2015年8月31日号

2015.08.31

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2015年8月31日号
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               発行日:2015年8月31日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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          2015年8月31日号の目次
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★ギリシャ問題でドイツは“濡れ手に粟”?
★ソフトバンクの戦略は誇大妄想か?
★地方創生は尻すぼみ
☆小さな会社の大きな手(6):事業継承とイノベーション
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こんにちは、安中眞介です。

前号(8/15号)で、安倍総理の名前が“安部”になっていました。
お詫びと訂正をさせていただきます。

今号は、経済、経営の話題をお送りします。
世界同時株安は数日間で止まりましたが、不安定さは相変わらずです。
ですが、世界中でおカネがだぶついている状況に変わりはありません。
ゆえに、いったん暴落しても、必ずストップがかかるということです。
株式市場は、まだまだ、うまく立ち回れば大儲けの世界のようです。

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┃★ギリシャ問題でドイツは“濡れ手に粟”?              ┃
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ギリシャ問題を冷静に分析してみれば、「民主主義」の欠陥が浮き彫りになってくる。
8月18日、ギリシャ政府は、14の地方空港の運営権をドイツの空港運営企業「フラポート」に売却すると発表した。
売却額は12億ユーロ(1,620億円)、かつ、空港の賃貸料として毎年2.300万ユーロ(31億円)がドイツからギリシャに支払われる。
更に、運営利益の25%が今後40年間ギリシャの民間航空局に支払われるという。
さらにさらに、ドイツの運営会社「フラポート」は、今後の4年間で3億3,000万ユーロ(445億円)を空港の改善費として投資(最終的には14億ユーロ(1,890億円)の投資を見込んでいる〉することを約束した。

なぜ、ドイツは、ギリシャにとってはこれほどの好条件で空港の運営権を買い取ったのか。
当然、「大儲けができる」からである。
ギリシャは観光大国である。
観光収入は、ギリシャGDPの18%にも達する。
日本を訪れる観光客が昨年1300万人に達し、政府は2020年までには2000万人突破をと意気込んでいるが、ギリシャの観光客は、すでに昨年で2,400万人である。
今年は、政治的および経済的不安から減少しているが、すぐに回復するだろうと言われている。
つまり、14の空港から得られる収入は、莫大な額が見込めるのである。

実は、この民営化案は、現在のチプラス政権と国際債権団との支援金交渉の結果生まれたものではなく、昨年11月に前政権と「フラポート」の間で大枠の合意が交わされていたものである。
それを、1月の総選挙で勝利したチプレス政権が、「国有財産を売却するというのは犯罪行為だ」として凍結したのである。
大衆というのは、時に、このような勇ましい主張に簡単になびいてしまう。

しかし、わずか半年で、チプラス政権は、否定したはずの前政権の国有資産の民営化プランの実施という180度の方向転換をした。
もちろん、国家のデフォルトという現実に抗しようもなかったのであるが、こんなことは半年前の選挙時にはわかっていたことである。
民主主義とは、危機に際しては脆(もろ)く、このような馬鹿げた結果を招く制度でもある。

結果が分かりきったことでも、大衆の怒りや不安に火がつくと、最も愚かな選択を行う。
そして、その火付け役は常にマスコミである。
完全な民主主義ではなかった戦前の日本でも、同様の図式でマスコミに火を点けられた大衆の意思が政府に戦争への引き金を引かせた。
断言するが、戦争を開始した直接の責任者は旧軍部であるが、引かせたのはマスコミに煽られた国民である。
今の韓国も全く同じ図式で、民衆は熱病的な反日報道に扇動され、政策はどんどん狂ってきている。
その点、民主主義の下でナチスの台頭を許した過去の苦い経験から、ドイツは民主主義の欠陥を逆に利用する手を考えたのである。

話を経済問題に戻す。
EUなどギリシャの債権団は、ギリシャの国有財産の価値を500億ユーロ(6兆7,500億円)と評価して、民営化を要求した。
つまり、ギリシャ政府に対し、「売れ」と要求したのである。
そして、第3次金融支援の見返りとして、支援の中心にいるドイツに、ギリシャ経済からの利益という“美味しい”道を与えたのである。

ドイツの野望は、このくらいで止まるはずはない。
次の対象は、ギリシャ最大のピレウス港、そしてティサロニキ港と言われている。
実は、ピレウス港は、既に中国遠洋運輸(COSCO)が“つばを付けている”ので、ドイツはティサロニキ港を狙っている。
更に、ドイツや中国は、鉄道、高速道路、コンテナーターミナル、電力、ガスなど、根こそぎギリシャの資産を奪い取る算段をしている。
チプラス首相は、ギリシャ経済の回復という人質を取られ、メルケル首相の忠実な下僕になっていると言われる。
その見返りは第3次支援でのドイツのカネ、170億ユーロ(2兆2950億円)である。
メルケル首相のほくそ笑む顔、そして、この利権に食い込もうと虎視眈々と狙っている習近平主席の猛獣のような顔が浮かんでくる。

民主主義が、愚かな大衆と力のない政府の組み合わせとなった場合、国際政治・経済の世界では、食い物になってしまうという教訓である。

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┃★ソフトバンクの戦略は誇大妄想か?             ┃
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今年6月、ソフトバンク社長の孫正義氏は、「後継者の筆頭」として、Googleの上級副社長を務めたニケシュ・アローラ氏をソフトバンクの副社長に任命した。
このニュースは、アローラ氏の役員報酬額が165億円と破格であったことから、ビッグニュースとして報道された。
孫社長自身の役員報酬額が1億3100万円と言われているので、驚きは倍加された向きがある。
だが、スカウトした上級幹部の報酬が、オーナーの報酬を大きく上回ることは、ままあることである。
私も、新規に起ち上げた会社の社長に外国人を登用したことがあるが、自身の報酬額の10倍にした経験がある。
しかし、うまくいったのは最初の数年だけで、結局、この会社は整理するはめになった。
ソフトバンクの場合は、規模も額も桁違いなので、私の場合と比較にはならないが、掛けには違いない。
どのくらいの成功確率を想定した上での決断だったのか、孫社長に聞いてみたいものである。

孫社長は、ソフトバンクの株価を2030年に時価総額200兆円にして世界のトップ10に入るという目標を掲げている。
現在のソフトバンクの時価総額が約9兆円なので、20倍以上である。
というより、日本の現在のトップ企業トヨタでも、時価総額は約28兆円である。
「本当にできるの?」と誰もが“眉唾もの”と思っている(私も含めてです)。

アローラ氏がインド人ということもあって、今後飛躍的に発展するというインドに目を付けた人事だとする向きもある。
たしかに、孫社長は、通信事業はアローラ氏をはじめとする幹部に任せ、自身は、投資事業に専念すると言われているので、あながち的外れとは言えない。

だが、何しろ、数字の単位が大きすぎて、我々中小企業にとっては、雲の上の世界である。
それでも、経営戦略としての評価はできる。

ソフトバンクという会社は、ユニクロや楽天のように、自らが興した事業で成功した会社ではない。
Yahooの買収で巨額の資金を得て、M&Aを繰り返してきた会社である。
本業にしようとしている通信事業にしても、英国Vodafoneを買収したものである。
その買収金額もまだ回収できていないと言われるくらい、本業での大成功は果たせていない。
乱暴な比較だが、私は、破綻したライブドアに近い会社と見ている。

そうした“M&A企業”とのレッテルを剥がしたかったのか、世界一の通信事業会社になることを狙い、1.8兆円を投じて傘下に収めた米携帯業界3位のスプリントの買収は完全な失敗との見方が強い。
ただ、投資において、20億円で手に入れた中国アリババの株が大化けして、時価総額8兆円となり、スプリントの買収失敗の穴は完全に埋まってしまった。
先見の明があるというか強運というかは分からないが、投資の成功確率が低いことを承知で、とにかく数多くの投資を矢継ぎ早に行うという「下手な鉄砲も数撃ちゃ・・」戦略で、大化け株に当たったということであろう。

つまり、孫正義という経営者は、事業経営者というより、博打(ばくち)経営者なのであろうと見ている。
この能力(強運力?)は、誰も引き継げないので、アローラ氏の抜擢となったのであろうか。

でも、最近のアローラ氏の言動には、“うさんくささ”がつきまとう。
アローラ氏は、600億円で自社株を買ったと発表し、「会社を愛している証拠」だと発言した。
だが、この発言を額面通り受け取れるはずはないし、600億円の出処も不明である。
会社からの臨時報酬だとしたら、半分以上は税金に取られるため、この報酬額は1000億円以上になるはずである。
それは、いくらなんでも巨額すぎる。
だから、この自社株購入自体が煙幕である可能性すらささやかれている。

これがアローラ氏の個人的資質であるなら、うさんくさい経営者と言わざるを得ないし、孫社長の戦略であるなら、危なすぎると言わざるを得ない。

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┃★地方創生は尻すぼみ                    ┃
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アベノミクス第三弾の目玉とされ、石破茂氏という安倍首相の対抗馬である政治家を担当大臣に据えて発足した「地方創生」ですが、その効果がさっぱり見えません。
そして、この停滞が、アベノミクスの評価に影を落としている一因かもしれないと思います。

そもそも、地方創生の仕組みも組織も、実施していることも、国民にはさっぱり分からないのではないかと思います。
試しに、何人かの知人に聞いてみましたが、的確に答えられた人は皆無でした。
家庭の主婦や若者に至っては、全く分かっていませんでした。
いえ、私自身、調べてみて「へ~、そうなんだ」と初めて分かったことも多かったのです。

読者の皆様には“釈迦に説法”ですが、知識の整理を兼ねて、簡単な解説をしてみます。
まず組織ですが、内閣の中に「まち・ひと・しごと創生本部」が設置されています。
しかし、臨時組織であるが故、他省庁のような専任の官僚がいるわけではなく、事務は内閣官房が代行で行っています。
本部長は安倍総理大臣で、副本部長が石破地方創生大臣となっています。
本部員は「全ての国務大臣が担う」と書いてあるように、実際の仕事は、各省庁や地方自治体が行っていますが、このことが、国民の目から見たら「分からない」の原因となっているように思います。

また、実際に仕事を行っている役人の方々にしても、通常業務より優先して実務に当たっているとはとても思えない状況があります。
仕事自体が臨時の仕事で、その遂行に対する評価も曖昧な状態では、業務遂行が低調になってしまうのは当然です。

一応、本部が「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し実施することになっていますが、今年度の概算要求2160億円のうち、本部の策定分は1080億円で、他は地方自治体で策定したものを寄せ集めています。
これらの事業資金は「新型交付金」として別枠の予算処置が取られますが、具体策となると「高齢者の移住促進」とか「都市のコンパクト」などのソフト事業が大半で、しかも従来の施策と代わり映えのしない内容ばかりです。
「先進的な事業を支援する」と言うには、あまりにも寂しい内容です。

建設後の運営費の負担を考えてか、地方の建設業界が期待するハード事業は、ほとんど見られません。
業界にしてみれば、完全な「肩すかし」状態です。
ソフト事業にしても、実態は、従来の補助金行政となんら変わりなく、新鮮味はゼロです。
極論すれば、構想だけで中身は乏しく、結果として予算をドブに捨てるようなものと言えるかもしれません。

それでも、せっかく予算が付くのであれば、我々が取り組んでいる事業に絡めて、提携している地方自治体と一緒に、役立つ施策を探して応募してみようかと思います。
結果は、本メルマガで紹介していこうと考えています。

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┃☆小さな会社の大きな手(6):事業継承とイノベーション      ┃
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イノベーションの続きです。

前号で、マネジメント型の企業後継者は、イノベーションを起こしにくいと書きましたが、「起こせない」わけではありません。
しかしながら、組織の内外から、前任者の「継承」が求められるため、それに縛られてしまいます。

さらに、前任者の事業が軌道に乗っている中での継承であれば、周囲は100%の継承を求めるでしょう。
しかし、それでは、事業継承が企業衰退のスタートとなってしまいます。

たとえ業績が好調な中でも、後継者は、前任者の施策の30%は変えるべきなのです。
そうです。 「30%のイノベーション」は、企業が伸びていくための必須数字なのです。

ましてベンチャー型の企業であれば、この比率は50%以上となるでしょう。
ゆえに、大企業になってしまったベンチャー企業は、事業継承が極端に難しくなるのです。
ソニーやシャープの衰退は、その典型的な例です。
マイクロソフトやアップルも後継者の時代になって、完全に成長は止まってしまっています。
このままでは、やがて衰退への道をたどるでしょう。
ソフトバンクやユニクロなど、まだ創業者が引っ張っている企業も、やがて来る事業継承によっては、衰退への道へ向かうかもしれません。

では、事業継承とイノベーションをどのように組み合わせれば、さらなる発展へとつなげることができるのでしょうか。
一番確実な方法は、飛び抜けた技術能力を持ちながら、マネジメント能力も人並み以上の人材を見つけて後継者にすることです。
しかし、このようなスーパーマンを見つけることは至難のことです。
社長のお子さんが、そのような人材であれば最良と思えますが、大塚家具の例もあります。
自分の路線を否定された前任者が“ガマン”できないことは十分に考えられます。
大塚久美子社長のように、裁判になっても、父親に対し一歩も引かないという強い経営者である必要がありますから、実務とマネジメントの両方の才能、経験とともに、鋼鉄の精神力の持ち主であることが必須となります。
さすがにハードルが高そうです。

次に考えられるのは、技術能力の高い者から抜擢し、徹底的なマネジメント教育を施し、育て上げることです。
米国の事業継承者に多いタイプですね。
日本でも、これからの経営施策の一つとなっていくと思います。

三番目の方法は、逆にマネジメント能力の高い者を抜擢する方法ですが、この場合、技術教育をしてもその能力向上には限界があるということが違います。
マネジメント能力は、机上の学問でもハイレベルに持っていくことは可能です。
しかし、技術能力は机上の学問だけでは向上しません。
実務経験と専門的センスが欠かせないからです。
ですから、この場合は、技術教育は「効果なし」と思ったほうが良いようです。

ではどうしたら良いのでしょうか。
マネジメント型の後継者には、本物の専門家を見抜く力と彼らを使う力を付けさせていけば良いのです。
ただし、創業者のような“力ずく”の強引さではダメです。
使われる専門家の合意を引き出しながら使う力です。

私の兵法の先生であった故武岡先生は、戦争末期に陸軍士官学校を卒業し、すぐに小隊長として最前線に送り出されました。
50名の部下の大半は、19歳の先生より年上の兵隊ばかりでした。
その中で得た教訓として、先生は「兵隊は命令で動くのではない。納得して動くのだ」と、よく仰っていました。
26歳で終戦を迎えた私の父も同じようなことを言っていました。
父は、太平洋の最前線で、砲兵大尉として、米軍と死闘を繰り広げました。
 砲兵陣地の指揮官として、「敵に損害を与える前に、どうすれば部下の損害を最小化できるか」を、部下と一緒に考えていたと言っていました。
歴戦の経験を持つ部下の兵隊は、先生や父より射撃や砲撃の能力は高かったと思います。
その専門家たちを巧みに使うため、彼らの命を大事に考え、共に戦ったことで生存できたのだと思います。
若い後継者が第一に考えるべきことだと思います。

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<後記
上海市場での株価の暴落で分かってきたように、軍事面のみならず、経済面でも中国は大きな波乱要因となってきました。
市場経済化してきたとは言っても、共産党一党独裁の政治形態です。
民主主義のような、政策の過ちをチェックし是正する仕組みがありません。
自由主義陣営は、軍事面同様、経済の暴発を抑制するための連携が欠かせないということです。
 
しかし、自由主義陣営の一角のはずの韓国が中国の戦略に絡め取られていく危険が増しています。
中国は、韓国を傘下に従えた上で、北朝鮮の政権を屈服させ、半島の統一を中国主導で成し遂げようというのでしょうか。
日本は、経済面でも、半島から一歩も二歩も下がっておいたほうが良いと言えます。
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