大国は滅びる運命にある
2024.05.16
ロシアのプーチン大統領が5期目に入りましたが、先行きの斜陽化は止まりません。
ナチスに対する戦勝記念日(5/9)までにウクライナ東部の要衝チャシウ・ヤールの攻略を命令し、この就任式でその成果を誇示する予定でしたが、その思惑は外れました。
米国の支援ストップでウクライナの武器弾薬が枯渇し、かつ、制空権が完全にロシア側にある状況は、ロシア側にとっては攻勢をかける絶好の機会です。
さらに、東部戦線のチャシウ・ヤールは、北や西に延びる長い尾根の起点にあたり、ここの陥落はウクライナにとっては、ドニツク州全体を失いかねないピンチとなります。
その意味で、この要衝への攻撃は理にかなった作戦といえます。
しかし、「戦争記念日までに陥落させよ」という愚鈍な命令が、この作戦を台無しにしています。
この命令を遂行するため、現地のロシア軍は無謀な攻撃を繰り返し、大損害を出しています。
一方、ウクライナ軍は、ロシアの狙いが分かっても、弾薬不足や制空権のないことで防衛が困難な苦境にありました。
この状況での最大の問題は、ロシアの攻撃が、いつ、どのような形で行われるかが不明な点でした。
ところが、「5月9日までに・・」という“バカげた”命令がはっきりしている上、攻撃するロシア軍の規模や配置も事前に漏れていました。
なので、私でも的確な防衛作戦を練ることができると言いたいくらいの攻撃でした。
それは言い過ぎですが、結果として5月9日までにチャシウ・ヤールは陥落せず、戦線は膠着状態です。
ロシア側の損害は甚大で、海外ネットにはロシア兵の死体だらけの映像が流れています。
その一方で、日本のTVでも、バカみたいに大きな黄金色の両開き扉を開け、独裁者然としたプーチンが入ってくる映像が何度も流れます。
呆れるばかりの安直なプロパガンダですが、こうした国に未来はありません。
歴史を俯瞰すれば明らかですが、大国は必ず分割し、滅んでいきます。
ゆえに、現代のロシアも中国も、やがて分割し衰退していくことは確実といえます。
「では、米国も同じ運命か?」と思われそうですが、米国は一つの大国ではありません。
51州からなる合衆国(独立国家に近い自治体の集合体)です。
これらの州を日本の都道府県のように考えるのは間違いです。
各州は法律も違えば独自の軍隊すら持っている半独立国家なのです。
米国全体を一つの国として統括しているのは、POTUS(President of the United States of America=米国大統領)、FRB(Federal Reserve Board=連邦準備制度理事会)、FBI(Federal Bureau of Investigation=連邦捜査局)、United States Armed Forces(合衆国軍)の4つです(他にも国家組織はありますので、代表的な機構です)。
この仕組みで、大国として滅びることを阻止する狙いがあるのだと思います。
「なかなかの知恵だな」と感心しますが、まだ建国250年の国です。
千年、二千年先は見ることができませんが、見たいところですね。
戦前の日本は「皇紀二千年」と威張っていましたが、有力な学説では第26代継体天皇が今上天皇(浩宮徳仁)の最も古い先祖となっているようです。
そうだとすると、日本は1600年近く続いている国家ということになり、現代国家としては世界最古となります。
考えてみれば、奇跡のような国家ですね。