領という、日本経済にとって爆弾となりかねない要素が現実となる2017年は、一転して倒産件数が増えることが予想されています。
こうした時代に中小企業が採るべき戦略は何か。
弊社もそうした中小企業の一社なので、切実な問題です。
結論としては、長期的な視点と短期的な視点の2つをバランスさせる戦略となります。
「当たり前ではないか」とお叱りを受けそうなので、数回に分けて解説を行っていきます。
まず、長期的な視点で考えると、トランプ大統領を生んだ世界の潮流は一過性のものではなく、これからますます強くなることが予想されます。
自由経済が一気にグローバル化したことで、自由経済と対をなす資本市場が肥大化し、カネそのものが商品化してしまいました。
そもそものカネあまり(つまり、流通するドルのだぶつき)は、ベトナム戦争で米国が垂れ流したものです。
戦後も米国はそのカネの回収はせずに放置しました。
それどころか、その後もドルを世界中に垂れ流してきました。
しかし、「米国が悪い」とは言い切れません。
そのカネが世界経済を牽引して今日に至ったことも事実だからです。
EUも日本も中国も新興国も、その恩恵に預かってきたのですから、文句を言えるはずはありません。
ただ、カネがカネを生む「ポートフォリオ理論」がノーベル経済学賞を得たことで金融の世界は一変しました。
そもそも金融の役割は、実態経済を回すための補助的役割にありました。
しかし、「ポートフォリオ理論」によって、金融が実体経済の上に位置するようになってしまいました。
しかも、情報システムの発達によって、「ポートフォリオ理論」は、文字通り光速のパワーを得てしまいました。
一瞬のうちに、実際の通貨量の数倍のカネ(情報通貨)を動かすようになってしまったのです。
そして、実業を持たない億万長者をたくさん輩出し、ものづくりなどの実業企業の上に君臨してしまったのです。
トランプ大統領を生んだのは、こうした流れに取り残され地盤沈下していった多くの人々の怨念と不安です。
本来その怒りは、新興の億万長者たちに向けられるものなのですが、一般庶民からはあまりにも遠い存在で、怒りをぶつける対象にならないのです。
トランプ新大統領は、億万長者の仲間なので、本当は怒りをぶつけられる立場の人間です。
しかし、彼は、巧みに「悪いのは移民だ、イスラム教徒だ」と、より貧しい人たちへの攻撃へとすり替えさせてしまったのです。
でも、このことを嘆いても仕方ありません。
これらの現象は、資本主義経済の終焉を意味する現象だからです。
資本主義の終焉後に出てくる経済がどんなものかは分かりませんが、「新しい経済の仕組みが作られつつある」という実感はあります。
そして、「文化800年転換説」からいうと、その新しい経済の始まりは2025年ごろと言われています。
でも、「あと9年も待てるかよ」と言われるでしょうね。
私にしても、そんな”のんびり”とした経営が出来る余裕はありません。
でも、これからの9年を生き抜く目標にはなります。
経営者や経営幹部、自営業の方々に考えて欲しいのは、今ここで、9年後の目標を作ることです。
次回は、9年後の目標に向かう道筋、そして、その道をたどる「短期戦略」の話をしたいと思います。
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┃★未熟な日本の計画技術(4)                   ┃
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ご意見は、どのような内容でも批判でも結構です。
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