トランプ2の予測と日本の対応
2025.02.03
予測不可能と言われるトランプ大統領ですが、以下のことが言えるのではないでしょうか。
1.言葉で脅すが、武力戦争はしない
2.関税が最高の武器だと信じている
3.白人至上主義
4.男性絶対主義
ただし、好き嫌い、または、その時次第で上記の原則を外すことは良くあります。
白人ではない安部元首相を気に入っていたことを考えれば納得できると思います。
近年、力を落としているとはいえ、米国は経済も軍事も断トツのトップです。
生粋の米国人は、このトップの座が刺激されると黙ってはいないのです。
日本は、かつて、真珠湾や半導体シェアなどで、トラの尾を踏んでしまいました。
こうした愚を繰り返してはいけないのです。
政治的な話は次号で行うとして、今号は経済的な側面を解説します。
イーロン・マスク氏を政府効率化省(DOGE)のリーダーに任命したことが話題になっていますが、「小さな政府」は共和党の伝統的な方針です。ゆえに、政策としては当然といえます。
実際に歳出削減が出来るかを疑問視する声がありますが、今の米国の絶対的課題であることは確かです。
初日に大量の大統領令に署名したことが一種のパフォーマンスだとする意見が見られますが、それは違います。
彼が署名した多くの大統領令の中身は「パリ協定からの脱退」に代表される温暖化対策費等の大幅削減です。
良し悪しを横に置いて考えれば、温暖化対策は莫大な予算が掛かる割には実質的な効果の見えない政策です。
もちろん、放置すれば長期的に人類がとんでもない事態に追い込まれる可能性はあります。
だが、その予測を明確に説明できる人はいません。
まして、たった4年間では、投資の割には効果が見えないことが確実です。
ゆえに、この予算をカットして、バイデン政権時代に比べて大幅な予算削減を実現し、「なあ、オレがやれば削減できたろ」と胸を張るほうを採るのは当然です。
しかし、当の大統領に、そんな自慢を言える余裕はありません。
上限いっぱいまで膨らんでいる国債発行は、連邦議会の承認がない限り、これ以上は無理です。
連邦予算執行の一時停止は、政府がそれだけ追い込まれている証拠です。
トランプ大統領が、前任者のバイデン氏を「ばか者」と罵倒していることも一理あるのです。
一方、誰もが知るとおり、トランプ大統領は関税絶対論者です。
すでに、メキシコとカナダに対し25%の関税を掛けると宣言し、中国には10%の追加関税を掛けるとしています。
しかし、輸入品の関税負担は輸出国ではなく消費国の国民が負うことになり、収まりかけたインフレを再上昇させます。
トランプ大統領がそのことを知らないわけはありません。
「高関税を掛けるぞ」という脅しで相手を揺さぶり、交渉で優位に立とうという戦略です。
同時に、相手国への脅しだけでなく、米国民の購買心理を動かそうという意図もあります。
「輸入品の価格が上がれば、消費者は関税がかからない国産品を買うはずだ」という単純思考です。
しかし、その思惑が効くのは、質の劣る国産品でも消費者が「安ければいいか」と我慢できる範囲にある場合だけです。
良い例が車です。
米国に住む複数の知り合いに聞くと、「米国製の車? 半額になっても買わないよ」と言います。
第一次世界大戦以降、自由貿易の進展で最大の利益を得たのは米国です。
当然、米国は関税ゼロの自由貿易を世界に要求してきました。
それが、今では「関税ゼロだと米国製品は売れずに、外国製ばかりが入って来る」となってしまったわけです。
ゆえに、トランプ大統領は、米国製品の質を上げることは諦め、脅し戦術に出たわけです。
最初にげんこつを見せて「はーっ」と息を吹きかけて相手を脅すチンピラ戦術ですが、実際のチンピラは、めったに暴力は振るわないものです。
さて、トランプ氏は・・どうでしょうか。
この先を注意深く見ていきます。