住宅価格の高騰

2026.04.01


住宅価格の高騰が止まらなくなっています。
2015年を100とする指標でみると、2025年は134となっています。
10年で34%上がったということです。
平均すると年3.4%ですが、ここ2、3年に限ると、生コンは4割、木材は3割と異常な値上がりを見せています。
政府は慌てて投機目的の不動産取得に制約を加えると言い出していますが、付け焼刃の感は免れません。
また、外国人による不動産買いの影響が価格高騰の主因であるとも思えません。
この10年間の住宅の着工面積は2割程度下がっていますから、住宅産業全体が長期低迷状態に陥っていると解釈すべきです。
これだけ少子化が進めば、これは当然の結果であり、この先はもっと落ちるということです。
 
一方、木材を始めとする建築資材の多くは輸入に頼っていますが、円安で輸入価格は高止まりし、下がる気配はありません。
また、プレカットなどの工場生産が進んだことで、現場での作業量は減りましたが、現場作業の自動化は思うようには進んではいません。
その一方で、働き方改革の影響で現場の作業時間は減り続けています。
つまり、住宅産業の生産性は上がらず、人件費単価は上がる一方なのです。
それは、当然に人件費の高騰となって建設会社の経営を圧迫しています。
 
中国からはロボット同士のボクシングやサッカーなどの刺激的な映像が流れ、
人型ロボットによる自動施工も間近のような印象を世間に与えますが、
当の建設会社や建設現場をよく知る人たちから見たら、ただのデモンストレーションに過ぎないことが分かります。
将来の可能性を感じさせる役には立つでしょうが、その将来がまだ遥か先にあるという現実から目を逸らさせる危険があります。
物騒な話ですが、実際の戦場でロボット兵士が主になって活動しているという衝撃的な映像を見ないうちは、「道は遠い」と思うのです。
 
家を建てる世代は、30代から40代が中心です。
その年代の人口が減り続け、収入は思ったほどには上がらないという現実が重たいです。
物価高だけでなく、この年代は子供の教育費が掛かる年代でもあります。
それなのに、税金と社会保険料の負担が増えていることで、手取りは増えず、賃上げの効果は相殺さてれてしまっています。
こうした現状に、この年代の多くは「家を建てるカネなんて・・」という状態なのです。
確かに国や自治体は住宅の再エネ補助金などの支援を増やしていますが、それは本質的な支援ではなく、住宅取得を促すような効果は上がっていません。
 
こうした中、住宅の所有そのものを諦める傾向が増えています。
特に、独身者や子供のいないカップルで、持ち家やマンション所有への意欲を持たない層が増えているという調査結果もあります。
これは、我慢するというより、人生観やライフスタイルの変化なのです。
高く長いローンで人生を縛られることを嫌い、金銭的にも自由な生活を楽しむという生き方です。
古くからあった「持ち家志向」は、潜在的にはまだありますが、現実には減っています。
つまり、市場の落ち込みを避けることは難しく、どこで平衡状態になるかなのです。
 
こうした国内市場の先細りを受けて、大手ハウスメーカーは海外市場への比重を増やしています。
それでも国内市場が消えるわけではありません。
技術と価格競争力を持つ中小企業にとっては、むしろ好機到来と考えています。
その話は、また。