小泉農水相はヒーローか

2025.06.16


令和の米騒動のドタバタ劇に小泉進次郎氏が新農水相として登場したことで、本当の劇場になってしまいました。
コメの品切れと異常な高騰に世間が沸騰しているところに、責任者である前農水大臣の発言が火に油を注ぐ結果となりました。
そこへ颯爽と登場した小泉農水相は、持ち前のタレント性をいかんなく(?)発揮し、「5kgで2000円」とか「いくらでもコメを供給する」とか、歌舞伎役者のような大見えを切りました。
すると、確かに、かなり古い米とはいえ、5kg2000円の米が店頭に出てきました。
TVでスーパーの店頭に大勢が並ぶ映像が流れたときは、「へえ~」と思いました。
 
無自覚に、こうした現象だけを見れば、小泉氏はまさに「ヒーロー」と言えるのかもしれません。
巷では「次の総理は小泉進次郎で決まり」などという声まで上がっています。
確かに、この勢いのまま参院選で過半数維持となれば、あながち「夏の夜の夢」ではないかもしれません。
ただ、「どこか変?」と思うのは私だけでしょうか。
この交代劇は、仕組まれた三文芝居のような気がするからです。
 
以前から、小泉氏の言動の軽さには疑問符以上の違和感を覚えました。
これから日本が迎える厳しい外交や内政改革の“かじ取り”を彼が担えるとは到底思えないのです。
観客を意識したような劇場型パフォーマンスに内実が付いてこないことが第一の理由。
能力のあるブレーンチームの存在が見えないことが第二の理由です。
結局、父親と同じ、ただの「壊し屋」に終わってしまうと思うのですが・・
 
そうは言っても、野党にも期待できない現状は、とても“寒い”です。
一時期「103万円の壁問題」の提起などで話題の中心になった感のある国民民主党も、玉木党首の個人問題の件以来、勢いが陰っています。
そこに来て、参院選の比例候補に問題の人を公認したり取り消したりとドタバタばかりが目立ちます。
支持した人たちの“がっがり”感が強くなり支持率は下がる一方です。
維新の会も失速したままで浮上の気配もなく、「関西の政党」で終わってしまいそうです。
そして、本来、野党の中心になる立場の立憲民主党ですが、野田党首の言動が旧態依然の新鮮味ゼロで、期待感もゼロです。
結局、自民党が少し負けるぐらいの結果で「何も変わらない」で終わりそうです。
 
ただ、こうした政治の不毛状態をもたらしている最大の責任者は、自民党でもなく野党でもなく、まして石破首相でもなく、有権者たる我々国民です。
とりわけ若い人たちの無関心、無気力さは深刻です。
こんなことを言うと、「うるさい年寄りだ」と言われるでしょうし、「そもそも、あんたら団塊の世代が、こんな日本にしたんじゃないか」と批判されるでしょうね。
その通りなのですが、そんなことを言っていても若い方たちの未来は開けません。
一つぐらいは年寄りの言うことを聞いて、選挙に足を運びませんか。
万が一ですが、投票率が70%、80%になったら、日本は劇的に変わること確実ですから。