ミサイルが戦争の主役の時代
2024.11.18
先月、北朝鮮が弾道ミサイルと思われる飛翔体を日本海に向けて発射しました。
飛翔時間が85分という最長の長さに恐怖を覚えた方も多かったと思います。
しかし、ネットで驚くような映像が公開されました。
それは、航空自衛隊のF15戦闘機が、この飛翔体を撮影した映像です。
このミサイルの速度は不明ですが、F15が飛行しながら撮影できたことの意味が大きいのです。
断定できませんが、戦闘機が追尾して撮影できたということは、このミサイルは撃墜可能ということを意味します。
もちろん、戦闘機に搭載する迎撃ミサイルの性能も大きな要素ですが、改良型のF15に搭載予定のスタンド・オフ・ミサイルであるJASSMの性能をもってすれば迎撃は可能だと思われます。
こうした航空自衛隊の能力を向上させることで北朝鮮の意思を挫くことも大切ではないでしょうか。
世界最初のミサイルは、旧ナチスドイツのV1、V2号ロケットという話は有名です。
このミサイルの発明者、フォン・ブラウン博士は、戦後米国のミサイル、ロケット開発を先導したことで有名な人です。
私は、中学・高校時代、博士に憧れていて、本気でNASAに入りたいと思い勉強しました。
残念ながら、大谷君と違い、自分の願いは破れましたが・・
80年前のV1、V2号ロケットは無誘導ミサイルでしたが、電子技術とソフトウェアの発達で、現代のミサイルはピンポイントの正確さを有しています。
ウクライナ戦争で明確になったのは、こうしたミサイルの性能において、ロシアが西側に遅れをとっているという事実です。
そのことで、ハイマース、パトリオット、エイタクムスといった米国製ミサイルに世界中から注文が殺到しています。
一方、ロシアが「究極のミサイル」と豪語しているサルマトは発射失敗が続いています。
発射できても命中率が7発中1発という低さで、戦力になるかが疑問視されています。
それでも、プーチン大統領は2022年に配備を命令しました。
「はて、使い物になるのか?」と西側は疑問視していて、特段の対抗手段を取る気配はありません。
ソ連時代のロシアは、ウクライナのドニプロ工場で新型ミサイルの開発・設計を行っていました。
それが、ソ連崩壊後にウクライナが独立したことで、その軍事技術を失いました。
核兵器を搭載できるICBMの開発・運用には、卓越した技術が必要です。
しかし、今のロシアにはその技術だけでなく、そうした能力を持つ技術者も決定的に不足しています。
ロシアが、ウクライナの東部占領にやっきになっているのは、こうした背景が影響しています。
現在のロシアのミサイルやロケット技術は、ウクライナにも劣っているといえるのです。
こうした事実は、ロシアの技術に依存してきた中国や北朝鮮にとっても死活問題です。
北朝鮮が執拗にミサイル発射を行うのは、ロシアに頼れないので、自前の技術を上げようと必死になっているからです。
しかし、冒頭で述べたように、F15からのミサイルで撃墜可能となれば、日本の国民にとっては大きな安心材料です。
戦闘機からの発射は、地上発射の迎撃ミサイルより機動性がはるかに良いので、期待できる技術です。
英伊と共同で行うF2の後継戦闘機の開発においては、搭載ミサイルの性能向上にも期待したいところです。