社会インフラへの投資が経済成長へつながる
2024.09.04
言い方は悪いですが、自民党の総裁選が面白くなってきました。
立候補には国会議員20人の推薦がいるというハードルは高いですが、国会議員は衆参合わせて372名います。
本日現在、12名が名乗り上げていますが、全員が立候補可能といえる数字です。
とはいっても、様々な思惑や暗躍がからみ、5~6名ぐらいに絞られるかなと思っています。
政治面の解説は、来月15日号に書くとして、今号では経済面に絞って解説します。
報道によれば、2025年度に、政府はプライマリーバランスを達成するとのことです。
つまり、税収と国の支出(国債償還は除く)がバランスして、国が赤字を脱却するということです。
これが家計や企業収益であれば「良かった、良かった」となるわけですが、政府の場合は違います。
そもそも、政府の収入と支出の相手とはだれでしょうか。
収入の中には対外資産からの収益がありますが、この相手は海外なので、増加はたしかに「良かった」というべきです。
しかし、それらを除く収入の大半は税の徴収で、相手は国民と企業です。
つまり、個人と企業にしたら、おカネを“取られる”わけです。
そして、その徴収金額が、国が使う予算(国民や企業が得られる金額)を上回ることを意味します。
この意味、お分かりですね。
政府の黒字は、個人や企業の赤字なのです。
実際は、こんな単純な仕組みではありませんが、うんと簡略化すれば、こうなります。
「これが財政健全化であり、これで良いのだ」とする政治勢力が「緊縮財政派」です。
これに対し、「国はインフラ整備などの公共投資で企業の収入を増やし、減税して、家計や企業を黒字にするべき」と主張するのが積極財政派です。
ここまで書くと、私がどちらであるかは分かると思います。
ただし、「いくら国債を発行しても国は潰れない」とするMMT理論派ではありません。
やはり、財政規律は大事です。
「投資対効果」の大きなインフラ整備や企業支援を行い、かつ減税を行うべきと考えます。
特に、社会インフラへの投資は非常に大事ですが、単なるバラマキとなる危険があります。
過去に、公共事業が批判の対象となってきたのは、政治家が自分の利益のために、効果の乏しい事業を強引に持ってきたことが原因です。
ただし、インフラ投資の効果は短期間では測れません。
相当の年月がかかり、その間、政治のリーダーは何代も変わります。
しかし、日本は、長期に渡る費用対効果の検証を怠ってきたため、その判定が難しくなっています。
例えば、新幹線です。
東海道のようにドル箱となっている路線もあれば、永久に赤字だと言われる路線もあります。
しかし、日本の新幹線の評価は世界最高で、マネをした中国や韓国などの追随を許しません。
これからが収益を上げる本番ですが、どうなるでしょうか。
まだ判定は難しいですね。
では、どのくらいの収益を見込んで公共投資を行うべきなのか。
計量経済学者を自任する評論家で大学教授の高橋洋一氏は、この収益率を「4%」と言っています。
この数字、みなさんも少し考えてみませんか。
最後に一言。
12人の自民党総裁候補のうち、「緊縮財政派」は10人で、「積極財政派」は2人ということです。