トランプ再登場は、リスクかチャンスか

2024.12.03


トランプ氏は、来年1月20日に米国大統領に返り咲きます。
過去に返り咲いた大統領は、第22代・24代のグローバー・クリーブランド(民主党)だけです。
それは1892年のことだったので、トランプ氏は実に133年ぶりの2人目ということになります。
日本では明治24年なので、「そんな前なの!」ですね。
まずは「よくぞ再挑戦したもんだ」と、トランプ氏の意欲(執念かな・・)に単純に感心します。
 
そういえば、トランプ氏と盟友ともいえる関係だった安部元首相も再選を果たした首相でした。
うがった見方ですが、二人の会話の中には、再選への戦略に関する話題もあったのかもしれません。
良くも悪くも、この二人は“馬が合った”間柄のように見えます(深いレベルの話は断片的にしか入ってきませんから、断定はできませんが・・)
そう考えると、トランプ氏は返り咲いた後の政策に関する話題を生前の安部元首相と話していた可能性があります。
つまり、一期目とはかなり違う政策になる可能性が大きいと考えます。
今号は経済・経営が主題なので、経済に絞って話を進めます。
 
トランプ氏は、輸入品に対する大幅な関税引き上げを明言していますが、個別の相手国との取引材料にするつもりなので、どう仕掛けるかは未知数と考えたほうが良いでしょう。
もし、本当に全面的な大幅な引き上げを実行したら、米国は大変なインフレに見舞われ、トランプを支持した層の国民の生活は大打撃を受けます。
交渉相手国に対し「やるぞ、やるぞ」と脅しを掛け、有利な条件を引き出すディール(取引)材料にするトランプ流の常套手段です。
当然、相手国も承知ですから簡単な結果にはならないでしょう。
 
また、そのディール(取引)の結果によっては、議会と衝突して政権の不安定材料となります。
議会の上下院とも共和党が過半を占めているので「政権は安定する」との見方がありますが、経済政策に関しては共和党の議員グループは、それぞれの業界の代弁者です。
当然、個々の政策に対し反対に回る勢力もそれなりに出てきて、大統領との対立が増えていくものと思われます。
就任1年目は、そうした情勢への対処があり、またウクライナや中東問題などの政治的対処もあり、それほど急進的な策をいきなり実行はできないでしょう。
さらに、4年目になると次はありませんから、求心力は失われていきます。
となると、経済政策のカギは2年目と3年目の僅か2年間限定となります。
 
日本は慌てて対処するのではなく、政策が出される前の情報を収集し、様々な対抗策を練っておくことが肝要です。
その政策の中心になるのが首相ですが、石破首相にそうしたリーダーシップを期待するのは無理というしかありません。
要するに、彼が日本にとっての最大のリスクなわけで、早期の退陣が日本経済のためということになります。
その後は、急激に変化していく内外の情勢をチャンスに変えることができる首相の誕生を望みます。