2023年7月31日号(経済、経営)

2023.08.01


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2023年7月31日号
┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓┏━┓
   H  A  L  通  信
┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛┗━┛ http://www.halsystem.co.jp
発行日:2023年7月31日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2023年7月31日号の目次
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇日銀の方針と植田総裁(2)
◇企業にとっての借入金(3)
◇中古車市場の闇
 
http://magazine.halsystem.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
 
FRB(米国連邦準備制度理事会)と欧州中央銀行が利上げを続ける中で注目された日銀の発表。
今号は、この話題から入ります。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇日銀の方針と植田総裁(2)               ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
7月28日、日銀は金融政策決定会合の結果を発表しました。
事前の予想では「現状維持を続ける」との見方が大勢を占めていました。
具体的には、10年金利の変動幅±0.5%の維持及びYCC(イールドカーブ・コントロール=長短金利操作)の枠組みの維持です。
 
ところが、そうした予想は裏切られました。
まずは10年金利の変動幅です。
±0.5%は維持するが、超えた場合は1.0%以内に抑えるという内容でした。
記者会見に現れた植田和男総裁に対し、当然「1.0%までの上昇を許容するということか」という質問が浴びせられました。
それに対し、植田総裁は「あくまでも0.5%の維持だが、それを超える場合は1.0%以内に抑えるということです」と、歯切れの悪い答弁に終始しました。
しかし、市場は「日銀は1.0%までの金利上昇を許容した」と受け止め、日銀もそれを織り込み済みの発表だったと思われます。
 
一方、長期金利以上に注目されたのが、YCC運用の柔軟化です。
長期金利の維持よりYCCの運用枠組みの維持のほうが優先されるとの見方が強かったので、「意外」と受け止めた関係者が多かったようです。
YCC運用の軸は「国債の買い入れ」ですから、今後は買い入れ抑制に踏み切ると受け止められたようです。
 
また、学者時代の植田総裁は「YCCで金利政策を微調整することは難しいのではないか」と述べていましたから、その矛盾を突く質問も出ていました。
 
この会見をライブで聞きながら考えたことは次のニ点です。
まず一点目、「国債買い入れ」ですが、現状維持と解釈しました。
植田総裁は、買い入れの増加は「しない」と受け取られることを警戒して、マネタリーベースに不安が生ずれば買い入れを増やすと発言しました。
発言の言質を取られないようにという慎重な姿勢が印象的でした。
ニ点目は、YCCの柔軟化の意味です。
「YCCは効果と同時に副作用も大きい。ゆえに副作用が出る手前で間髪を入れずに調整の手を打つ」と、「柔軟化」の意味を説明しました。
植田総裁の持論との整合性をうまく取ったなという印象を受けました。
 
最後に、植田総裁は目下の経済情勢および今後の見通しについて、かなり丁寧な説明を加えました。
それによると「経済は、ゆるやかな回復を続けているが、経済・物価安定には至っていない」と述べ、続けて「賃金は4月の想定以上に上昇しているが、実質GDPの上昇は低いままである」。
さらに「23年度の物価上昇は予想値を超えたが、長期的に見ればまだ低い」として、物価2%上昇の目標は堅持するとしました。
 
記者から「マンション価格の高騰などで物価上昇の上ブレが起きるのではないか」という質問が出ましたが、それに対しては「都心のマンションなどの個別要因が大きいと見ていますが、その他へ波及するか否かは注視している」として、明確な判断は避けました。
為替市場の動きに対しては、「(日銀は)為替をターゲットとはしていないが、今後は考えに入れていく」と、一歩踏み出した回答をしました。
 
私が最も注目したのは「海外の不確定な実情は高い」と言及した部分です。
明らかに中国リスクの顕在化を念頭に置いた発言と受け止めました。
植田総裁は、中国バブルが弾けるのは確実で、それに対し、現在の中国政権には軟着陸させる戦略が決定的に欠如していると見ているようです。
しかし、問題は「それはいつ起きるか?」です。
それは数年後かもしれないし、30年後かもしれないという、地震予測のような見方しかできません。
このリスクに対する植田総裁の見解と防衛策については、今後、注意深く分析していこうと思います。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇企業にとっての借入金(3)               ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
どんな企業でも、商品開発が成功して売上への貢献ができれば、当然、経営の安定度は上がります。
しかし、商品開発の成功率は低く、通常の運転資金とは別の資金が必要となります。
そのため、意思はあっても開発に挑む中小企業は少数派です。
米国のように失敗しても何度でも挑戦できる土壌がある国と違い、日本では、どうしても危険な冒険になってしまいます。
資本市場が投機の場から成長できず、未成熟なままであることが大きな要因です。
 
弊社の現在の主力商品である「建設業向けの基幹業務システム」も、何度かの開発挑戦と失敗を乗り越えた末の唯一の成功です。
当然、それまでに失敗した開発に投じた資金の回収はできませんし、新たな開発資金の調達との二重負担となってきました。
受託開発の利益を蓄積してきた資金は1年もせずに消え、借入金で継続した商品開発も、完成ができないまま、資金が底を尽きました。
 
それでも、開発を諦めれば会社は終わるので、さらなる資金調達に奔走しました。
取引していた銀行からは「もう無理です」と言われたので、新興バンクやノンバンクとの交渉に臨みました。
金利はかなり高くなりましたが、ある程度の調達はできました。
しかし、それでも完成は遅れました。
仕様が明確な受託開発と違い、商品開発は試行錯誤の連続になります。
時間も資金も計画は狂いっぱなしです。
 
ついには、闇金にも行きました。
そこは、コミックや映画で“おなじみ”の「闇金のウシジマくん」の世界でした。
当時の自分の気持ちは相当に追い込まれていましたが、彼らの言動を観察するだけの余裕は残っていました。
いかなる場合でも、追い込まれた時に必要なのは、この「観察する余裕」です。
無理にでも心理の片隅に余裕を作るのです。
具体的には、相手の表情や言動を観察することが出来ているかどうかで、自分の心理の中に余裕があるかどうかを判断するのです。
この観察が出来ていないと感じたら、交渉を打ち切ることが肝心です。
何軒かの店では、こうして店を出ました。
その時は、「ふん、他にもあるさ」とうそぶくことで自分を保っていました。
 
そうして得た経験から言えることがあります。
まず、彼らは「嘘ばかり言います」
例えば、「債務者のデータを管理する裏のデータバンクがあり、自分たちはアクセスできる」とか言って、どこかに電話を掛けたり、衝立の向こうのパソコンでアクセスしたりします。
でも、そんなデータバンクは無いし、アクションもポーズだけです。
ただし、仲間の同業者たちとはある程度の情報交換はしていますから、全部ウソということでもありません。
それでも、自分の胸に手を当てて冷静に考えてみれば、彼らの嘘は見抜けます。
 
彼らは、必ず引っ掛けの問いを仕掛けてきます。
例えば「他に隠している借入があるね」とかの誘導尋問です。
それに対し、あったとしても、「無い」と言い切ることが交渉のミソです。
 
それと、チラシや広告に書いてある金利は、ぜんぶウソです。
それはそうです。
「といち(10日で利子1割)」なんていう違法をチラシには書けませんから。
 
借金をする時の鉄則があります。
「自社の粗利%以上の金利で借りたら、返せなくなる」という原則です。
でも、「赤字で借金するんだから、粗利うんぬんなんて言ってられないだろ」と言われそうですね。
それはそうなんですが、売上ゼロでもない限り、短期で赤字から黒字にする方法は必ずあります。
枝葉のことを切り捨て、会社を極限までスリムにする策を考えれば、黒字にできるはずです。
もし、見つからなかったら・・
その時は会社を整理するしかありません。スッパリと諦めましょう。
 
ということで、この話、次回も続けます。
 
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃◇中古車市場の闇                     ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
中古車販売大手のビッグモーター社の不正問題は、中古車販売という商売の難しさというか不透明性を浮き彫りにしました。
我々にとって身近な存在である自動車ですが、多数の死傷者を生み出し続けている凶器でもあります。
反面、その利便性と一種のステータスを感じさせる魅力から、所有欲を刺激し続けてきた商品です。
しかし、価格の高さゆえ、所有を諦めてきた潜在ユーザーは膨れ上がってきました。
そこに中古車販売というビジネスが生まれました。
さらに、「粗利益=販売価格-仕入れ価格」という単純でリスクの少ない商売のため、参入が相次ぎました。
車の性能および耐久性が上がるにつれ、商売のリスクは下がり市場は膨れ上がり、ついに新車販売市場を超えるまでに成長しました。
 
しかし、自動車は非常に高度で複雑な技術製品の塊です。
中古車販売においても、そうした技術の習得は必要不可欠なはずです。
私は、10代で免許を取得して以来、半世紀以上の年月を車のオーナーとして過ごしてきました。
大学の専攻は機械工学で、仲間と一緒に部品を買い集めて自動車を組立てたこともあります。
レーシングチームのメカニックの手伝いをしたこともあります。
そうした経験から車のメカには自信を持っていました。
しかし、中古車の査定はもちろん、メカ的に問題はないかなどの判定はできません。
 
私は、今まで19台の車を購入しましたが、一度だけ中古車販売店から買ったことがあります。
主に担当していた工事現場への通勤用に使っていました。
そんな、ある日のことでした。
出発が少し遅れたので、見通しの良い道でアクセルを軽く踏み込んだ瞬間、車が急停止して激しくつんのめり、危うくひっくり返りそうになりました。
停車して調べたところ、前輪のディスクブレーキのブレーキパッドが外れて、金属のディスクが車輪に食い込んでいました。
それで前輪の回転が急停止し、ひっくり返りそうになったわけです。
幸い、他の車も歩行者もいなかったので事故は免れましたが、危ないところでした。
その車を買った時に、メカは入念に調べましたが、ブレーキの劣化は見抜けませんでした。
つまり、誰もが販売店を信用するしかないのです。
 
ビッグモーター社は、仕入と販売だけでなく修理業務を取り込んだことが大成功への道でした。
車の修理は専門技術を持つ修理工場でないと無理で、勇気ある挑戦といえます。
同社のような独立系の他に、メーカーディーラー系の販売店があります。
そこは、当然修理業務を行っています。
扱う取替え部品の大半は、メーカーから認定された純正部品の新品です。
信頼性は高いですが、費用も高いです。
ビッグモーター社は、廃車や事故車などから流用した部品を使うことで修理費用を抑え、ユーザーを拡大してきました。
誰だって“信用できれば”安いほうが良いですから、当然といえます。
 
しかし、取替の工賃は変わりませんし、時には新品以上に手間がかかります。
そうした工賃の増加を、今回発覚した禁断の手口でカバーすることに手を染めてしまったわけです。
同社の行為は、中古車市場の闇を浮き彫りにさせた側面があり、中古車業界全体のイメージダウンは大きいと思われます。
今後、同社が企業として存続できるかどうかは分かりませんが、業績の落ち込みはかなりになるでしょう。
 
----------------------------------------------------------------------
<編集後記>
大リーグの大谷翔平選手、ボクシングの井上尚弥選手、この2人は今まで想像すら出来なかった規格外のアスリートと言えます。
彼らの舞台は世界ですが、そうした気負いを感じさせず「当然!」という姿勢には、化石世代といわれる私は、ただただ感心するしかありません。
ビジネスや政治の世界でも、そうした正統派の若者が輩出して欲しいものです。
 
 
 
----------------------------------------------------------------------
◎[PC]配信中止、変更の手続きはこちら
http://www.halsystem.co.jp/mailmagazine/
このメールは送信専用です。お問い合わせはこちらからお願いします。
http://www.halsystem.co.jp/contact/
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
【編集・発行】
  株式会社ハルシステム設計
http://www.halsystem.co.jp
 
  〒111-0042 東京都台東区寿4-16-2 イワサワビル
  TEL.03-3843-8705 FAX.03-3843-8740
 
【HAL通信アーカイブス】
http://magazine.halsystem.co.jp
 
【お問合せ・資料請求】
email:halinfo@halsystem.co.jp
tel:03-3843-8705
 
Copyright(c)HAL SYSTEM All Rights Reserved.
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵