イラン情勢とトランプ

2026.04.17


米国とイスラエルによるイラン攻撃が1か月を過ぎ、膠着状態に入ったところで、4月7日に突然の2週間の停戦。
ですが、この停戦は予想されていました。
 
それは米国内の事情です。
米国の法律では、大統領は議会の承認なしに戦争を始められますが、その戦争は60日間が限度となっています。
それ以上続けるには議会の承認が必要です。
つまり、トランプ大統領は現在の膠着状態に焦っているわけです。
米国がイランに攻撃開始したのは2月28日なので、4月7日時点では38日間が経過していて残りは22日間(15日現在は14日間)。
60日間の期限は4月29日に迫っています。
多少の延長は出来るかもしれませんが、それにも限度があります。
 
当然、イランはこのことを知っています。
ですから、停戦協議に応じたのは仲介者のパキスタンの顔を立てたことと時間稼ぎに過ぎません。
ゆえに、協議の行方は最初から絶望的でした。
それでも、米国はバンス副大統領が出席するとのことで、世界は一縷の望みを抱きました。
 
仲介者のパキスタンを挟んだ両国の直接協議は11日から始まりましたが、両国の主張の隔たりはまったく埋まらず、バンス副大統領は、たった1日で帰国してしまいました。
この協議に何らかの妥結を期待していた世界は、「はあ~?」と、呆れるしかありません。
仲介役のパキスタンは「諦めていない」と言っていますが、絶望的といってよい展開です。
 
案の定、トランプ大統領はホルムズ海峡を米艦隊が封鎖するという強硬手段に出ました。
時間的制約の少ないイランは、60日間という制約が迫る米国政府の足元を見て、直接協議では強硬な姿勢を崩さなかったと言われています。
そのイランの態度にぶち切れたトランプ大統領は、焦りからイランの原油輸出を止めて、一気にイランの首根っこを締め上げる手段に出たというわけです。
 
トランプ大統領は、「イラン人は動物なので殺しても戦争犯罪にはならない」と、相変わらずの言動ですが、本音は今の状態から抜け出したいのです。
イランは思ったより強かったし、この底なしから抜け出せないと石油価格は高騰し米国民の生活は苦しくなり、中間選挙で敗北することが必至の状況です。
しかし、メンツ丸つぶれの撤退などできるはずはありません。
米国、イランの両国は、本音ではどこかで妥協する道を探っているのですが、互いのメンツが邪魔をし、また互いを信用できないのです。
 
次の節目は、5月の米中首脳会談です。
トランプ大統領は、イランと関係の深い中国の習近平主席に裏から協力してもらいたいと思っているはずです。
今回の米軍によるホルムズ海峡の封鎖は、イランから石油を大量に購入している中国が一番困ります。
つまり、中国への間接的な締め付けに他なりません。
トランプは、この締め付けで中国にイランへの働きかけをさせようとの魂胆です。
さて、習近平主席はどう応じるでしょうか。