2017年3月31日号

2017.04.17


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2017年3月31日号
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発行日:2017年3月31日(金)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2017年3月31日号の目次
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★働き方改革に対する違和感
★あの東芝が・・・(その2)
★自由経済と過剰品質(3)
☆短期的変動に備える経営へ(3)
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は経済、経営の話題をお送りします。
常套文句の「光陰矢の如し」を実感する年度末です。
ところで、この日本語、日本人の感性の豊かさを感じさせる言葉と思いませんか。
英語のTime flies like an arrow(時は矢のように飛ぶ)という直接表現より、ずっと詩的です。
でも、「忖度(そんたく)」という言葉は、国会という立法府での議論にはそぐわない「違和感」を覚える言葉です。
このまま「SONTAKU」という英語にでもなったら、末代までの恥となります。
「議員のみなさん、日本の恥となる言葉を残さないでください」と言いたいです。
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┃★働き方改革に対する違和感                    ┃
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本日(31日)は、2回目の「プレミアムフライデー」ですが、年度末ということもあり、全く盛り上がらないようです。
TVニュースもほとんどスルー状態です。
その一方で、残業規制の法強化は、産業界から異論が出て迷走気味です。
「規制を強化せよ」の声は、過労死や自殺報道が起こる度にあがってきましたが、今回は電通社員の自殺を契機に様子が違ってきました。
そもそも、残業規制の議論は、自殺や過労死という「人の死」が発端となることが多いため、議論の方向が捻じ曲げられる傾向があります。
今回も、自殺した電通社員の親御さんが報道陣の前で悲痛な訴えをする場面が何度も放映されてきました。
記者会見を聞いていると、どのような案が出ても、ご遺族は納得しないだろうと思ってしまいます。
「残業は完全禁止」という法案でも出来ない限り、納得は得られないのではないでしょうか。
ご遺族の気持ちを考えれば、そもそも納得など出来るはずはないでしょう。
しかし、あえて言いますが、この図式にはどうしても違和感を憶えるのです。
本来、就業とは「雇用主と従業員との個別契約」です。
そこでは、双方対等の権利を有しています。
であれば、何も国が仲介に乗り出す必要はないわけです。
しかし、雇用側のほうが圧倒的に強い力を持っているため、従業員が不当な扱いを受けないようにと労働法が整備されているわけです。
つまり、労働法は弱者保護の法律であり、国は常に「労働者の味方」だと宣言しているわけです。
であるなら、弱い労働者は守ってやる必要があるが、強い労働者には不要だと思うのです。
個人が自分の意思で「私は強い。いくらでも働きたい。だから残業に上限など不要だ」と言っても、一律に法違反となるわけです。
現行法は、そのような強い労働者は独立して自営業者となりなさいと言っているようなものです。
極論かもしれませんが、それもまた妙な話です。
この強い・弱いは、その人が持っている能力やキャリアの差もありますが、それよりも、各人が持っている信条と覚悟の差だと思うのです。
そして、それは親を含めた様々な指導者による教育によって育まれるもので、やはり教育に行き着くわけです。
しかし、その教育を愛国やリベラルといったイデオロギー化する傾向にあるのも現代です。
そうした根底の問題を無視して、労働時間だけを問題視する議論は虚しいと思うのです。
サラリーマン時代の私は、会社からも労働組合からも問題視される社員でした。
規則であるタイムカードを押さずに働き、逆にストライキを無視して働くという、とんでもない問題社員です。
しかし、そうした行為は、「自分は会社と同等の存在であり、労働組合に守ってもらう必要もない」と考えての行動でした。
残業が何時間になるかなど頭の片隅にも存在していませんでした。
まあ、それは極端な例で参考にもなりませんが、昔の自分のような社員は現代でも“いる”と思います。
労働法の罰則が強化されると、そんな社員は処罰の対象になるのでしょうか。
また、そんな社員を抱える企業も罰せられることになるのでしょうか。
世間的には“ブラック企業”と言われるであろう経営者の独り言でした。
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┃★あの東芝が・・・(その2)                   ┃
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ついに、東芝が、買収した米国の原発メーカー、ウエスティングハウスの破産宣告をしました。
同時に、東芝の今期赤字は1兆円を超えるとの発表です。
巨額すぎてピンと来ない数字です。
今号では、その原因となった米国の原子力メーカー「ウエスティングハウス」の買収について分かっていることを解説します。
そもそも、ウエスティングハウスは、1953年に世界初の原子力潜水艦「ノーチラス」の原子炉を製造納入したことで知られる超優秀な会社でした。
初の原子力空母エンタープライズの原子力エンジンも、この会社の納入です。
また、原子力メーカーである以前に、重電メーカーとして高収益を上げる超優良企業でもありました。
日本でいえば、日立製作所や三菱重工業のような会社だったわけです。
原発メーカーとしても、GEとならぶ2大メーカーでした。
私が原子力プラントの設計などに携わっていた当時は「スゴイ技術」を要する先進企業とのイメージでした。
しかし、東芝が買収して子会社にした頃は、ピークを過ぎた下り坂の会社になっていました。
でも、この買収話を聞いた時、すぐに疑問を持ったのは、そのことより原子炉の型についてです。
原子炉(軽水炉)には、蒸気を使う沸騰水型と高温水を使う加圧水型の2種があることはご存知のことと思います。
米国ではGEが沸騰水型、ウエスティングハウスが加圧水型の原子炉を製造していました。
日本は、原子炉の導入を決めた時、通産省の指導により、東日本の電力会社(東電など)は沸騰水型、西日本の電力会社(関電など)は加圧水型となりました。
(北海道は例外で、「とまり原発」は加圧水型の原子炉です)
同時に、沸騰水型は日立と東芝、加圧水型は三菱と、担当する原子炉メーカーも決まりました。
もうお分かりのように、東芝とウエスティングハウスは扱う原子炉の型が違うのです。
ですから東芝は、自らの技術の進化というより、沸騰水型と加圧水型の両方の型の独占を考えたのだと思います。
実際、ウエスティングハウスが新開発したAP1000型原子炉は次世代型の優れた設計で、米国を中心に10基の受注を得、さらに4基が内定していると言われています。
受注金額は、最初の4基で2兆円、全部では8兆円に及ぶと言われています。
しかし、大きな誤算がありました。
福島原発事故の影響で工期が大幅に伸び、建設コストが大幅に上がり、採算見通しが立たなくなったのです。
さらに、ウエスティングハウス破綻の直接の原因は、本体ではなく同社が買収したCB&Iストーン・アンド・ウェブスター社の数千億円に及ぶ損失と言われてます。
報道では、このことを見抜けなかった東芝経営陣の失態となっていますが、本当にそうでしょうか。
私の知るところは少し違います。
東芝のウエスティングハウスの買収を示唆したのは通産省であり、後ろには日本政府、さらに後ろには米国政府の存在がありました。
少し考えるだけで、この意味はわかると思います。
ウエスティングハウスは、米軍の原子力艦艇のエンジンを一手に引き受けてきた会社です。
米国としては、この会社が破綻して、万が一中国の手に落ちるような悪夢は見たくないでしょう。
つまり、東芝は「カネは出すが、口は出さない」という金庫のような存在だったのです。
事実、かつて、東芝の幹部はそのようなことを口にしていました。
全ては米国の事情が優先されていたのです。
ということは、結局、日立か三菱が後を引き受けさせられるということになるのでしょうか。
しかし、この問題の背景にはもっと重大な局面があるのです。
野党は、森友問題で安倍首相の首を取ろうとやっきになっていますが、はるかに大きな東芝問題にはひと言も言及していません。
こちらのほうが重大な問題なのですが・・
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┃★自由経済と過剰品質(3)                    ┃
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五輪招致の時に話題になった「おもてなし」は、日本の美徳として伝えられ、日本人の自尊心をくすぐりました。
しかし、そこに「ブラック客」を生む素地があることまで考えた人は少なかったと思います。
「おもてなし」の言葉には「心を込めた無償の奉仕」という意味が込められています。
利害を伴わない場面においては、人と人との潤滑油として最適な効果をもたらします。
しかし、商売という利害行為にこの精神を持ち込むと少々ねじ曲がっていきます。
過剰な「おもてなし」精神が、「過剰品質」の要求を当然と考える「ブラック客」を生むことに繋がるのです。
もちろん、自由経済下における“仁義なき”価格競争がダンピング合戦を生むことを、私たちは嫌になるほど経験しています。
商売における「おもてなし」は、そうしたダンピング合戦を回避する手段とも言えます。
しかし、そのことが今度は「ブラック客」を生むとしたら、どこまでいっても解けない「メビウスの輪」となってしまいます。
では、国交省が3月16日付けで不動産協会等の民間発注者団体に要請した「適正価格での発注」は、その輪を解消するカギとなるのでしょうか。
日本が自由主義の自由経済の国だとすれば、この国交省の要請は行き過ぎといえます。
末端の労働者の生活を守り、若者に魅力的な産業だと思わせ、建設産業を守りたいとする考えに間違いはありません。
しかし、そのために自由経済の原則を崩し、民間取引に国が介入することは本末転倒といえます。
税金で維持される国や地方公共団体と違い、民間発注者は、自らの商売の利益で生きていかなければなりません。
原価を下げられるだけ下げたいのは当然です。
建設会社の見積りに「法定福利費を入れよ」といったところで、他で値引きすれば何の効果もありません。
元請け、下請け、孫請け、ひ孫請け・・と続く商売の階層構造が、その連鎖をより複雑に、より深刻にしていきます。
そうした階層の頂点に位置しているのが発注者(民間も含めて)ですので、今回のように国交省が介入したくなる気持ちはわかります。
しかし、この介入には大きな不備があります。
階層の頂点に立っている本当の発注者は、最終消費者(つまり、一人ひとりの国民)です。
国交省は、そこまで立ち入って「値引きを強要しないように」とでも言うつもりなのでしょうか。
そうなると、全てを国が仕切る「共産主義が良い」というジレンマに陥ってしまいます。
「ブラック客」はそうしたジレンマの上に咲いた“あだ花”なのでしょうか。
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┃☆短期的変動に備える経営へ(3)                 ┃
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前回示した7つの手順を復習します。
1.これからの9年間の「経済環境の変化」を予測する。
2.その変化を利用する9年間の経営方針を決める。
3.経営方針に沿った経営戦略を明文化する。
4.各戦略ごとの戦術を作り、その数値目標を時間軸に沿って並べる。
5.各数値目標の整合性をチェックし、是正を加える。
6.数値シミュレーションの仕組みを作る。
7.変化が予測から外れた場合の「代替戦術」を、最低2つは作っておく。
これで、9年後の目標に向かう道筋とその検証方法を作ることが出来ると述べました。
その上で、前回は「金利」を取り上げて1番と2番を解説しました。
そして、3番以降は、今回解説すると予告しました。
しかし、読者のみなさんが退屈しそうなので、予告を変更します。
「なんといいかげんな」とお叱りを受けそうですが、お許しください。
実は、この7つの手順を作る前に、全体を貫く基本の考え方を理解してもらうことが必要と考えたのです。
それは以下です。
・到達すべき目標と到達時間を、すべて数字で表現する
・目標数字に至る道筋は、善悪を一切考えずに、最短ルートで描く
・すべての道筋でのリスクを書き出し、リスクの発生確率と発生した場合の損害を数字で計算する
・「発生確率×損害額」の大きな順からリスク回避の回り道を描く
・回り道のため到達時間をオーバーする場合は、別の道を探すか、時間引き伸ばしの策を別に作る
・最後の項目が作れない場合は、最初から考え直す。
弊社は、自社だけでなく、かなりの数の会社の問題解決の支援に尽力してきました。
その時の原則も上記と同様ですが、残念ながら手遅れというケースもあります。
上場企業の倒産事例などを分析すると、だいたい倒産の3年前に実質的に倒産しています。
中小企業の場合は、入手できるデータが少ないので一概に言えませんが、半年早く相談に来ていればと思うケースもあります。
次回は、9年後に至る市場の動きを考えてみたいと思います。
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<編集後記>
いやな言葉が増えたと思います。
通称「カジノ法案」を受けて、大阪府と大阪市が合同で統合型リゾート・IRについての推進会議を開きました。
そのこと自体は良いのですが、松井一郎知事の以下の発言に引っかかりました。
「オール大阪で世界に類を見ない圧倒的なIRを大阪夢洲で実現したい」。
イヤな言葉だなと感じたのは「オール大阪」という言葉です。
沖縄の辺野古移転問題で翁長知事がさかんに口にする「オール沖縄」を意識したのかもしれませんが、「反対する者はいない。いや許さない」というような威圧的な言葉に感じてしまうのです。
同様に「○○ファースト」もイヤな言葉です。
東京都の小池知事が「都民ファースト」と言い、トランプ米国大統領が「アメリカファースト」と言う。
両者の発言の主旨は全く違うのでしょうが、反対者や外の人にとっては、自己中心、排他主義と聞こえてしまう言葉だと思います。
読者のみなさまはどう思われますか。
私は考え過ぎなのでしょうか。
<建設ビジネスサロン>
いよいよOFFサイトでのサロンも開催する予定です。これを期にサロン会員になられることは歓迎です。
何らの義務もありませんので、お気軽にお申し込みください。
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