VAT減税?
2026.03.02
最近、VAT減税という聞きなれない言葉が、聞こえてきます。
VATとは“Value Added Tax”の頭文字を並べた言葉で、日本語で言うと「付加価値税」となります。
そうです。日本の消費税と同じような仕組みのEU加盟国が課している間接税のことです。
東南アジアでも導入している国は多数に及びます。
この税制、米国が「輸出奨励制度」だと批判しているように、輸出企業に大きな還付金が入ることも日本と同じです。
(ちなみに米国で買い物すると掛かるのは「物品税」で、これには還付の仕組みはありません)
経済鈍化に悩むEU各国は、この付加価値税を減税するVAT減税を打ち出しましたが、費用がかさむ割に効果が無いという結論になっているようです。
各国の物価上昇の要因は、供給網の制約や原材料のコストアップであり、小幅な一律減税の効果は無いということです。
いや、無いどころか、財政負担や販売業者のコストが増しただけという惨状のようです。
こうした現状に、一律減税のような薄く広い支援よりも、対象を絞った時限的な支援のほうが財政コストの負担が軽くて効果があると言われ出しています。
結論として、VAT減税はEUで試みられたが、物価対策には効果がなかったということです。
日本は、これから、それと同じような消費税減税を行おうとしているわけです。
しかも深刻なのは、先の総選挙で与野党の大半が消費税減税を掲げたことです。
その結果、「チームみらい」を除く与野党のどれに投票しても、消費税減税を阻止することができないということであり、国民の選択肢を奪ったことになります。
そして、国会はEUで失敗した消費税減税に取り組まなければならないのです。
僅かな救いは、高市政権が、食料品だけ、それも2年間だけの減税とした点です。
これは、片山財務大臣や自民党の小林鷹之政調会長等の財務省出身の幹部が抑え込んだ結果だと推測できます。
一律減税や強制的な価格統制、補助金などで物価上昇を抑えようとする政策は、予算への負担が大きいだけで効果が無いことは、世界各国の先例で実証されています。
さらに、外食産業では、これまで可能だった仕入れ食材の消費税控除ができなくなり、一方で売上には10%の消費税が掛かるという悪夢のようなことが起きる可能性があります。
これをどうやって回避しようというのでしょうか。
高市首相には、「公約違反だ」と言われても、この減税を実質的に無いものにすることを期待します。
ここで、読者の皆様には、誤解をしないようにお願いします。
決して「物価高対策を放棄しろ」と言いたいわけではありません。
EU各国は、VAT減税の失敗の後、厳しい財政姿勢を維持しつつも、社会的に厳しい人々を守ることの優先度で「ターゲットを絞った支援策」にシフトしています。
「誰が厳しい状況なのか」を判定する難しさがありますが、不可能ではありません。
日本でも、資産を持たない若い人、住居を購入しても多額の住宅ローンを抱えている人、シングルマザー、難病を抱えている人などが相対的に苦しいことは分かっています。
こうした人々を対象にした「脆弱性に応じた支援」が望ましいことは、OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development=経済協力開発機構)も、「幅広い一律支援措置ではなく、特定の課題や対象に向けた税的支援にシフトすべき」と勧告しています。
高市首相の胸中はいかに・・

