「日経平均株価が最高値を更新」の意味すること
2024.03.18
日経平均株価がバブル期を超え「史上最高値」とマスコミが騒いでいます。
ですが、「30年以上も昔の時代と比較して、どうすんの?」と言いたいです。
米国NYダウの株価は、この30年で約13倍になっています。
中国の経済がボロボロになり将来への展望もなく、中国国内も含めた投資家が逃げ出しています。
そうした投資家の目に、円安が続き割安感の大きい日本株はとても魅力に映ります。
さらに円安は輸出型大企業の収益を押上げる効果があり、賃上げにも十分堪えられます。
こうした企業の株価は「まだ上がる」と見ている投資家は、さらに買い増しに動くでしょう。
バブル時の壁だった株価4万円を突破する可能性も大きくなっています。
しかし、日本経済の行方を手放しで楽観視するわけにはいきません。
経済アナリストの中に指摘する人もいますが、史上最高値更新から一転して日本経済転落という事態もあり得ます。
物価高は大企業にとっては追い風であり、賃上げで従業員を集め易くなる効果も増します。
しかし、会社数で9割以上、従業員数でも7割以上を占める中小企業の多くにとって、円安は、材料費、燃料費、電気・ガス代等が増え、経営を圧迫します。
賃上げも、大企業のように上げていくことは難しいのが実状です。
全体の実質賃金は21ヶ月連続マイナス、消費支出も10ヶ月連続マイナスという数字が、そのことを表しています。
つまり、中小企業に勤め、株も持たない多くの庶民は、株高による好景気をまったく実感できていないのです。
外国投資家は、今、「日本はデフレ経済から脱却できるかもしれない」とみて日本株を買い増ししています。
たしかに、中国や韓国に投資するより、ずっと安全だといえます。
マスコミは「GDPがドイツに抜かれ4位に落ちた」と騒いでいますが、そのドイツはインフレ状態が続き、国民の暮らしを直撃しています。
「日本を抜いた!」なんて騒ぐドイツ人は、ただの一人もいません。
話を日本に戻します。
このような状態が続くと、大手企業と中小企業の格差はさらに広がり、結果として中小企業から大手へと従業員が流出していくでしょう。
大手とて人手は不足していますから「中小企業のことなど、かまっていられるか」とばかり、高値の給料で釣り上げに来るでしょう。
実際、熊本で操業を開始する台湾企業のTSMCは、年収600万~1200万円で従業員の募集を開始しています。
熊本の平均年収が、男性で450万円、女性で331万円ですから、地場産業にとっては恐怖以外のなにものでもありません。
TSMCは、第二工場の建設も発表していますので、激震はさらに続くと思われます。
やがて、日本各地で中小企業の人手不足倒産の動きが増えることが懸念されます。