2023年8月15日号(国際、政治)

2023.09.04


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2023年8月15日号
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発行日:2023年8月17日(木)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2023年8月15日号の目次
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◇終戦の日と靖国神社
◇台湾有事に備えるとは
◇福島第一原発の廃炉は出来るのか?
 
http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
夏休みを挟んだことで、配信が2日遅れとなりました。
 
マイクロソフトが、ロシアでのソフトウェアの更新を9月30日付けで停止すると発表しました。
対してロシアは、「Linuxベースのロシア製OSに切り替えているので大丈夫」と強気のコメントを出しています。
真相はどちらにあるかですが、ロシアの民間企業の多くは、日本と同様にWindowsベースのようです。
あと1ヶ月半の期限通告にロシア企業は海賊版の購入に走っており、闇のIT市場は思わぬ大盛況ということです。
 
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┃◇終戦の日と靖国神社                   ┃
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終戦の日から78年目を迎えた日本ですが、あの終戦は、とても中途半端な終戦でした。
市民を含めた総力戦の戦場となった本土は沖縄に留まり、空襲も大きな都市に限り、その被害も実は限定的でした。
原爆投下という惨状の衝撃で、戦後の敗戦報道は実態以上に過激化し、現在に至っています。
「広島・長崎は、今後100年間はぺんぺん草も生えない」といった科学的根拠のない報道などは、その典型です。
 
一方、GHQのプロパガンダもあって、「あの戦争はすべて軍部が起こしたことであり、国民は被害者だ」という「国民には責任がない」という被害者意識が一般化していきました。
こうした意識は、反日政策を掲げる中国やロシア、そして日本の左派勢力に利用され、日本を縛ってきました。
その線上で、靖国神社への参拝は「戦争を煽る行為」として、未だに批判の的になります。
たしかに、靖国神社が右寄りの政治に利用されているという側面は否定できませんが、遺骨すら戻ってきていない遺族にとっては、唯一の存在です。
特攻隊の生き残りだった伯父の「先に逝ってしまった戦友と『靖国で会おう』と誓ったのだから靖国に行くしかないのだ」の言葉の重さは、戦後生まれの私にも重たい言葉です。
 
東條英機を始めとする7名のA級戦犯の合祀が、靖国が左派勢力や中国などの批判に利用されている要因ですが、こうした危惧は当時からありました。
(実際は、獄死した7名を含めた14名のA級戦犯が合祀されています)
それゆえ、東郷平八郎を祀る東郷神社などから「こちらに合祀しては」という誘いもあったと聞いています。
こうした誘いに乗り靖国での合祀を避けていれば、靖国が標的となることはなかったかもしれません。
 
もちろん、このような意見に対し、「そう単純な話ではない」と批判される向きもあるでしょう。
しかし、中国や韓国による靖国批判が「戦犯を祀っている」という点に集約していることを考えると、批判材料を与えてしまったことは否定できません。
また、合祀前は参拝を続けていた昭和天皇は、この合祀以降は参拝を止め、以降、皇室関係者はただの一度も参拝していないことも、国民にとっては面映ゆいことです。
 
よく知られているように、靖国神社は、戊辰戦争での官軍の戦死者を弔うということで創建されました。
その後、幕府側の戦死者も合祀され、さらに日清・日露戦争の戦死者も合祀されたことで、以降、戦死者の霊を弔う神社となりました。
このように、そもそも戦死者の霊を祀る神社として設立された靖国神社に、戦死者ではないA級戦犯処刑者を合祀したことは間違いだという意見が妥当なように思えます。
 
靖国神社は、一度合祀した“御霊”を分祀することはできないと言っていますが、その根拠はあいまいです。
それより、あの戦争での戦地での戦死者240万人のうち、半数近い113万人の遺骨は、未だに戦地から戻ってきていないことに思いを至らせるべきと考えます。
そうしたことに何の手も打とうとせず、分祀を拒否する神社側の頑なさには疑問を感じます。
中国などによる不当な非難を封じ、総理や皇室を含めた日本国民の誰もが参拝できるように、分祀を進め、そして、未だ海外に眠る遺骨の収集と靖国への合祀に対し、国は積極的に音頭を取って欲しいと思います。
 
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┃◇台湾有事に備えるとは                  ┃
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自民党副総裁の立場で訪台した麻生太郎氏の台湾有事を念頭に置いた「戦う覚悟」なる発言が物議を醸しています。
当然、中国は猛反発し、日本の左派も一斉に非難しています。
ただ、この発言は、失言ではなく、周到に用意された発言であり、自民党右派の総意を背景にしたものです。
 
麻生氏の発言を正確に書くと、以下のようになります。
「(東アジア情勢について、)日本と台湾を取り巻く環境は大きく変化した。平時から非常時に変わりつつある。大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことだ。抑止力には能力が要る。そして、抑止力を行使する意志を持ち、それを相手に教えておくこと。その三つが揃って抑止力だ」と、対中抑止力の強化が発言の主旨です。
その上で、『最も大事なことは『台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせない』ことだ。
今ほど日本、台湾、アメリカをはじめとした有志の国々に強い抑止力を機能させる覚悟が求められている時代はない。戦う覚悟だ。いざとなったら、台湾海峡の安定のために防衛力を使うという明確な意思を相手に伝えることが抑止力になる」。
 
報道では、「戦う覚悟」だけが強調されていますが、発言の主旨は「抑止力の強化と、それを中国に伝えること」だと解釈できます。
「戦う」という言葉の持つ強さで、そちらに重きがあるように報道されていますが、抑止力の強化が主題であることは明白です。
 
こうした発言は、当然、功罪両面の側面から論じる必要があります。
まず、「中国をいたずらに刺激するだけの軽率な発言」との批判は、当然に起きます。
しかし、その伏線となっているのは、今の中国の非常に好戦的な動きです。
尖閣諸島だけでなく、日本の領海・領空への侵犯や接続水域への侵入を日常化し、さらには沖縄・宮古海峡や津軽海峡をロシア艦隊と合同で通過し、日本近海での軍事演習を常態化するなどの露骨な軍事的圧力を強める一方です。
ゆえに、もはや「中国を刺激・・」などという言葉は意味を失っています。
もちろん、“遺憾砲”などは、とっくに効力ゼロになっています。
「これ以上やるなら、武力防衛も辞さず」を示す必要があるレベルの危機だと思います。
台湾有事と日本有事は、もう重なり合っているとの認識が必要なのかもしれません。
 
一方、「まだ武力防衛を口にする時ではない」との見方も、当然あります。
ハリネズミのようになっている中国をこれ以上刺激すると、本当に戦争になる危険を高めるだけだとの意見に賛同する向きも一定割合あるでしょう。
 
この両論を国内でぶつけ合うことは、まったく意味がありません。
議論の的は、中国による台湾侵攻であり、それに付随する日本への攻撃だからです。
そして、「無いだろう・・」との楽観論ではなく「あり得る」との現実論が議論の下敷きでなければなりません。
この可能性を根本から下げるのは「日本が平和主義に徹する」ことではなく、「習近平政権の終焉、もしくは外交姿勢の180度の転換」しかないのです。
目下のところ、その両方とも可能性は低く、日本は有事に備えることを主とするしか手はありません。
その上で、日本経済を中国経済から切り離す戦略を進めることです。
すでに、中国による理不尽な人質戦略で、かなりの日本人が罪状も不確かなまま逮捕・留置されていて、釈放への見通しも立っていない状況です。
社員の日本帰国を急ぐ企業も増えてきています。
私も、中国にいる知人とのメールのやり取りなどは止めています。
お互いに危険だからです。
 
麻生氏の発言をどうこう言う前に、中国と日本との間は、「すでに準戦争前夜」と捉えて距離を置くしかないと考えます。
 
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┃◇福島第一原発の廃炉は出来るのか?            ┃
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4月14日に公開された福島第一原発1号機の原子炉土台の映像を見ました。
水中ロボットによる撮影映像は思ったより鮮明で、現在の状態がよくわかりました。
圧力容器を支えていた格納容器の土台のほぼ全周に渡りコンクリートは損傷し、鉄筋が露出していました。
 
私は、かつて、これらの場所に立ち残留放射性物質の調査を行っていました。
その当時、圧力容器の中には冷却水に浸された燃料棒が核反応を起こしていたわけです。
その後、何本もの制御棒が差し込まれ、核反応を止めた後、圧力容器の蓋が開けられました。
私は、その真上から圧力容器の中を覗き込みました。
核反応は止まっても、燃料棒からは強烈な放射線が放射されています。
その強烈な放射線によって、燃料棒周囲の水の分子がイオン化され、鮮やかなコバルトブルーの光を発します。
これを「チェレンコフ現象」と呼びますが、本当に吸い込まれそうな深く濃く鮮やかなブルーの光は今でも目に焼き付いて、消えることがありません。
 
圧力容器を満たしている、そのほぼ純粋な水が、強烈な放射線から我々を守っていました。
もちろん、我々は、全身を覆う潜水服のような防御服をまとっていましたが、厚さ数mの水の防壁がなければ、たいした防御にはなりません。
「もし、今、急激に水位が下がり燃料棒が露出したら、その瞬間、オレは致死量の放射線を浴びる」と考えて、いつも冷や汗が吹き出していました。
 
やがて、燃料棒は隣のプールに移され、圧力容器の冷却水が抜かれました。
その直後、私は、圧力容器の底に降り立ちました。
燃料棒がプールに移されても、直径4~6mの圧力容器の隔壁には、強烈な放射線を出している放射性廃棄物がびっしりと残っています。
それを特殊な試験紙で拭い、放射性廃棄物を採取するのです。
 
その拭う作業は、なんと手動なのです。
もちろん、三重の手袋をした手で拭うのですが、できるだけ強く拭うという、今では決してやりたくない作業です。
残留放射能があまりにも強く、三重の手袋をしても、私の指自体が放射化してしまうほどでした。
つまり、私の指が放射線を発する放射性物質となってしまったというわけです。
ナイフで指先の皮膚を削り落とすという荒療治で、ようやく外へ出ることができましたが、その繰り返しで、しばらく指の指紋がなくなってしまいました。
当時は、同僚たちと「泥棒するなら、今のうちだな」なんて言い合っていましたが、今思うに、ずいぶん危険を犯したなと思います。
 
そんな思いを思い出しながら、残骸と化した現在の格納容器の映像を見ていました。
いま、この場所に立ったなら数秒で致死量の放射線を浴び、その後数時間で死に至るでしょう。
こんな状態の壊れた原子炉をどうやって廃炉に持っていけるのでしょうか。
大半の作業は、ロボットによる遠隔操作になるでしょうが、おそらくロボットもすぐに故障すると思います。
その昔でも、最も危険な作業には遠隔ロボットを投入しましたが、すぐに故障してしまうのです。
強烈な放射線は遠隔装置を狂わしてしまうようで、高価なロボットを何台も無駄にしてしまいました。
あれから半世紀近くが経っていますから、ロボットや各種技術は、格段に進歩していると良いのですが、情報が極端に少ないのが現状です。
廃炉は、今世紀一杯掛かると腹をくくり、その間の若い技術者の確保と育成が何よりも必要です。
原発廃止を打ち出せば、廃炉に取組む技術者はいなくなり、原発は立ち枯れ、とんでもない危険が半永久的に残ることになるでしょう。
新たな原子力発電への道を開く大事な仕事との位置付けが必須です。
無責任な原発廃止論に負ける怖さを、国民は自覚すべきです。
 
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<編集後記>
あれほど騒いだLGBT法案ですが、もう話題にも上がらなくなったようです。
鳴り物入りで誕生した「ジェンダーレス・トイレ」という意味不明のトイレもすぐに消えてしまいました。
それはそうです。
「いったい、誰が利用するのか」と首を捻っていましたから。
当然、女性は敬遠するに決まっていますし、男だって入る気はしません。
妙な烙印を押されそうで、ジェンダーレスの人だって利用しないと思いました。
 
まあ「一つの実験」として見るしかないですね。
真の意味での男女平等社会の実現が下敷きにない限り、ジェンダーレス社会は無理と思います。
 
 
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