米国の栄光は戻らない
2025.04.01
50年以上も昔の1970年代の思い出です。
初めて訪れた米国は「光り輝く夢のような国」でした。
マンハッタンの400mを超える摩天楼ビルの頂上は雲の中でした。
見上げた私は「うそだろう・・」と激しいカルチャーショックに襲われました。
知り合いになった若者に誘われて訪れた彼の農園は、軽飛行機の空から見ても果てしない広さでした。
「どこまでが君の家の農地?」と聞いたところ、彼の答えは「分かんないよ」でした。
どうやら飛行機から見える地平線の向こうまで広がっているようでした。
私の故郷、新潟の本家(祖父)の農地は、両隣の親族を含めて10ヘクタール(約3万坪)ぐらいでしたが、それが箱庭に思えました。
その後、何度も米国を訪れる機会に恵まれましたが、次第に異変を感じ出しました。
訪れる度にホームレスが増え、綺麗だった街並みに汚れが目立つようになってきたからです。
1970年代のサンフランシスコ市庁舎前は美しい芝生の広場が広がる好きな場所でしたが、1980年代になると次第にブルーシート・テントが増え、やがてブルーシートのホームレス村へと変貌しました。
さすがに今は、テント村は撤去され元に戻っていますが、治安の悪さは深刻になっているようです。
犯罪の激増で、州によっては「一定額以上の窃盗・強盗を罪にしない」という驚く法律まで出来たという話です。
つまり、刑務所が満杯で、軽犯罪者まで収容するのは不可能というわけです。
もちろん、それが良いというわけではなく、「そうせざるを得ない」状況になっているのです。
トランプ氏は、そうした状況も「バイデンのせいだ」と煽り、自分が大統領に返り咲けば、50年前の「偉大なアメリカが復活する」として、まんまと当選してしまいました。
しかし、彼は500万ドル(約7億5000万円)払えば、米国の永住権を与えるということまで言い出すような金持ち大好き人間です。
大統領選で彼に投票した低所得者層の人たちは、こうした金持ち大好きの“見え見え”の思考が読めなかったのでしょうか。
こんなことを言ってはいけないのでしょうが、彼らは「愚かなり」としか言いようがありません。
今の米国は、ITの進化による情報革命により、一部の巨大企業による情報の独占・コントロールが進み、その結果による富の寡占が極限化しています。
つまり、トランプ氏に投票した労働者階級は「搾取されるだけの存在」になっているのです。
だから、言葉は悪いですが「愚かなり」と言ったのです。
トランプ大統領のMAGA(Make America Great Again=アメリカを再び偉大に)は実現しません。
時計の針は決して後ろには戻らず未来にしか動きません。
2500年前、孫子は「生々流転」と「優勝劣敗」のみが宇宙の変わらぬ2大原理だと説きました。
つまり、世界のすべては流れていくものであり、元に戻ることはなく、優れた者だけが勝ち残るという意味です。
小さな世界ですが、企業経営も同じことだと考えます。
過去は教訓にすべきですが、そこに戻る道はありません。
未来は、前にしか無いのです。