ビジネスのオンライン化は焦らないほうが良いようで
2023.08.31
【経済・経営】2023
街を歩いていると、スマホに夢中な人と何度もぶつかりそうになります。
「歩きスマホは止めましょう」などの警告は、まったく意味が無い状態です。
ほとんどの人は、情報の悪用にまったく無関心です。
LINEなどの手軽なSNSは、個人の浅いレベルでの情報交換には良いでしょうが、深いレベルでは信用度ゼロで、とても使えません。
「そんなことは分かっているよ」と言われるでしょうが、ビジネスの現場にも、こうしたSNSでのやり取りがどんどんと浸透しています。
日本人は、おそらく世界でも稀な「無限の信用人種」です。
ビジネスでも、「悪い人はほんの一握りで、自分とは関係ない」と思っている人が大半です。
しかし、SNSやネットビジネスの爆発的な普及は、浅いレベルの情報を使うことの危険性を大幅に増しています。
特に危ないのは「深いように見せかけ、実は浅いレベルの情報」ですが、こうした情報が急激に増えています。
このような外部からの危険性以上に問題なのは、社内外との情報交換をオンラインに頼ることです。
インターネットの世界は、固定電話のように1対1で繋がる世界ではありません。
世界中にある無数のサーバーや通信回線を経由して繋がっているわけですが、「どこをどう経由して繋がっているか」はわからない世界です。
そもそも、インターネットは、核戦争後の世界で生き残った僅かな人々が、互いに「生きている」ことを確認し合うことを目標に、米国国防総省が設計したものです。
核戦争後の世界で生き残った僅かなサーバーや通信回戦を探して、なんとか繋いでいくことを目標に設計された仕組みです。
当然、セキュリティはゼロの世界ですが、それが基本の通信手段なのです。
もちろん、それでは困るので、実際はTCP/IPと呼ばれる4階層のプロトコル(規約)で管理されています。
それを厳格に守れば守るほど、通信でのやり取りは遅くなっていきます。
実際、「遅いな」と感じることが多いでしょうから、それは分かると思います。
TV放送で、局にいるアナウンサーとオンラインで繋がっている外部の人との応答が遅いことは、日々実感しているはずです。
ビジネスにおける会議では、このタイムラグの影響は無視できません。
瞬間的に応答がずれるだけでも、互いの認識や意識にずれが生じ、コミュニケーションがスムーズにいかないことは実感していると思います。
リモート会議などのインフラのメイン提供者であるZOOM社では、リモートワークやオンライン会議を減らして、社員には出社を促し、リアルな会議を増やしているということです。
ほとんど笑い話のようですが、実際、笑えない話です。
私は、オンライン会議は報告だけに限定しています。
会議の内容が「上っ面をなでるだけ」となり、議論が煮詰まらずに飽きてしまうからです。
口には出さなくても、同じ思いを抱いている方も多いと思っています。
もちろん、オンライン営業はすべて拒否です。
利便性より危険性が大きいと判断してのことです。
オンラインでのやり取りが詐欺や強盗などの犯罪に使われるケースも増える一方です。
パソコンが誕生する前、メインフレームと呼ばれる大型のコンピュータしか無かった時代から現在に至るまで、システムを駆使してビジネスを行ってきた私ですから、システムやネットワークを否定しているわけではありません。
それどころか、死ぬその日まで、システムの世界から離れることは無いと自覚しています。
ですから、信頼性の高いネットワークの世界が来ることを願っています。
しかし、それを使う人の倫理観は下がり続ける一方です。
「悪意は善意より強い」という論理は真理のひとつです。
その悪意を打ち破るのは「悪意を知り尽くした善意」だけです。
ゆえに、ネットワーク社会の悪意を知り尽くした善意が主導権を確立するまで、ビジネスのオンライン化は焦らずに進めるほうが良いと思っています。
「そんな日を待っていられない」というのであれば、自分および自社が信頼できる相手の能力を借りることをお勧めします。