高関税という名のトランプ台風
2025.03.03
米国が世界一の国に“のし上がった”原動力は、2つの世界大戦です。
それまでの戦争は、ナポレオン戦争のように「野原で大軍がぶつかり合う」形態が主であり、稀に都市攻撃があった程度でした。
それが、2つの世界大戦では都市がターゲットとなり、工場や住居などの施設が廃墟と化しました。
こうして工業生産力を失った欧州や日本をしり目に、工場が無傷だった米国は、あらゆる商品や製品を湯水のごとく世界に輸出し、巨万の富を積み上げ、世界一裕福な国になりました。
このとき、極端な物資不足に悩む欧州・日本は、輸入する米国産品に関税を掛けることは、“もちろん”できませんでした。
結果、米国はこの無関税の「グローバリズムの恩恵」で、富を最大限に膨らますことが出来たというわけです。
それが今、トランプ大統領は、そのグローバリズムを否定し、極端なナショナリズムに走り、米国が輸入するあらゆるものに高関税を掛けると世界を脅しまくっているわけです。
その背景にあるのは2つの世界大戦後に米国に大きな富をもたらした製造業の衰退です。
今の米国製品は国内でも不人気です。
過去に黄金地帯だった中西部の工業地帯は、ラストベルト(rust belt=さびついた工業地帯)と称されるほど衰退しています。
トランプ大統領は、競合する外国製品に法外な関税を掛ければ、米国製品の競争力が上がって売れると主張して衰退地域の票を大量に獲得して大統領選挙に勝利しました。
しかし、関税は両刃の剣であり、米国が無傷というわけにはいきません。
そのためか、トランプ大統領は、各国が「相互関税」を掛け合うことを主張しています。
それは、以下のような理屈ではないかと推測します。
どの国でも輸入品に掛ける関税は、輸入国の「政府の収入」となります。
問題は「この関税は、いったい誰が支払うのか」ということです。
もちろん、支払うのは輸入国の消費者です。
ゆえに、消費の衰退を呼び、経済の下落を招きます。
しかし、国家は「政府の収入」となる資金を減税に回せば消費が喚起され、経済下落を防げるというロジックのようです。
これがトランプ大統領の頭の中の計算式ではないかと考えます。
では、果たしてこの計算式は成り立つのでしょうか。
成り立つのは、輸入国の消費者が「輸入品は高くなったので、国産品を買おう」と思う場合だけです。
自動車の購入を考えてみましょう。
25%もの関税が上乗せされれば、たしかに日本車は相当な値上がりとなりますが、米国メーカーはどうするでしょうか。
チャンスとみて、値上げに踏み切るのではないでしょうか。
その利益で収益の回収を狙うでしょう。
もちろん、値上げをせず、高くなった日本車からの乗り換えを期待するかもしれません。
しかし、日本車の良さやサービスに慣れた消費者が果たして米国車に乗り換えるでしょうか。
一部に「日本車は高くなったので、米国車を買おう」と、日本車を諦める消費者は出るでしょうが、結局、日本車に戻ってくると思います。
そのくらい、米国車の品質は低く、高燃費で、サービスは悪いです。
安さで売っている中国のEV車のほうが打撃は大きいでしょうが、それでも中国車も売れるでしょう。
バカ高いテスラなどの米国製EV車より、高関税がかかっても安いからです。
さらに、米国メーカーも大量の部品を輸入しているわけですが、それにも高関税が掛かるので、結局その分、米国車の価格も上がるわけです。
つまり、トランプ大統領の「関税政策」は失敗するということです。
しかし、ことはそう簡単ではないかもしれません。
現在、世界中でトランプ流の独裁思考の指導者が増え、国民の支持も増える傾向にあるからです。
その背景には、グローバリズムとナショナリズムの衝突が激しくなっていることがあります。
「グローバリズム=理想、ナショナリズム=現実」と置き換えてみると、よく分かるでしょう。
今の世界は「理想と現実がぶつかり合い、現実が優勢な」傾向になっているのです。
日本も「グローバリズム=理想」の進展で経済大国になった国です。
ゆえに日本は、ほとんどの輸入品に対し無関税か低関税としています。
しかし、例外があります。
それは、米(コメ)です。
農水省の関税率換算で778%という「えっ」というほどの高関税を掛けています。
ここだけ見れば、米国以上に“とんでもない”国です。
ところが、つい最近、農水省は、この見解を「280%」に修正しました。
これには、別の意味で「えっ」と驚きました。
このからくり、農政に詳しくない私には理解が出来ていません。
本メルマガの読者で、農政に詳しい方のコメントをいただきたいと思っています。
よろしくお願いします。