ホンダは日産ではなくソニーと手を組む道へ

2025.03.03


初代から7代に渡るスカイラインの開発で伝説の技術者となった桜井眞一郎氏は、最後まで「2000ccのエンジン」にこだわり続けた人でした。
高性能車のエンジンが2500~3000ccの時代になっても、桜井氏は頑なに2000ccから離れようとはしませんでした。
桜井氏は、このことを以下のように語っていました。
「車の性能を上げる一番簡単な方法はエンジンを大きくすることです。でも僕は2000ccの大きさの中で究極の車を作りたいのです」
私が7代目までスカイラインGTを乗り続けたのは、その桜井氏の哲学に“技術者の端くれ”として深く共鳴したからでした。
それゆえ、その桜井氏が日産を離れたとき、私もスカイラインから離れたのです。
そのときに感じた私の思いです。
「これで、スカGも“ただのファミリーカー”になってしまうな」
 
ホンダの桜井淑敏(よしとし)さんも、ホンダがF1から撤退したときに、「ホンダでの自分は終わった」と、役員の椅子を捨てて退社を決意したと、自らの口で語ってくれました。
 
そのホンダが日産と経営統合する話が浮上しましたが、すぐに決裂となりました。
当然だと思います。
生産台数が世界3位になること以外、ホンダにとって得なことが無いからです。
ホンダが考えていた合併の目的は、EV(電気自動車)の開発です。
車本体の性能においては、既にホンダは日産から学ぶものはなくなっています。
現在、主流となっているハイブリット技術は、トヨタが技術を開放していますし、ホンダも既に量販車を販売しています。
つまり、日産と組むメリットは無いのです。
 
一方、電気メーカーのソニーは、自社開発のEVで自動車産業に食い込もうとしていました。
しかし、車本体の技術は、ソニーといえども、そう簡単に取得できません。
また、量産体制を整備する工場の建設には莫大な投資が必要です。
ゆえに、手を組む自動車メーカーを探すのは当然の帰結です。
ホンダは日産と組むよりソニーと組むほうが現実のメリット、そして何より将来性が大きいといえるのです。
 
ホンダには、創業者の本田宗一郎が残した「二人三脚より一人で走った方が速い」という「一匹狼」の伝統がありました。
しかし、現在の三部敏宏(みべ としひろ)社長は、EV転換が進む先には「車のスマホ化」が進むとみて、それに対し1社で世界と戦うには限界がある、としています。
2年前には「スピード感を持ってホンダが描く将来性を実現するためには“ちゅうちょ”なくアライアンスを組む」と発言しています。
 
私は、60年近く車を乗り続け、かつ技術者の端くれでした。
経営者となった今も「オレは技術者だ」の意識は強いままです。
その経験から、現在はハイブリット車、次はPHV(プラグインハイブリッド車)が最適な選択だと断言できます。
BEV(バッテリーのみのEV)は、バッテリーが飛躍的に進化し、1回の充電で真冬や寒冷地でも1000km走行できるまでは買う気がおきません。
ということは、たぶん、運転できなくなる日までEVを買うことは無いでしょう。