中東問題に出口はないのか?

2023.10.15

【国際・政治】2023

ハマスによる突然のイスラエル攻撃。
不意を突かれた形のイスラエルは、多数の民間人の犠牲を出し、外国人を含む人質まで取られる事態となりました。
もちろん、イスラエル軍はすぐさま反撃し、ハマスが支配するガザ地区に激しい空爆を行い、同地区でも民間人の犠牲がかなりの数に上っています。
さらに、ガザとの国境に戦車の大部隊を配置し、大規模攻撃をすぐにも始める情勢です。
 
ハマスは、こうしたイスラエルの大規模反撃を想定した上で今回の奇襲攻撃を掛けたはずです。
ガザの地下に張り巡らしたトンネル網を駆使してのゲリラ戦やイスラエル領内へのロケット弾の波状攻撃にかなりの自信を持っていると考えられます。
また、後ろ盾になっているイランやシリアからの軍事、経済両面の支援の確約も得ています。
さらに、120人とも150人とも言われる人質やガザの住民を人間の盾に使い、イスラエルの攻撃を鈍らせるという戦術まで駆使するつもりです。
その人質に外国人が含まれていることは、国際社会がイスラエルの軍事行動に圧力を掛けることを狙っているといえます。
 
イスラエルのヤーコブ・アミドロール元首相補佐官(国家安全保障担当)は、奇襲攻撃を受けたことで、「情報機関と軍の大失態だ」と、対外情報機関モサドを批判しました。
たしかに、世界最高の秘密情報機関と言われてきた「モサド」の失態と言われても仕方ない事態です。
「モサド」は、ガザを支配するハマスに対し、人的ネットワーク(つまりスパイ)や通信傍受、無人機による偵察などの手段で徹底的に監視し、時には主要人物の暗殺まで行ってきたとされています。
それなのに、今回の奇襲攻撃を許し、多数の民間人の犠牲を出したことで、その評価は地に落ちたと言わざるを得ません。
 
同様に、世界最高を自負してきた米国の情報機関の評価にも疑問符がついています。
国家安全保障担当のサリバン大統領補佐官は、10日の記者会見で「攻撃が迫っていることを示す情報は何も目にしなかった」と述べたが、エジプトの情報機関が3日前に危険の兆候を掴み、米国に伝えたことが明らかになっています。
そうだとすると、ウクライナと台湾問題に気を取られ、中東の危険性に鈍感になっていたと言われるでしょう。
 
ただ、裏では、イスラエルはハマスによる襲撃情報を掴んでいながら、あの襲撃をわざと“やらせた”とする情報が出てきています。
「案の定・・」というような話ですが、それにしては、「あまりも犠牲者が多すぎる」という反論も当然にあります。
確証がない以上、この種の情報は聞き流すしかないと考えます。
 
今回のハマスの奇襲前に、サウジアラビアがイスラエルと外交交渉に入ったとの情報が流れ、イスラエルの承認がかなり現実味を帯びていると報道されましたが、これは確かな情報です。
近年、パレスチナ人にとっても浮いた存在になってきたハマスは、こうした情勢に相当に焦ったことが今回の襲撃の大きな要因だとする分析が一番妥当な見解だと言えます。
 
ハマスの後ろ盾であるイランは、シーア派の盟主を自認し、同じイスラム教国でも、スンニ派の盟主であるサウジアラビアとは対立する関係にあります。
近年、両国が和解の話し合いに入ったとの報道もありますが、イランとしては、イスラエルとの和解に動いた今回のサウジの姿勢は決して容認できないはずです。
イランがハマスの動きを暗にけしかけたとする見方も単純に否定できません。
 
このような火薬庫にハマスが火を投げ込んだ格好ですが、この火が野火のように中東全域に燃え広がるのか、国際社会がそれを消し止めるのかは分かりませんが、影で“ほくそ笑んでいる”国があります。
もちろん、それはロシアです。
日本は、こうした問題を対岸の火事として高みの見物はできないはずです。
さて、日本は“どうする”