イスラエルの生存権
2023.11.15
【国際・政治】2023
連日、ガザの惨状がニュースで伝えられますが、イスラエルにはガザ侵攻を止めるという意思は無いように思われます。
ガザ市民の犠牲に対し国際的な批判が高まっていますが、ネタニヤフ政権はガザを実効支配するハマスを無力化するまで侵攻を止めないと思います。
ハマスの後ろ盾となっているイランの動きが不確定要素ですが、沖合の地中海に展開する米国の空母艦隊の睨みが効いて、北部のヒズボラを動かす以上の軍事行動は起こせない状況です。
イスラエルの軍事力の強さは、4次に渡る中東戦争で証明されています。
欧米からの支援がなくても、中東で最強であることは世界が認めています。
ただ、第4次中東戦争から時間が経ち、さらにサウジアラビアがイスラエルを認める動きを見せたことで油断が生じたことは事実です。
サウジアラビアのイスラエル承認の動きに焦ったイランがハマスを動かし、あのテロを起こさせた可能性が高いですが、イスラエルがすっかり油断していたことがあの惨状に繋がり、そしてガザの惨状へと繋がってしまっているわけです。
欧米はイスラエルを支持し、中東諸国は当然ハマス支持です。
ロシアはハマス支持ですが、中東の戦火が広がりウクライナへの国際的感心が薄れることが本音であることは見え見えです。
中国は最近になってイスラエル批判を始めましたが、これも自国内(ウィグルなど)のイスラム教徒の反発を恐れてのことです。
ゆえに、批判以上の行動を起こすことはないでしょう。
みなが分かっていることですが、ことの本質はイスラエルという国の生存権を認めるか否かなのです。
イスラエルは国連加盟国ですから、過去がどうあれ、国際社会は同国の生存権そのものを否定することは出来ません。
しかし、ハマスはもちろん、イランなどはイスラエルの生存権そのものを認めようとしません。
イスラエルという国家を「地中海に落とす(つまり、消し去る)」ことが目的と公言しています。
こうした状況から防衛する意味もあり、イスラエルは、国連決議を無視してユダヤ人入植地を増やし続けています。
これには、世界中からイスラエルに移住するユダヤ人が増え続け、土地が足らなくなっているという事情もあります。
一方、こうしたイスラエルの事情を、土地を奪われる側のパレスチナからすれば、到底容認できるはずもなく、泥沼の状況を解決する糸口は見えません。
イスラエルとパレスチナを共に国家として並列共存させるという案がありますが、それは理想ですが両陣営とも決して認めないでしょう。
2000年に及ぶ宗教対立の背景もあり、根が深すぎるのです。
まずは、互いの宗教から暴力要素を抜くという気の遠くなる作業が必要なのです。
この対立は、多くの移民を受け入れてきた欧州に、そのまま持ち込まれ、衝突・暴動が頻発しています。
日本では、人道的理由で移民受け入れを増やすべきとの声がありますが、こうした危険を回避する手段を同時に考えなくてはならない難しさがあります。
中東問題の火の粉をかぶる勇気は・・難しいですね。