2022年8月15日号(国際、政治)

2022.08.30


­­HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2022年8月15日号
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発行日:2022年8月15日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2022年8月15日号の目次
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◇ベロシ議長の台湾訪問(中国の事情と米国の事情)
◇ペロシ議長の台湾訪問(日本はどうする?)
◇今後の政局はどう動くか(野党&マスコミ編)
★民主主義の脆さ(その4)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
報道は、77年目の終戦の日の話題で溢れていますので、それはスルーして、米国のペロシ下院議長の台湾訪問の“裏の話”から入ります。
 
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┃◇ベロシ議長の台湾訪問(中国の事情と米国の事情)         ┃
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ペロシ議長の台湾訪問は、電話による米中首脳会談の直後というタイミングでした。
電話会談で、バイデン大統領に「火遊びをすれば火傷するぞ」と露骨な脅しを掛けた習近平主席のメンツは丸つぶれです。
焦った中国は、台湾を囲む海域で大規模な軍事演習を行いましたが、内容は薄かったとの印象です。
 
もちろん、ベロシ議長の訪台に備えて、演習の準備はしていたでしょうが、議長が訪台を見送ることを期待していた節もあります。
つまり、中国は、現時点で米国と全面対決することは避けたかったのです。
 
それは、この演習が、ベロシ議長が台湾を去った翌日の4日からだったということにも現れています。
議長の台湾滞在中に軍事演習を行えば、台湾近海に待機している米国の空母打撃群が介入してくる恐れがあったからです。
 
演習自体も、当初の予想より少し規模が大きかった程度で、どこか及び腰でした。
当然、演習中は日米の哨戒機や情報収集艦が張り付き、24時間監視を行っていました。
実弾演習ということは、中国軍の実力に関する貴重なデータを日米に与えたことになります。
演習が尻切れトンボのような終わり方をしたのも、これ以上のデータを日米に与えたくなかったのが大きな理由です。
 
そのかわり、中国のマスコミは、ベロシ批判で埋め尽くされています。
完全に「犬の遠吠え」状態というわけです。
しかも、大量の批判記事の中にカムフラージュしていますが、以下のような記事も見受けられます。
「中米軍事関係はどん底だが、すべてのコミュニケーション回路が閉じられたわけではない。ホットラインはいまも生きている。緊急時の対話は可能だ」
中国の腰が引けていることは明らかです。
 
中国の政権内部では、今回の事態は習近平主席の外交失態と捉えられているとの情報もあります。
いつもの報道官の発言からも、政権内部の混乱ぶりが伝わってきます。
避暑地の北戴河で行われているはずの「最高幹部と長老たちによる秘密トップ会議」は、かなりの荒れ模様だと思われます。
秋に予定されている共産党大会で、習近平主席の三選がなるか否かが注目です。
それによって、中国の今後は大きく変わってくるでしょう。
 
一方、11月の中間選挙を控えた米国では、民主党の劣勢が伝えられています。
下院で敗北すれば、ベロシ議長の座も危うくなります。
ベロシ氏の焦りも大きいでしょう。
共和党がいち早く、この訪問を歓迎する意向を表明したのは、その焦りを利用するためです。
反対に、トランプ前大統領はこの訪問を痛烈に批判しましたが、トランプ氏にとってペロシ議長は天敵ともいえる存在ですから、個人的な恨みのほうが強いのでしょうね。
 
それより、2021年1月の議事堂襲撃事件での関与や、大統領機密文書の別荘持ち出し疑惑でFBIの捜査を受けるなど、自身の疑惑のほうに火が付きそうです。
不正な不動産取引などの過去から引きずる疑惑も再燃しそうで、共和党内の主導権争いも微妙になりつつあります。
 
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┃◇ペロシ議長の台湾訪問(日本はどうする?)            ┃
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中国は、台湾威嚇の軍事演習で、日本のEEZ(排他的経済水域)内にミサイルを着弾させました。
また、外相会談のキャンセルといった“子どもじみた”嫌がらせで日本を牽制しています。
その一方で、改造岸田内閣には関係改善を期待するようなコメントを出しています。
これらは、日米の分断を図る「離間の計」であることは明らかですが、さあ、日本はどうする?
 
中国は、口では岸田首相の「親米路線」を非難していますが、岸田首相の「親中姿勢」を見抜いた上での非難です。
中国があからさまに岸田首相に期待するような姿勢を見せれば、日本の保守派は警戒し、自民党内は反岸田が優勢となり、岸田政権は続かなくなるでしょう。
中国は、それでは困るので、トーンの緩い批判になっているのです。
 
先日、中国各紙に、林芳正外相を名指して、「米国、オーストラリアと一緒に中国を非難している」との批判記事が載りました。
林外相は、誰もが知る通り、筋金入りの「親中派」です。
その林氏を、中国が「対中強硬派」として扱うのはどうしてなのでしょうか?
 
それは簡単なことで、日本の世論を操っているのです。
中国が林氏を支持していることが分かれば、林氏の外務大臣の座は危なくなります。
それでは、中国は困るのです。
ゆえに、日本国民には林外相を「中国強硬派」のように思わせておこうという援護射撃なのです。
中国各紙の林外相批判の記事をよく読めば、そうしたトーンは隠しようもありません。
林外相は、中国から大事にされている根っからの「親中派」なのです。
 
だからと言って、私は、林外相を非難しているわけではありません。
親中派や親米派が入り混じっていることが、日本が民主主義国家であることの証です。
親日派や親米派がいても、そうした態度を示すことができない中国よりは健全なのです。
 
日本は、こうした中国とどう対峙、あるいは付き合っていけば良いのでしょうか。
次回、ひとつの考えを述べたいと思います。
 
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┃◇今後の政局はどう動くか(野党&マスコミ編)           ┃
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旧統一教会との関係で、岸田改造内閣は前途多難です。
一切無関係の議員だけだと組閣が困難なほど、自民党は侵食されていたのです。
 
「チャンス」とばかりに、立憲民主党は、この問題を追求していますが、いつブーメランとなって跳ね返ってくるかもしれないと、どこか腰が引けた印象です。
団体の票が欲しいのは野党の議員も同じです。
民主選挙では1票でも多いほうが勝ちですから、それも自然な心理です。
 
しかし、この問題だけが政治課題ではありません。
立憲民主党が本気で政権を奪取する気ならば、与党とはひと味ちがう政権構想を打ち出して欲しいものです。
スキャンダル追求だけでは政権は取れませんよ。
 
今回の参院選で議席を伸ばしたのは日本維新の会ですが、今のままでは勢いは頭打ちでしょう。
やはり、しっかりとした政権構想を打ち出せない弱さがあります。
時間を掛けて、意志の強い若い候補者を発掘し、育て、まずは野党第一党の座を取ることです。
 
2025年からの25年間、時代は大きな曲がり角を曲がっていく「カーブ」の時代に入ります。
野党にとっては、政権を奪取する絶好の時代が来るのですが・・
2025年からの時代を見抜く“目利き”の党首が欲しいですね。
 
マスコミは、統一教会問題を、この時とばかり張り切って報道していますが、かなり以前から、この種のネタは掴んでいたはずです。
しかし、宗教問題に関しては「触らぬ神に・・」と、沈黙していたわけです。
それが、安倍元首相の銃撃・死亡事件が予想外の展開に発展し、自民党が「弱り目にたたり目」に陥ったことで、ここぞとばかり騒いでいるわけです。
 
この問題、政権与党である自民党のひどさには目を覆うばかりですが、国民の責任も大きいのです。
投票率がようやく50%という低さゆえ、宗教団体などの“かたい”票が威力を増してしまうのです。
投票率が70~80%というレベルであれば、こうした票の威力は半減するでしょう。
 
「入れたい候補者がいないよ」は、“耳にタコ”の言葉ですが、それでも投票に行くことが民主主義を守る唯一の道です。
「入れたい候補者」がいないのであれば、「せめて、コイツにだけは入れない」でも良いのです。
「宗教団体や圧力団体の支援を受けている候補者には入れない」でも良いのです。
「投票率を上げる」という一点が大事なのです。
マスコミは、その啓蒙こそが大事な使命と自覚すべきです。
 
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┃★民主主義の脆さ(その4)                    ┃
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岸田改造内閣の閣僚人事は発表されましたが、前号で取り上げた小林史明氏は、兼務していたデジタル副大臣と内閣府副大臣を外れました。
デジタル大臣に指名された河野太郎氏とのコンビネーションに期待していたのですが、残念でした。
それでも、前号の予告通り、各種の対談などで言及している彼の主張を解説したいと思います。
 
小林氏は「テクノロジーの社会実装によりフェアで多様な社会を実現する」という政治信条を掲げています。
具体的には、「デジタル化による規制改革と行政改革に一体的に取り組む」という考えを表明しています。
政府の一員としての政策課題も述べていました。
以下に、小林氏の言葉を要約して紹介します。
 
「日本におけるデジタル施策やイノベーションの促進は、これまでのところ残念ながらうまくいっていません。その理由を総括すると、課題は大きく3つあります。 まず、技術の進展に対してまったく社会制度が追い付いていませんでした。
2つ目の課題は国と地方のガバナンス(の混乱)です。地方に権限があることにより、本来、国が全国で統一的に実施した方が効率的なことが実施できなかったり、データの項目が自治体ごとに異なることで集約するのに苦労したりということがありました。
そして3つ目がリソースの問題です。問題意識が高まっても、政策を実現するために必要なリソースを準備できていませんでした。 」
 
今後の日本にとって、デジタル庁の役割は大きいです。
小林氏が指摘した3つの課題にどう取り組むかです。
小林氏は、「他省庁に対してもデジタル化を推進する権限と、リソースをもつ組織が誕生したことに意義がある」と述べています。
さらに「デジタル施策、規制改革、行政改革を1人の大臣のもとで推進する体制が大事」と述べ、
「自律的に社会をよくしていく取り組みがさまざまなところで起こり続けるのが理想的な社会像だと思っています。特に経済活動においては、前提になっている規制や慣習を当事者自らが参画しやすい仕組みがあれば、より自由な発想が生かせる社会になるはずです」と述べています。
 
その上で、「最も根幹のインフラは法律です。法律自体を民主化したい、つまり、議員と役所だけで決めるのではなく、みんなで決めようぜ、ということです。これは、テクノロジーを活用すればできます。 政府が国民や企業が活動しやすいインフラを整えていけば、多様性やQOL (Quality of Life=心身ともに健康で輝くような状態)が上がり、イノベーションも起きやすくなります。自ずと国の競争力も上がります。」との抱負を語っています。
 
私の主張してきたことと80%ぐらい重なる考えです。
ぜひ、新しい副大臣となった大串正樹氏に引き継ぐと同時に、小林氏のこれからの政治活動に注目していきたいと思っています。
 
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<編集後記>
韓国のゴルフ界で「長打クイーン」の異名を取る人気の19歳の選手が、ラフにボールを打ち込んだ後、別のボールでプレーを続け、そのままホールアウトするという不祥事が発覚しました。
しかも、1ヶ月後に「どう対処したら良いか判断できず・・」と弁明しましたが、その後の調べで、キャディの指摘を無視してプレーを続けていたことが分かり、大騒動になっています。
さらに、この事実をコーチや親ぐるみで隠蔽工作していたことまで暴露されています。
韓国社会に深く根付く「勝利至上主義」がもたらした不祥事ですが、政治や経済でも「勝った、勝った」と騒ぐ体質が抜けない限り、「まともな付き合いはできない国だな」と思ってしまいました。
 
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