2023年11月15日号(国際、政治)

2023.12.04

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2023年11月15日号
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発行日:2023年11月16日(木)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2023年11月15日号の目次
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◇米中首脳会談
◇イスラエルの生存権
◇空母化する「いずも」「かが」は戦力となるのか(3)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
世界は混迷の度合いを深める一方で、このままでは未来は暗いと言わざるを得ません。
この「国際問題、政治問題」も暗い話題ばかりですが、現実から目を背けるわけにはいきません。
今号もお付き合いください。
 
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┃◇米中首脳会談                      ┃
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日本時間の11月16日午前4時半から、庭での散歩を含め約4時間、1年ぶりの米中首脳会談がサンフランシスコで行われました。
会談結果は事前の予測通り、台湾問題でのすれ違いを含めて「意外性ゼロ」の内容でした。
 
バイデン大統領は、気候変動、麻薬問題、AI分野での協力といった「反対があり得ない話題」に終始しました。
一方の習近平主席は、国内を意識して「相手を変えようとするのは現実的ではない」と中国の人権問題に対する米国の批判を牽制しましたが、「互いを尊重すれば食い違いを乗り越え、共存する道を見出すことができる」と妥協の姿勢を見せました。
最終的に、「偶発的な軍事衝突を防ぐための軍同士の対話の再開」には賛同しましたが、これは米国から呼び掛けていたことであり、中国の強気が続かないことが鮮明になりました。
 
今回の会談は、APEC(Asia Pacific Economic Cooperation=アジア太平洋経済協力)がサンフランシスコで開かれることを契機に、習近平主席が米国を訪れることで実現したものである。
国内の経済失速に焦った中国側からのアプローチがあって実現した会談なので、習主席の表情に余裕の無さが伺えました。
 
先日、この会談に先立ち、中国軍機の危険な行動の映像が米国側から公表されましたが、「軍同士の対話の再開」という穏当な表現以上の抗議は米国側から出ませんでした。
ただ、以前から、米国は再三に渡り対話再開の申し出を行っていましたが、中国は無視し続けていました。
今の中国は、習近平主席による一人独裁の国になっていますから、この無視も習首席の指示だと思われます。
そう考えると、今回の対話再開の合意は、習首席の妥協と捉えることができます。
中国経済の苦境が深刻な段階に近づいていることは確実でしょう。
 
さて、この後、日中首脳会談が行われるかどうかが次の焦点といえますが、中国側から会談のアプローチがあったと伝えられています。
しかし、会談が実現し、岸田首相が「福島第一原発の処理水放出に伴う日本産水産物の輸入停止処置の中止」を訴えても、習近平主席の同意は得られないでしょう。
日本にまで妥協したとしたら習主席の立場はないからです。
だとしたら、岸田首相は、いつもの「科学的な根拠に基づく・・」などというような生ぬるい表現ではなく「理不尽な停止処置は止めよ」と言えばよいのですが・・、無理でしょうね。
せめて「中国からの嫌がらせ電話はお国の品格を損ねますよ」ぐらいの“嫌味”は言って欲しいですが、これも無理かな。
 
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┃◇イスラエルの生存権                   ┃
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連日、ガザの惨状がニュースで伝えられますが、イスラエルにはガザ侵攻を止めるという意思は無いように思われます。
ガザ市民の犠牲に対し国際的な批判が高まっていますが、ネタニヤフ政権はガザを実効支配するハマスを無力化するまで侵攻を止めないと思います。
ハマスの後ろ盾となっているイランの動きが不確定要素ですが、沖合の地中海に展開する米国の空母艦隊の睨みが効いて、北部のヒズボラを動かす以上の軍事行動は起こせない状況です。
 
イスラエルの軍事力の強さは、4次に渡る中東戦争で証明されています。
欧米からの支援がなくても、中東で最強であることは世界が認めています。
ただ、第4次中東戦争から時間が経ち、さらにサウジアラビアがイスラエルを認める動きを見せたことで油断が生じたことは事実です。
サウジアラビアのイスラエル承認の動きに焦ったイランがハマスを動かし、あのテロを起こさせた可能性が高いですが、イスラエルがすっかり油断していたことがあの惨状に繋がり、そしてガザの惨状へと繋がってしまっているわけです。
 
欧米はイスラエルを支持し、中東諸国は当然ハマス支持です。
ロシアはハマス支持ですが、中東の戦火が広がりウクライナへの国際的感心が薄れることが本音であることは見え見えです。
中国は最近になってイスラエル批判を始めましたが、これも自国内(ウィグルなど)のイスラム教徒の反発を恐れてのことです。
ゆえに、批判以上の行動を起こすことはないでしょう。
 
みなが分かっていることですが、ことの本質はイスラエルという国の生存権を認めるか否かなのです。
イスラエルは国連加盟国ですから、過去がどうあれ、国際社会は同国の生存権そのものを否定することは出来ません。
しかし、ハマスはもちろん、イランなどはイスラエルの生存権そのものを認めようとしません。
イスラエルという国家を「地中海に落とす(つまり、消し去る)」ことが目的と公言しています。
 
こうした状況から防衛する意味もあり、イスラエルは、国連決議を無視してユダヤ人入植地を増やし続けています。
これには、世界中からイスラエルに移住するユダヤ人が増え続け、土地が足らなくなっているという事情もあります。
一方、こうしたイスラエルの事情を、土地を奪われる側のパレスチナからすれば、到底容認できるはずもなく、泥沼の状況を解決する糸口は見えません。
イスラエルとパレスチナを共に国家として並列共存させるという案がありますが、それは理想ですが両陣営とも決して認めないでしょう。
2000年に及ぶ宗教対立の背景もあり、根が深すぎるのです。
まずは、互いの宗教から暴力要素を抜くという気の遠くなる作業が必要なのです。
 
この対立は、多くの移民を受け入れてきた欧州に、そのまま持ち込まれ、衝突・暴動が頻発しています。
日本では、人道的理由で移民受け入れを増やすべきとの声がありますが、こうした危険を回避する手段を同時に考えなくてはならない難しさがあります。
中東問題の火の粉をかぶる勇気は・・難しいですね。
 
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┃◇空母化する「いずも」「かが」は戦力となるのか(3)   ┃
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3回目の今回は、そもそも日本が空母を保有する是非について論じたいと思います。
最大のマイナス面は、建造費、運用費とも膨大な金額になることです。
米国の最新鋭空母ジェラルド・R・フォードの建造費は1兆9000億円と驚くほどの金額です。
それ以前に建造された他の空母も7000~8000億円とやはり巨額です。
また、原子力空母の運用コストは年800億円と言われますので、30年間運用すると考えると、トータル3兆円を超えるし、フォード級だと4兆円を超えるでしょう。
さらに護衛するイージス艦や潜水艦、補給艦などが必要で、1艦隊だけで10兆円規模となるでしょう。
米国は空母を11隻保有していますので、合計で100兆円を超える金額です。
中国がこれに対抗するのは、到底不可能な金額なのです。
 
そもそも空母を世界最初に保有したのは戦前の日本であり、太平洋戦争の開戦当時は10隻という世界最大の空母保有国でした。
この財政負担と当時の経済規模を考えれば、あの戦争を遂行できる能力は日本には無かったのです。
しかも真珠湾攻撃により、日本の空母は防衛ではなく侵略の道具として認識されてしまい、戦後は保有そのものが封印されてきたのです。
 
さて、本題の「空母は本当に必要か?」に戻ります。
単に攻撃能力だけを考えれば、空母を持つより「多数の戦闘機+航続距離の長い空中給油機」を保有するほうが理にかなっています。
そのため、「いずも」「かが」とも多用途艦として建造されました。
搭載するのはヘリコプターですから、攻撃用ヘリとしても敵戦闘機との空中戦は無理で、陸上戦闘の支援に限定されます。
離れた離島に上陸した敵部隊の撃退など限定的な戦闘用としてしか使えません。
 
それ以上に用途があるのが、災害救援や人道支援などの活動です。
広い飛行甲板や多数のヘリコプターは、そうした救援にはもってこいの装備です。
実際、東日本大震災の際の救援には大きな力を発揮しました。
今後、平和維持活動や災害救助、人道支援などの国際的な救助活動への積極参加で、他国からの支持を得る機会が増すでしょう。
こうした用途には迅速に対応すべきであり、とても役立つ海上拠点となります。
実際、空母保有は、上記の国際的な支援を含めた政治的な意味合いのほうが大きいといえます。
 
戦闘機(F35B)を運用可能にする今回の改修は、当然、武力戦闘を想定したものです。
この場合、他国同様、空母単艦での行動はあり得ず、イージス艦や潜水艦を従えての空母艦隊となります。
つまり、艦隊が戦国時代の「城」とすると、空母は「天守閣」のような存在といえます。
米国などの同盟国との軍事演習における存在感を示す効果も大きいでしょう。
つまり、「戦争用の武器」という意味よりも、国際的な日本の存在感を高める「外交的な武器」という側面のほうが強いということです。
ただし、運用コストが上がることは当然ですので、予算の見直しが必要となります。
 
今回の空母化は、こうした強力な外交武器となるため、中露の反発がより大きいという面に着目する必要があります。
また、韓国の反発は、「うらやましい」が原因ですが、それも外交的な意味合いの強さを表しています。
 
我々国民は、一方に偏った賛否ではなく、プラスマイナスを考えた上で保有の是非を考えたいものです。
 
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<編集後記>
総選挙ができない岸田首相の命運は尽きかけています。
党内に有力な候補がいないことが唯一の救いという情けない状況です。
英語ができるだけの無能なビジネスマンもゴメンですが、同様の総理大臣も願い下げです。
このままだと、そのうち、日本版トランプが出てきそうですが、
今の国民心理は「それでも良い」に近づいているのではないでしょうか。
 
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