ギャンブル依存症

2024.06.03


米大リーグ大谷選手の元通訳がハマったギャンブル依存症。
「バカなやつだ」と片付けるのは簡単ですが、世の中はギャンブルへの誘惑に溢れています。
多くの人は「私は大丈夫!」と思っておられるでしょうが、そうした気持ちが「蟻地獄」へ落ちる第一歩だと自覚したほうが良いように思います。
 
なにしろ、日本国の国家自体がギャンブルを煽(あお)っています。
公営ギャンブルの市場規模は今や7兆円ということですが、10兆円市場になる日も近いと言われています。
財務省は、こうした拡大を歓迎しています。
例えば競馬ですが、掛け金の25%が吸い上げられます。
そのうち10%は税収として財務省のふところに入ります。
公営ギャンブル全体の税収が平均10%と仮定すると、やがて年間1兆円の税収となるわけです。
財務省は「もっとギャンブルを煽り、税収を上げよう」となるわけです。
 
すでに“サッカーくじ”はTOTOとして普及していますが、国は他のプロスポーツに拡大させていこうと考えています。
モナコ王国のように税金ゼロを目指すなら、それも良いかと思いますが、税収増だけが狙いの財務省が税金ゼロを目指すわけはないですね。
 
そもそも、国民は再認識する必要があります。
資本主義経済は“ギャンブル経済”だということをです。
株式市場は企業が出資金を募る場ですが、今やギャンブル場と化しています。
ただし、それが悪いと言うつもりはありません。
企業経営にはギャンブル的要素が付きまとい、多くの国民がその企業に所属しているからです。
その上、資本主義経済の活性化に新規企業の起業は欠かせません。
しかし、創業は確率が極端に低いギャンブルであり、創業者はそもそもギャンブラーです。
私も創業者ですが、かつてを思い返すと「無謀な挑戦」だったなと、今でも冷や汗がでます。
 
それで、あえて言います。
ギャンブラーの素養のない人は、創業など考えるべきではない・・と。
私は、学生時代から馬券を買い、株式取引を行っていました。
さらに、当時の学生の多くがハマっていた麻雀はもちろん、ビリヤード場で賭け勝負をしていました。
半分、ギャンブル中毒になりかけていたわけですが、社会人になったときに株式投資以外のギャンブルは全部止めました。
理由は単純、「時間のムダ」だからです。
 
株式投資は「いずれ創業する時があれば資金が必要」との考えで続けましたが、創業時にすべて売却して創業資金にあて、それ以降は止めました。
企業経営自体がギャンブルなので、株で“勝負のウン”を消費したくなかったからです。
 
こうしたギャンブルの経験は大いに役立ったと思っています。
それで、ギャンブルで勝つための要素をお教えします。
それは、次の4つです。
記憶力、分析力、勝負度胸、そして忘却力です。
最初の3つは「当たり前」でしょうが、最後の忘却力が大事です。
勝っても負けても、その結果に至った分析は必要ですが、結果自体はすぐに忘れることが大事です。
「負けを取り返そう」の意識が働いたら赤信号ですので、その記憶を消すわけです。
これまでの経験から、新規事業や新製品開発の成功率はかなり低く5%ぐらいかなと思っています。
その失敗を引きずることが一番の弊害で、失敗を取り返そうとすると墓穴を掘る結果にしかなりません。
若き日のギャンブル経験は、自分には活きているようです。