2022年9月15日号(国際、政治)

2022.09.21

HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2022年9月15日号
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発行日:2022年9月15日(木)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2022年9月15日号の目次
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◇岸田首相は、もうダメかな?
◇軍事における費用対効果
◇今後の政局はどう動くか(日本維新の会の可能性)
◇航空母艦は、対艦ミサイルの餌食か?
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
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┃◇岸田首相は、もうダメかな?                   ┃
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安倍元首相の銃撃死亡が、旧統一教会問題から国葬問題へと思わぬ方向へ転換してしまい、さらに東京五輪の不正問題まで浮上するという予期せぬ事態の連続に岸田首相はついていけないようです。
 
自民党議員と旧統一教会との関係が予想以上(あるいは予想どおり?)に膨れ上がっていた実態が暴かれ、国民は呆れるばかりです。
しかも、これで終わりではなく、まだまだ深く広く、まるで深海の様相を呈しています。
首相自身の力量が問われている事態といえますが、リーダーシップのかけらも見えない姿に、「少しは根性を出せ」と言いたくなります。
ここまで来たら、「自分の代わりは自分しかいない」と腹をくくり、自ら泥を被るしかありません。
 
まず国葬問題ですが、国際的な恥さらしになるので、今さら止めることはできません。
私個人的には、安倍元首相の死が国葬に値するかどうかには疑問がありますが、「止める」という選択肢はとうに無くなっています。
さらに、この国葬に少しの不祥事でも起きれば、日本国自体が修復不可能なほどの傷を負ってしまいます。
カネに糸目をつけない厳重な警備体制で外国要人の安全を確保し、厳かに国葬を行うしかありません。
16億円程度のカネでは足らないでしょうが、「これだけ掛かった」の開示は必要です。
 
岸田首相は、7月の参院選に勝ち、「黄金の3年間が開けた」とまで言われ、気が緩んだのでしょうか。
あっという間の凋落です。
「やはり、首相の器ではなかったな」の声が聞こえるくらい、右往左往するだけの印象です。
こうなったら、首相として打つ手は「解散・総選挙」の一手しかありません。
一部の評論家も、同様な意見を言っていますが、他の手は、何をやってもダメでしょう。
もちろん、選挙に負けて首相の座は終わりになる公算も強いですが、万に一つの可能性が開けるかもしれません。
ダメであったとしても、その勇気を示せば、国民は、骨ぐらいは拾ってくれますよ。
 
今の首相にとって急務といえる仕事は、自民党議員を統一教会から完全に遮断することです。
しかし、あれだけの人数の議員が関係していますし、まだダンマリを決め込んでいる議員もいます。
「第三者委員会」で究明をという声がありますが、到底、不可能でしょう。
つまり、この問題の審判を国民の手に委ねるのです。
これが、民主主義国家の一番まっとうな道です。
 
当然、公明党は猛反対するでしょう。
宗教と政治のズブズブな関係は同党も同じですから、同党にとっては厳しい選挙になるでしょう。
しかし、「この際、公明党を切り捨てる良い機会だ」と、腹をくくることです。
 
ただ、岸田首相にとって幸運なことは、野党の弱さです。
本来なら、立憲民主党が中心になった野党連合で政権奪取する最高のチャンス到来なのですが、今の野党にその力はなく、その気もないでしょう。
もちろん、総選挙で自民党は議席を減らす公算が大きいですが、統一協会がらみの多くの議員は落選するし、公明党との関係も見直すチャンスとなります。
党内の派閥の力関係も大きく変化し、古株の息の根を止める期待も出てきます。
 
反対がどれほど強くとも、解散権だけは首相が持つ唯一無二の「伝家の宝刀」です。
この刀を抜けば、僅かですが、岸田首相の続投の芽はあると思っています。
 
もう一つ、大事なことがあります。
中国の習近平主席が三選を果たせば、台湾への軍事侵攻を本格化させる可能性が高まります。
当然、尖閣や先島諸島も攻撃目標となります。
岸田首相は、親中姿勢の林外相を更迭し、外交および安保体制の強化を急ぐべきです。
さてさて・・
 
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┃◇軍事における費用対効果                     ┃
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ビジネス現場では耳にタコの「費用対効果」という言葉ですが、軍事における費用対効果は「実際に戦争してみないと、分からない」ものです。
さりとて、「では、やってみるか」という訳にもいきません。
机上で検討し、実際の演習で効果を確認し・・ということを繰り返すしかありません。
それもまた、多大なおカネがかかり、「費用対効果」を悪化させるのですが・・
 
しかし、国家が追い詰められた場合は、すぐに答えは出ます。
良い例が北朝鮮です。
同国は、悲惨な経済の中で「最も費用対効果の高い軍事を」と考えた結果、核兵器という当然の策に行き着いたわけです。
しかも現代では、核兵器の所有は、それほど高い障壁ではありません。
核爆弾の原理は単純で、一定の技術があり、原料のウランやプルトニウムが手に入れば、中進国レベルの国でも持つことは可能です。
核拡散の危険度は世界のあちこちで上がる一方なのです。
 
ロシアの蛮行と中国の軍事力の膨張により、東アジアでも戦争の空気が濃くなってきています。
ゆえに、日本で防衛力増強が議論に上がるのは当然ですが、政治的思惑ばかりが先行する現状に危惧を覚えます。
自民党は、NATO並のGDP比2%までの予算増額をと勢いづいていますが、肝心の実践的な防衛戦略・戦術の立案がまるでなっていません。
 
「なぜ?」の答えは簡単です。
防衛戦略・戦術の策定は、軍隊の現役参謀と最上層部の将官の役割です。
その結果を踏まえて、政治指導者が高度な政治判断を下してこそ、効果的な防衛が可能となります。
しかし、日本国憲法が戦争放棄を規定している限り、現役自衛官が公式に参画することができません。
 
一方の野党は、「自衛隊解散」を叫ぶ野党から「改憲せよ」の野党まで、みごとにバラバラです。
その中で「費用対効果を示せ」という声がありますが、冒頭で述べたように、まったく無意味な意見です。
費用対効果を第一に考えるなら、北朝鮮同様、「核兵器を持つべき」となります。
実際、そう主張する声も聞かれるようになっています。
 
私は現実主義者なので、核兵器保有を頭から否定はしません。
また、日本の技術力ならば、1年程度で国産核兵器の保有も可能だと思います。
しかし、保有によるプラス効果は5%、マイナス影響が95%と考えていますので、結論は明らかです。
 
先日、小野寺元防衛大臣が中心になり、民間有志による「中国による台湾有事」のシミュレーションの様子がニュースになっていました。
賛否はあるでしょうが、なかなか意味のある試みだと思いました。
ただ、全部を見たわけではありませんが、気になることがありました。
それは「中国が、こう攻めてきたら・・」というような受け身のシミュレーションばかりだったことです。
こうした戦略で、中国の侵略を撃退することは難しいでしょう。
古代中国の兵法書、孫子は「先手を取る」ことの大切さを、しつこいくらいに説いています。
先手を取る防衛とは、敵基地攻撃能力を備え、相手にも「防衛体制」を取らせることにあります。
それによって、相手が「攻撃に全兵力を集中」できない状況を作ることが肝心と説いています。
 
政府が小野寺氏等のようなシミュレーションを行うとマスコミから非難されるでしょうが、民間なら自由なはずです。
次回は、ぜひ、もっと踏み込んだシミュレーションを見たいと思います。
 
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┃◇今後の政局はどう動くか(日本維新の会の可能性)         ┃
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参院選で躍進したと言われている日本維新の会ですが、2021年10月の衆院選で11議席→41議席と大幅に議席を伸ばしたことに比べれば、今回は15議席→21議席ですから、同党の勢いは鈍っているとみています。
大躍進したように見える昨年の衆院選も、得票率を見ると、そうとは言えません。
同党のピークといえる2012年の総選挙での得票率と比較すると、以下のようになります。
小選挙区で11.64%→8.36%、比例区で20.38%→14.01%と下がっているのです。
 
この結果は、政党としての形が整っていないことを示しています。
維新の会は、市町村議員という国政選挙の手足となる組織が大阪以外は整っていないのです。
ゆえに、新代表を選出するイベントで話題を引き付け、来春の統一地方選で、地方議員の数を大幅に増やすという戦術に賭けていたのです。
 
しかし、同党の思惑どおりにいく可能性はかなり低いでしょう。
昨年の衆院選では、東京の小選挙区での当選はゼロでした。
小選挙区では何より組織票がものを言います。
自民党が統一教会の餌食になったのも、それが大きな要因です。
それがなければ、候補者の知名度がすべてです。
次善の策は、タレント候補の擁立となってしまうわけです。
 
その両方に乏しい日本維新の会にとって東京は厳しい戦場です。
同党では知名度が一番の吉村大阪府知事にしても、東京では“イマイチ”です。
ゆえに、地方議員の発掘から体制を作るという同党の戦略は正しいのですが、時間が掛かります。
この戦略が実を結ぶまで我慢して地道な努力を続けられるかどうかです。
 
最近の選挙結果を見ると、与野党の得票率が固定化していることが分かります。
2021年の衆院選では、与党vs野党は、比例区で47.04%対51.4%、小選挙区で49.6%対46.06%です。
この比率は、自民党が民主党から政権を奪い返してから、ほぼ変わりません。
全野党の一本化は無理でしょうから、与党優位は続きます。
 
こうした得票率の固定化から分かるのは、選挙民は、与野党に固定化された層しか投票に行かず、無党派層の多くは選挙にそっぽを向いたままという現実です。
それが、55%前後という低い投票率に現れているのです。
無党派層を動かす強力な仕掛けと魅力を持つ野党のリーダーが出現しない限り、今の与党の優位は動かないでしょう。
逆に自民党に、こうしたリーダーが出現したら、今の野党の芽は完全に潰れます。
(現在の首相にはムリでしょうが・・)
 
今の野党第一党、立憲民主党の体質からは、こうしたリーダーは生まれないでしょう。
日本維新の会は、まず野党第一党の座を狙う戦術でしょうが、その先の政権構想を示せるリーダーを生まないと、立憲民主党と同じテツを踏むだけです。
現状は、とにかく駒不足であり、馬場新代表も失礼ながらリーダーとしては新鮮味に欠けるといえます。
ゆえに、馬場代表の役割は、新たな新鮮な駒を揃えていくことに尽きます。
来春の統一地方選を、その第一歩とできるかどうかで、この党の未来が見えてくるでしょう。
 
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┃◇航空母艦は、対艦ミサイルの餌食か?               ┃
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インドが国産の航空母艦(空母)を竣工させました。
中国は、3隻目の空母「福建」を進水させ、2030年代には5隻体制にする計画です。
日本もヘリコプター空母の「いずも」「かが」のF-35Bを運用する軽空母への改装を進めています。
 
一方、「現代の航空母艦は、かつての戦艦と同じ運命をたどる」として、対艦ミサイルの餌食になるだけだという意見もあります。
ただ、第二次大戦が終わってから、航空母艦による大規模な戦闘は起きていません。
ゆえに、航空母艦の実際の戦闘能力については推測の域を出ていないのが実情です。
 
真の戦闘能力を備えているのは、10万トン級の原子力空母打撃群を11セットも有する米国だけです。
他の国の空母は、艦体の大きさと搭載する航空戦力により、周辺国に対する威嚇の意味だけの存在に過ぎません。
さらに言えば、国内向けに「見よ、我が国の軍事力を」という鼓舞の効果を狙っているのです。
日本でも「軽空母ではなく本格的な空母を」という声が聞こえますが、同じ狙いでしょう。
 
誰もが知るように、6~7万トン級の本格空母は、典型的な他国攻撃兵器です。
日本の空母は、離島防衛と災害支援が主な任務なので、軽空母で十分なのです。
日本防衛の主戦力は、地上基地から発進する戦闘機群と米空母打撃群の組み合わせです。
その飛来までの時間稼ぎと合同戦闘が役目なら、運用の負担軽減からも軽空母のほうが良いのです。
 
中国は、数千発の対艦ミサイルを備えていると言われていますが、これは米国の巨大空母に対する備えです。
その実力は、はっきり言って未知数です。
 
中国のミサイルはロシア製のコピーと言われています。
ウクライナ侵攻の結果によると、ロシアのミサイルの命中度は7%程度と言われています。
中国が改良を加えていたとしても、命中率は10~20%ぐらいではないかと思われます。
その上、放った対艦ミサイルの大半は、米国の空母艦隊によって撃ち落とされるでしょう。
しかし、ミサイルが一発でも空母に当たれば、撃沈は免れても、戦闘続行は不可能になる可能性は大です。
となると、最初は、米国は、対艦ミサイル基地を徹底的に叩く戦術に出るはずです。
初戦でミサイル基地が叩かれると、残ったミサイルの数と命中率から考えると、中国の劣勢は明らかです。
米国の空母打撃群を主体とする「他国攻撃能力」は、当面は無敵といえるでしょう。
 
中国の航空母艦の実力は、次回に述べます。
 
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<編集後記>
沖縄県知事選で、玉城デニー知事が再選を果たしました。
保守派候補の一本化が出来なかったことと旧統一教会問題の逆風で、この結果は予想されました。
 
玉城知事は、「全力で辺野古移設を阻止する」と公約していますが、知事に国政を動かす権限はなく、今の国際情勢が続く限り、基地のない沖縄はほぼ不可能な夢というしかありません。
普天間の危険を無くすことを第一に考えれば、辺野古移設以外の策はないと思うのですが、「本土の人間が何を言うか」と受け取られてしまうのでしょうか。
 
 
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