2021年5月15日号(国際、政治)

2021.05.17


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2021年5月15日号
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発行日:2021年5月15日(土)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2021年5月15日号の目次
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★国産ワクチン開発の遅れ(後半)
◇抑止力という名の軍事力(13)
★皇室の危機
◇近代史を闇の中から引き出すことで、中国の戦略が見えてくる(2)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
米国バイデン政権は、民主主義陣営を結集し中国包囲網を形成する戦略を強め、中国はこの合従連衡(がっしょうれんこう)を崩すため、日本にターゲットを絞ってきています。
そのような中、英仏独にオランダが加わった欧州勢がインド太平洋に軍艦を派遣する事態は、中国にとっては大きな衝撃となっています。
中国の官製マスコミが非難を強めていることも、その危機感を表しています。
 
近年、増強著しい中国海軍ですが、その実力には疑問符が付きます。
近代海戦の経験は乏しく、艦隊の編成も整っているとはいえません。
首脳部がバカな決定をくださない限り、軍事衝突は起きないでしょう。
しかし、偶発衝突から一気に戦争へと発展する恐れはあります。
日本としては、そうした事態への準備を怠るわけにはいきません。
 
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┃★国産ワクチン開発の遅れ(後半)                  ┃
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ワクチン開発の専門家によると、新型コロナウイルスのワクチンは「活性化ワクチン」と呼ばれる種類ですが、日本にこの技術はなく、不活化ワクチンの技術しかありません。
これはインフルエンザ・ワクチンをつくるための技術で、卵で培養したウイルスを不活化して作成します。
しかし、新型コロナウイルスのワクチンにはこの手法が使えず、大きく遅れを取ったというわけです。
 
こんなこと、製薬の専門家なら誰でも知っていることです。
では、なぜ、こうした事態の改善が進まないのでしょうか。
まず、第一に「感染症の研究」におカネが回らないことが挙げられます。
日本の製薬会社のほとんどは感染症のワクチンに関心はなく、がん治療薬など“儲かる”研究ばかりに人もカネも投じてきました。
感染症の研究はお金にならないことで、大学も研究室を維持できず、縮小させてきました。
 
じつは、日本の製薬会社がワクチン開発から手を引いたのには、もっと大きな理由があります。
それは、過去の予防接種訴訟で、相次いで国と製薬会社が有罪になったことです。
そもそもワクチンの元になっているのは、病原体やウイルスです。
ゆえに100%の安全を保証することは不可能なのです。
かつ、副反応が出た場合に備えて迅速な救済を行う体制も法律も未整備のままです。
 
私が子供の頃受けた様々な予防接種も、今はほぼなくなっています。
学校におけるインフルエンザ・ワクチンの集団接種もなくなり、子宮頸がんワクチンも大騒ぎの末、主要国では日本だけが事実上の中止になっています。
マスコミは、ワクチンを「恐ろしいもの」と断定し、執拗な報道を繰り返してきました。
また、市民団体などは、政府攻撃の材料としてワクチンを徹底的に糾弾し、接種だけでなく製薬会社や大学での開発そのものを徹底的に妨害してきました。
こうした背景から、製薬メーカーはリスクが大きいとしてワクチン(特に活性化ワクチン)の開発から手を引いたのです。
かつ、相次ぐ敗訴で及び腰になった政府も、開発への補助を打ち切ってきました。
 
この構図は、安全保障政策と同じです。
国防に対する議論を避け、米国に依存した政策を連綿と続けてきただけです。
「軍事に転用できる科学技術の研究はしない」とした日本学術会議の決定などは、その典型です。
あらゆる科学技術は、平和にも軍事にも利用できます。
こうした常識に目をつぶる学術会議は害にしかなりません。
コロナワクチンの開発遅れは、こうしたことを教えてくれている事例なのです。
 
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┃◇抑止力という名の軍事力(13)                 ┃
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今から35年前の1986年、1本の米国映画が大ヒットしました。
若き日のトム・クルーズが主演を努めた「トップガン」です。
当時の米海軍の主力戦闘機F-14に乗る戦闘機パイロットの青春群像を描いた航空アクション映画です。
ですが、あの映画はまったくのフィクションで、戦闘訓練場面はすべて「ウソ」です。
 
あの映画では、戦闘機同士が近距離で戦うドッグファイトが描かれていましたが、そうした戦いはベトナム戦争が最後でした。
1986年当時でも、最新鋭の戦闘機同士の戦いでは、互いに肉眼では見えない遠方からミサイルを発射し合う戦い方が主流になっていました。
それでは、映画としては「まったく面白くない」ので、あえてウソのストーリーにしたわけです。
映画としては仕方ないですが、多くの人々が騙されたわけです。
 
近年、ミサイル技術やネットワーク技術の飛躍的な発展に伴い、空中戦の様相は大きく変化しました。
戦闘機のステルス性能ばかりが話題になりますが、それより、軍事衛星を含めたあらゆる情報を複合的に処理して、はるかな遠方から敵機の位置を正確に把握する機能が戦闘の優劣を決する時代となっています。
今や、最新鋭の戦闘機の価格の80%は、こうした情報機器およびソフトウェアの価格だと言われています。
 
軍事だけでなく、民生(つまり企業)も、そうした時代を迎えつつあります。
大げさに言えば、情報インフラとソフトウェア装備に企業予算の80%をつぎ込まないと、企業間競争に敗れるということです。
コロナ禍が、その傾向を顕在化させたわけですが、今後、ますます加速していくことは確実です。
 
話を軍事に戻します。
米国はもちろん、中国やロシアも、こうした戦闘機の開発に血道を上げています。
この両国と海を挟んで国境を接する日本は、米国の軍事力に防衛を依存してきましたが、それにも限界が来たようです。
 
日本は、米国からステルス戦闘機F-35を大量導入するだけでは不足として、F-2に代わる国産戦闘機の開発に踏み切ることとしました。
その開発コンセプトは以下のとおりです。
①量に勝る敵(まさに中国)に対する高度ネットワーク戦闘機能を備える
②優れたステルス性を有する
③敵機の捜索・探知に不可欠な高度センシング技術を備える
 
上記3点を併せ持つ戦闘機の開発計画を記した防衛省の資料には、次の注釈が字体を変え、大きく書かれていました。
「このような戦い方を可能とする戦闘機は、現在、世界には存在しない」と・・です。
つまり、かつての「ゼロ戦」を開発するという防衛省の意志表示です。
ゼロ戦は、長大な航続距離と強力な武装を併せ持つという、当時の常識を超える戦闘機だったのですが、令和の時代に、その開発を再現しようというわけです。
 
しかし、そこには大きな壁があります。
それは、次回、述べます。
 
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┃★皇室の危機                           ┃
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秋篠宮家の内親王は、日本における皇室の存在意義を正しく理解されていないのでしょうか。
小室圭氏は、すでに多くの国民の意識からは消したい存在になってしまっています。
このままでは、国民の否定的意識が内親王に向かい、さらに結婚強行となれば、天皇制そのものの危機になりかねない事態です。
この事態を招いた責任がある秋篠宮が次の天皇になることに国民が疑念を持ち始めるからです。
 
道徳心理学者のジョナサン・ハイトは、人間心理は6つの道徳基盤によって構成されているとしています。
その6つとは、「ケアvs危害」「公正vs不正」「忠誠vs裏切り」「権威vs転覆」「神聖vs堕落」「自由vs抑圧」という対立する心理構造です。
 
これらの基盤は、人類の脳の進化に伴い形成されてきた認知モジュールであり、一種の脳内スイッチといわれています。
つまり、思考から生ずる意識ではなく、「気持ちいい!」あるい「むかつく!」という種類の原始本能から発する意識です。
こうした意識が、他人の“特定の行為”を「むかつく」とか「排撃すべき」と決めつけていくのです。
 
こうした脳内モジュールの中でも「神聖vs堕落」モジュールは特に強い力を持っています。
このモジュールは、もともと病原菌などからの「汚染を避ける」という生存本能によって生じたものです。
その意識が発展して、いわゆる「ケガレ信仰」のような“タブー”として社会に定着していきました。
ジョナサン・ハイトは、「神聖基盤は、悪い意味では『堕落を排撃せよ』となり、良い意味では『神聖だから手を触れてはならぬ』というように人々の意識を縛ると述べています。
 
日本人は、豊かな自然に恵まれたことで、この自然を神とする神聖モジュールが強く働いている民族共同体で、その「共同体の神聖なる支柱」こそが天皇なのです。
この神聖な支柱を冒涜している小室親子に対するバッシングの強さの源はここにあります。
そして、皇室の一員でありながら、小室家に加担しているように見える内親王も、神聖な存在を汚す「堕落した者」との烙印が押される可能性が高くなっているのです。
 
ハイトは、こうした神聖な支柱を冒涜した者には、「集団による衝動的かつ懲罰的な反応が起こる」と指摘しています。
この「懲罰的な反応」が、小室親子に対するバッシングであり、国民の嫌悪感であることはお分かりと思います。
 
しかも、小室圭氏の28枚の文書は「自己弁護」に終始しており、自分の学業を支援してくれた恩人への「裏切り」にしか見えません。
さらに、皇室の「権威」を失墜させる「転覆」、公正さを否定する「不正」といった他のモジュールをも喚起させる結果になってしまいました。
 
問題の本質は、法的な意味で借金かどうかなどではないのです。
まして「誤った情報の訂正」などという上から目線の言い訳などは、ただの「屁理屈」にすぎません。
本人は、精緻に組み立てた文書と自賛しているかもしれませんが、国民の感情を逆なでした効果しかありません。
彼は、こうした人間心理学をまったく学んでいないようです。
それでは、運よく弁護士になれたとしても、不正を屁理屈で言い逃れようとする弁護士にしかなれません。
 
内親王は、こうした皇室の「神聖」な役割を理解されていないようですが、もしかしたら・・「理解した上で壊そうとしている」意識すら感じます。
父としてではなく、次期天皇としての秋篠宮の決断が必要かもしれません。
 
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┃◇近代史を闇の中から引き出すことで、中国の戦略が見えてくる(2) ┃
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「太平洋戦争は日本が始めた侵略戦争」との認識は日本国民の意識の中に深く浸透してしまっています。
その意識が中国や韓国に利用され、日本を貶める国際世論つくりに使われています。
そうした工作への対処に外務省がまったく無気力なことが問題ですが、最も有効な策は、国民が戦後封印されてきた近代史の事実を知ることです。
いくつかの書籍や言論人の活動によって、少しずつ、そうした意見が出てきていますが、過剰に陰謀論を語るものが多いのも事実です。
私は、自分のこれまでの知見や信頼できる情報と照合して、整合が取れるものだけを取り上げるというフィルターを通し真実から遠い意見を排除するようにしています。
 
米国は、重要な外交文書でも50年後に開示することを定めています。
とはいえ、あの戦争当時の外交文書は膨大な量です。
どうしても開示は遅れがちになります。
それでも、こうした策もない日本の外交能力はお寒い限りです。
 
米国のこうした公開資料から分かることは、当時のソ連の工作の巧みさです。
当時のソ連は、日米を戦争させ漁夫の利を得ることを画策していました。
それも、日露戦争の敗戦で失った領土の回復というソ連側の大義名分を考えれば、ソ連が悪いと言うつもりはありません。
それが外交力の一面なのですから。
 
ソ連は、当時の米国政権の中枢部の要人までも抱き込んでいました。
彼らがやり取りしていた暗号電文を米英の情報機関が共同で解読した文書が残っています。
この「ヴェノナ文書」と名付けられた文書も公開されましたが、それによると当時のフランクリン・ルーズベルト大統領の側近までがソ連の工作員だったとされています。
 
1941年11月、開戦前夜に届いたハル・ノートは、日本の権益を全否定した内容で、到底日本が受け入れられる内容ではなく、日本を戦争に引きずり込む最後通牒でした。
ハル・ノートには、日本が一番気にしていた「国体の護持(つまり天皇制の維持)」についての記述がありませんでした。
そこで、水面下で、そのことの保証を米国に打診しましたが、返答はありませんでした。
 
そのまま戦争に突入し、1945年7月、終戦間際にポツダム宣言の草案が日本に届いたのですが、そこにも、日本が一番気にかけていた「国体の護持」に関する記述はありませんでした。
ただ、それを匂わせる文言があったと言われています。
(この草案、今では失われているようです)
 
それで、日本は宣言を受け入れることを決意したのですが、最終的に届いた宣言文書から、その文言は消えていたということです。
日本は、「かつてのハル・ノートに対するこちらの質問に対する答えは?」と再度打診しましたが、やはり黙殺されたままでした。
それで、日本は本土決戦を決意し、原爆を落とされましたが、それでも降伏という選択はしませんでした。
ソ連参戦があっても、日本は降伏する意志を示さなかったので、米国は、スエーデンを通じて、かつての「ハル・ノート」に対する日本の質問への回答を寄せました。
それが「国体の護持は、終戦後の日本国民の意志に委ねる」というものでした。これで終戦が決まったわけです。
 
この「ハル・ノート」の起草者もソ連の工作員だったことが今では分かっています。
この段階で終戦になったのでは漁夫の利を得ることが難しくなると判断したスターリンの命令だったことは確実です。
もし、ここで戦争が終わっていれば、広島も長崎もなく、満州での悲劇もなかったのです。
 
開戦前から、ソ連はキリスト教団体やヘレン・ケラーなどの社会的信用の高いリベラル派知識人を使って、米世論を対日開戦へと誘導していました。
この頃、米国の新聞には「日本は天皇ヒロヒトをホワイトハウスの椅子に座らせようとしている」との記事まで出ましたが、こうした工作の結果だったわけです。
いつの時代でも、リベラル派知識人は戦争への引き金を引くことに利用されてきました。
歴史の事実が証明していることです。
ソ連は、こうした米国の世論誘導と政府工作で日米開戦を仕掛けていったのです。
思惑通り、ソ連は、最後の最後(8月9日)に対日参戦して、大きな漁夫の利を得たのです。
北方領土は、そのことを前提に考えなくてはならない象徴なのです。
 
だからといって、私は「ソ連が悪者」と断じるつもりはありません。
それが外交ですから、踊らされた(ふりをした可能性も高い)米国はともかく、子供のような幼稚な思考で冷徹な戦略を組めなかった日本が悪いのです。
 
さて、現代の最大の問題は対中国です。
そのことは来月解説するとします。
 
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<編集後記>
目前に迫った五輪に対する風当たりは強く、世論調査でも中止が開催を上回っています。
それでも開催中止を言わない政府や五輪関係者は袋叩き状態です。
それに乗じた形で、芸能人やスポーツ選手までがSNSで批判コメントを出しています。
誰でも発言する自由はありますが、自らの知名度による影響を考えない発言には疑問を禁じえません。
その中で、体操の内村航平選手の「目の前のできることをやる」というコメントには「なるほど」とうなずけました。
「(五輪が)あるかないかは考えないようにしている」との意見に、大人を感じました。
 
中止にした場合の損害は大きいとはいえ、日本が吸収できないレベルではありません。
しかし現段階では、政府も東京都も中止とは言えないでしょう。
最終判断が、ギリギリになるのはやむを得ないと思います。
でも、「五輪って、そんなに大げさに騒ぐことなの?」というのが本当の気持ちです。
 
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