2015年6月16日号

2015.06.16

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2015年6月16日号
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                発行日:2015年6月16日(火)

いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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          2015年6月16日号の目次
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★安保法制と憲法学者
☆良くも悪くも民主主義
★戦争と平和(その6):中国の海洋戦略
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こんにちは、安中眞介です。

本号は国際問題、政治問題の号です。
安保法案をめぐり国会が紛糾しています。
国会の外でも「安全保障関連法案に反対する学者の会」なる会が発足し、2739人もの学者が名前を連ねたと報道が伝えています。
衆院憲法審で同法案を「違憲」と断じた二人の教授は、記者会見で「安倍政権は北朝鮮と同じだ」と述べ、政権打倒まで口にしています。
平和を声高に主張する学者や文化人の方々の言動が、どんどんエスカレートしていくことに戸惑いを覚えます。
言論の暴力化こそ危険な兆候ではないかと思うのですが・・

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┃★安保法制と憲法学者                    ┃
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政府与党は、安保法案をめぐり迷走を続ける国会の会期を9月まで延長する検討に入った。
その迷走を作った大きな要因が、衆院憲法審で与党側を含む参考人3人全員が「違憲」との認識を示したことにある。
数の上で劣勢な野党が、この違憲認識に飛びついたのは当然である。
対する与党は、半世紀以上も前の「砂川判決」を持ち出し「合憲」への巻き返しに懸命であるが、世論調査の結果を見る限り旗色は悪いようである。

しかし、ことの本質は「これからの日本の防衛をどうすべきか」であり、それを決定するのは憲法学者でもなければ、砂川判決でもない。
それなのに、与野党とも、自分の頭で考えた意見ではない「他人の見解」をぶつけ合っている。
延長国会では、双方、頭を冷やして、本質の国会議論に立ち戻って欲しいものである。

今回の安保法案の、そもそもの論点は「集団的自衛権の行使容認」である。
そして、これまでの歴代政権は、集団的自衛権の行使は『出来ない』と明言してきた。
安倍内閣は、その見解を180度変え、『出来る』とした上で、米国との安保条約のガイドラインの改訂に臨んだわけである。
中国の軍事的脅威が増すことに神経を尖らせていた米国は、安倍内閣の見解変更を歓迎し、見返りに「尖閣防衛」の約束を表明した。

これが安保法案の第1ラウンドであるが、集団的自衛権の行使のためには、それを可能にする国内法の整備が必要である。
これが、現国会で進められている安保法案の上程であり、第二ラウンドなのである。

ところが、憲法学者を呼んだところから国会論議が迷走し、さらに半世紀以上も前の判決まで持ちだしたことで、一層迷走の度合いを深めてしまった。

憲法学者たちは、学術として憲法を研究しているだけであり、国際情勢の複雑さや、日本を取り巻く状況の変化を組み込んだ「生きた」研究をしているわけではない。
あくまでも参考意見に過ぎないものが、マスコミの扇動によって、主役に祭り上げられてしまった。
祭り上げられた当の学者先生たちは、のぼせ上がってしまい、政権打倒まで口にする始末である。

そこで、私は、日本国憲法の制定時にさかのぼって、事実を確認していくことにした。

現憲法を作ったのは、誰もが知っている通り、米国占領軍(GHQ)である。
この時の米国の意向は、日本を「戦争が出来ない国にする」ことであった。
だから、憲法で「戦力の保持」も「交戦権」も禁じたのである。
この立法の精神に基づいて解釈すれば、自衛隊は明確に「憲法違反」であり、集団的はおろか個別的自衛権すら「ない」とするのが妥当である。
ゆえに、憲法学者たちの見解も、当然、違憲がベースとなる。

ところが、憲法制定の後、ソ連の脅威が急速に高まり、日本を含むアジアの共産化を露骨に推し進め、朝鮮戦争にまで発展してしまった。
米国は、この危機に際し、方針を180度変え、日米安保条約という軍事同盟を日本に結ばせ、警察力ではない軍事力を日本に持たせた。
「戦争が出来る国」への方針転換である。

日米安保条約が、米国の軍事力で日本を守るという片務条約だとしても、国内の米軍基地の機能を支援する義務を日本は負っている。
こうした後方支援も軍事行動に入ることは国際社会の常識である。
このように、すべての軍事同盟は集団的自衛権に基づく条約であり、日米安保条約も例外ではない。

つまり、安保条約を結んだ時点で、日本国憲法の第9条は意味を失ったのである。
そして、それを強いたのは米国である。
ならば、米国は、この時点で憲法を変えさせれば良かったのだが、それを行わなかった。
それはそうである。
わずか数年前に、自らの手で作った日本国憲法を変えるのが難しかった(面倒だった?)のである。
米国の面子にも関わる責任問題が表に出ることを嫌ったのである。

実は、米国は、こう考えていた。
日本が主権を回復すれば、その時の現状と矛盾する現憲法を変えるであろう。
他国から押し付けられた屈辱的な憲法を後生大事に持っているはずは無い・・とである。

長くなるので、続きは次号で。

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┃☆良くも悪くも民主主義                   ┃
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安部首相と橋下大阪市長との突然の会談には驚かされた方も多いと思います。
しかも、3時間という長丁場の会談です。
菅官房長官や松井大阪府知事が同席していたとは言え、相当に突っ込んだ話になったと思われます。

政界引退を表明した橋下市長ですが、引退をだれも信じてはいないと思います。
・・にしても、あまりにも早い「復帰?」に、マスコミや評論家諸氏も振り回されたようで、的確な解説をしているマスコミも評論家も見当たりません。
まずは、安部首相と橋下市長の「裏ワザの勝利」と言えるのかもしれません。

勿論、次の局面は予想できませんが、これが良くも悪くも「民主主義」なんだなと実感しました。
引退を表明したからと言って、政治に復帰することは自由です。
年齢制限とか犯罪者排除という制約はありますが、基本、立候補自由が「民主主義」の柱の一つです。
ですから、橋下市長が国政に出ても、なんら非難されるべきものではありません。
「道義的には問題あるやろ」という感情論は、選挙結果に反映されることはあっても、法的にはなんの意味もありません。

橋下さんの持ち味(というより、戦略)は、「庶民感覚からくる本音」を装った正論であり、それを感情的にアジテーションして有権者を誘導するというものです。
バブル後の経済低迷の中で、長年続いた自民党政権と万年野党の社会党という「馴れ合い政治」に、有権者のフラストレーションがマグマのように溜まり、既存政治や政党への「もやっとした不支持」が広がっていました。
そこに最初に火を付けたのが小泉さんです。
「自民党をぶっ壊す」のアジテーションは、国民のフラストレーションを一気に爆発させました。
しかし、小泉改革は、所詮「コップの中の嵐」に過ぎませんでした。
そこに気付いた国民は、政権交代という本質論に行き付き、民主党政権が誕生したわけです。
しかし、民主党政権は、国民の期待を裏切り、3年半であっけなく瓦解してしまいました。

政権交代時に民主党を支持した有権者層は、自民党に回帰した層もありましたが、かなりの層が「日本維新の会」支持に回り、新興政党としては破格の20%近くの支持率を得ました。
この原動力が橋下代表(当時の肩書)の発信力にあったことは、誰もが認めることです。

メディアから生まれた「橋下さん」という政治家は、自身に群がるメディアを最大限に利用する戦術に長けていました。
その戦術とは、あらゆる時事問題について徹底的に正論を吐いて支持を集めるというものでした。
この戦術は功を奏し、維新の会への支持率は、どんどん伸びていきました。
だが、この正論戦術は「アノ時代、慰安婦は必要だった」の発言で綻(ほころ)びを出してしまいました。
その要因とは何だったのでしょうか。

あの慰安婦発言は、まさに正論です。
しかし、女性の性に関する問題は、正論より感情論が勝つ問題です。
民主主義とは、正論より感情論が強い世界であることを橋下さんは理解していなかったわけです。

自分の得意技で自滅していくケースは、スポーツや経営の世界でもよくあります。
橋下さんの政治の実力は、その程度の初心者だったわけです。
それが、改革の本丸であった「大阪都構想」をも潰してしまったのです。

良くも悪くも、民主主義とは、そういうものです。

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┃★戦争と平和(その6):中国の海洋戦略           ┃
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南シナ海における中国の強引な埋め立てが、米中の軍事衝突にまで発展しかねない情勢になってきました。
日本から見ると埋め立てはとんでもない侵略行為に思えますが、中国には中国の事情があるわけです。
まず、そこから分析する必要があります。

そもそも、習近平政権になってから声高に語られる中国の海洋戦略とは、いったい何を目的としたものなのでしょうか。
一言で言えば、「中国にとって『自由な海』が欲しい」のです。

この戦略によく似た政策を取ってきた国があります。
旧ソ連および現在のロシアです。
彼らが伝統的に欲してきたのは「不凍港」です。
真冬でも凍ることのない「自由に使える港」という意味です。
ですから、ロシアは伝統的に「南下政策」を取り、戦前は日本とぶつかり、現代ではウクライナ・クリミヤ半島の強制的併合へとつながっているのです。

しかも、両国とも実質的には独裁国家です。
強引な政治に対する国内の反対は、国家権力による暴力で押さえつけています。
また、紛争を抱える他国に対しても軍事力を前面に押し出して威嚇し、時には実力行使で臨みます。

さて、中国に話を戻します。
中国は大国ですが、中国から太平洋を眺めると、鎖のように出口を他国の領土で塞がれていることが分かります。
北東には日本列島が長く伸び、さらに奄美の島々から沖縄、石垣、西表と続き、台湾まで、この鎖はつながっています。
東シナ海は、完全に塞がれているのです。

そして、台湾の南からはフィリピンがつながっています。
多くの島々を抱える同国の領土は以外に広いのです。
さらに、ベトナムがあり、インドネシアがあって、南シナ海も塞がれているのです。
つまり、中国には、太平洋に開いた「自由な海」がないのです。
そこで、中国は、以下のように考えたのです。
最初は小さな島でよいから実効支配しよう。
そうして、次々に島を自国領に組み入れていけば、やがて南シナ海も東シナ海も、我が国にとって「自由な海」となる。
この戦略は、かつて、チベットやウィグルで行ってきた内陸での領土拡張論理であり、実際に、戦後、中国の領土は拡張されてきたのです。

しかし、海では、同じ手法が通用しません。
「密かに少しずつ領土を拡張する」という戦略が取れないからです。
小さな島でも奪取すれば、すぐに目に付きます。
そこで「それでは・・」と、強引な手法に出たわけです。

しかし、尖閣諸島の奪取を目指して、日本に激しい実力行使を続けても、日本は音を上げません。
正規軍による軍事力行使も考えていましたが、日米の軍事協力が強化されたことで、可能性はほとんどなくなりました。
それで矛先を南シナ海に向けたのですが、周辺国に比べて中国は遅れを取っています。
ベトナムやフィリピンが幾つもの島を実効支配していますが、中国が実効支配している島は一つもありません。
仕方なく、島ではない岩礁を占拠し、勝手に埋め立てて領土を拡張していくという戦略を取ったのです。
しかし、これらの岩礁も埋立地も、国際法上は「領土」として認められません。
従って、領海も領空も主張できません。
米国が、公海とみなして海や空でのパトロールを行うと宣言しているのは正当な権利です。

では、中国は、これからどうしようとしているのでしょうか。
それも次号で解説することにします。

(追伸)
書き終わったところに、時事通信の配信が届きました。
中国外務省の報道官が、今の埋め立てに対し、「既定の作業計画に基づき、近く完了する」と述べました。
中国の面子を守るための苦しい言い訳ですが、要は米国の軍事力に屈したということです。
やはり、平和を守るのは、守るに足る軍事力であり、それだけの軍事力を有しない場合は、集団的自衛権によるしかないという現実を見せつけられた思いです。

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<編集後記>
先日の日曜、長野で田植えを手伝ってきました。
農薬を使わない、機械を使わないという農楽(実践されている安江さんが命名した言葉です)によって、安全で健康なお米が作られますが、大変な手間がかかります。
商売としては採算が合わないことは明白ですが、安江さんはめげること無く続けています。

国際問題と結びつけるのは強引すぎますが、安全とか平和は、手間をかけなければ得られないものです。
ところが、憲法9条を利用してお手軽に平和を享受してきたのが日本です。
そして、それを主導してきたのは自民党です。
安部首相の主張する「戦後レジームからの脱却」は、ポツダム体制からの脱却を意味していますが、それは同時に、「それまでの自民党との決別」でもあるわけです。
従って、真の抵抗勢力は野党ではなく、自民党守旧派とその支持勢力なのです。
果たして、首相は突破できるでしょうか。
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