2022年3月15日号(国際、政治)

2022.04.01


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2022年3月15日号
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発行日:2022年3月14日(月)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2022年3月15日号の目次
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★ウクライナ情勢の分析
◇抑止力という名の軍事力(23)
★開戦直前の日本政治(6)
★隣国の悪意の発端は日本人が作った(4)
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
武力の「武」は、「戈(ほこ=いくさ)」を止めるという意味から生まれた漢字です。
つまり、抑止力こそが武力というわけです。
今号は、ウクライナの情勢分析から入ります。
 
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┃★ウクライナ情勢の分析                      ┃
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プーチンの心理や思考は独裁者そのものです。
KGB出身という経歴の影響もあるでしょうが、もともと持っている深層意識のどす黒さを感じます。
その黒い意識がウクライナ侵攻を引き起こし、そしてロシア軍の苦戦を招いているといえます。
 
独裁者は、自分に都合の良い情報しか聞こうとしない性格の持ち主です。
その結果、部下は「不都合な」情報を報告しないようになります。
これが独裁国家の最大の弱点です。
 
プーチンは、中国との密約で、北京での冬期五輪とパラ五輪の間の10日間余りで決着をつけるとしてこの侵攻を始めました。
その決着の決め手はウクライナのゼレンスキー大統領の暗殺です。
(これは彼の常套手段で、これまで多くの政敵や反対者を葬ってきました)
その目的で、侵攻前にウクライナ兵に偽装した特殊部隊(100~200名)を送り込んでいました。
しかし、この策はいとも簡単に見破られ、部隊は全滅(死亡および拘束)したということです。
失敗の理由は単純です。
この情報は米英には筒抜けで、ウクライナにも伝えられていました。
そして、秘密裏に米英の特殊部隊がゼレンスキー大統領の身辺護衛としてキエフに送り込まれ、今も大統領の周りを固めているということです。
 
こうした可能性はロシア側も考えていたでしょうが、「不都合」な情報であり、確たる証拠も掴めていなかったため、プーチンの耳には入っていなかったようです。
 
これまで、侵攻したロシア軍はウクライナ軍の待ち伏せに会い、多大な損害が出ています。
米国は、ロシア軍の動きを軍事衛星や通信傍受で把握し、逐一ウクライナ側に伝えています。
ロシアとの全面衝突を避けている西側諸国は、直接の軍事支援は行わないものの、かなりの数の兵器や物資の供給を続けています。
さらに、ウクライナ軍への戦術指導や訓練、戦場での後方支援などの要員をウクライナに送り込んでいるとの情報もあります。
真偽のほどは不明ですが、ロシア軍の苦戦情報から考えると可能性は高いと思います。
 
また、各国から義勇兵が送り込まれ、その数が2000人に達しているとの報道が出ています。
個々の義勇兵に実戦能力があり、高性能の武器と優れた指揮官がいれば一定の戦力になるかと思いますが、1万人規模でなければ、戦局に一定の影響を与える存在にはならないでしょう。
 
こうなると、ウクライナの軍民一体の抗戦の継続とロシアの息切れとの時間競争になります。
祖国防衛戦であるウクライナ兵の士気が高いのは当然です。
対する侵略者であるロシア兵の士気は、相当に低いでしょう。
プーチンにとっては、国際社会の反発は折込済みで始めた侵攻でしょうが、彼には「不都合」な情報が入らないため、ロシア軍の実力を見誤っていたようです。
核大国であることから、これまでロシア軍は過大評価されてきたように思います。
チェチェン紛争やアフガン侵攻の実態から分かるように、ロシアの通常兵力による作戦能力はかなり低いのではないでしょうか。
ウクライナの持ちこたえる力と国際社会の支援が継続すれば、プーチンの思惑は水疱に帰すと、半ば願いながら分析しています。
 
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┃◇抑止力という名の軍事力(23)                 ┃
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ロシアによるウクライナ侵攻は、日本に「現実問題」を突き付けているといえます。
「憲法9条で国が守れるのか」という命題が論争になっていますが、意味のない論争です。
共産党の志位和夫委員長がいみじくも言ったとおり、憲法9条は「日本が他国を攻めない」ための鎖(くさり)です。
かつて、「駐留米軍はビンのフタ」と発言した米軍司令官がいました。
まさに、駐留する米軍は日本に対する抑止力であるという米国の本音を吐露したわけです。
憲法9条は、この主旨にそって米国が制定したもので、日本が侵略戦争を起こさないようにするための鎖なのです。
 
つまり、他国からの侵略に対しては、憲法9条はまったく意味をなさないのです。
防衛戦すら「ダメ」と言っているのですから、全面的に米国に頼るしか道はないのです。
日本が真の法治国家を目指すのであれば、この問題をうやむやにせず、国会で議論を尽くし、現在そして今後の世界情勢を考えた上での法整備を整えるべきです。
 
憲法は、罰則規定のない「理念法」です。
国家理念は大事ですが、理念だけで国家は運営できません。
理念の対象は未来ですが、運営の対象は現実です。
その意味からすれば、現行憲法のままでも、現実への対処として軍隊を持つことは可能です。
しかし、未来には非武装とする必要があります。
それが可能な世界が来ることを願いますが、そこへの道はまったく見えません。
 
憲法改正への賛否の前に、法治国家として日本がどうあるべきか、現在と未来をどう生きていくのか、そして世界にどう貢献すべきか。
こうした議論を行う国会であって欲しいと強く願います。
今年の参院選をその一歩にできればと思い、一票を投じたいと思います。
 
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┃★開戦直前の日本政治(6)                    ┃
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戦前の日本政府は無能だったと言われていますが、近衛内閣も東條内閣も政治戦略機構の改革には熱心でした。
しかし、最大の障害であった憲法改正に手を付けることができずに開戦、そして敗戦の道をたどりました。
 
近衛内閣は1937年、日露戦争後初めての『大本営』を設置しました。
しかし文民であった首相は入れませんでした。
しかも、大本営での会議の大部分は単なる報告で終わったとされています。
結局、日常業務は陸海軍それぞれの役所で行われ、大本営は形骸化しました。
当時、海軍No.2の次官であった山本五十六が期待した『陸海軍共同作戦の最高指導部』も実現することはなく、彼が夢見た政治戦略と軍事戦略の統合はなされませんでした。
山本は、この後、連合艦隊の司令長官に就任しましたが、この人事は降格です。
海軍No.1の海軍大臣であった米内光政は、自分の後の大臣は山本だと考えていました。
しかし、山本の統合案が成らなかったことで海軍内部の反山本派が勢いづき、彼の暗殺計画まであったと言われています。
それを危惧した米内が連合艦隊という「現場」の指揮官に山本を移動させたのです。
山本を現場に置くことで、彼の身柄を保護したというわけです。
しかし、建設会社でいえば副社長から工事本部長へという人事ですから、降格といえるでしょう。
 
その後、1940年の第2次近衛内閣の発足とともに、休眠状態の大本営政府連絡会議が「連絡懇談会」として復活しました。
近衛の後に組閣した東条英機は、首相と陸軍大臣を兼任し、この連絡会議を退陣まで約120回も行いました。
この会議では、世界情勢の分析を始め、東南アジア諸地域の独立支援、船舶の徴用等の兵站整備、造船計画など、多岐に渡る政治・軍事戦略を討議しました。
東條は「権力集中」との批判を覚悟で参謀総長まで兼務しましたが、三役兼務は彼の手に余り、効果を上げることはありませんでした。
東條の能力の無さというより、一番根本の問題を議論することが不可能だったからです。
 
戦前の日本は、憲法により、軍事を動かす「統帥権」は天皇のものとされ、政治権力から分離されていました。
このため、首相といえども軍部への指揮権がなく、内閣の一員である陸軍大臣も参謀本部の作戦計画にはタッチできないというシステムでした。
近衛内閣は、日中戦争を回避するため、政・軍の戦略統合を核とする内閣制度改革を検討していました。
しかし、この改革は天皇の統帥権を犯すものだとして、強硬派はマスコミを使い世論を動かし、憲法改正の議論を封じ込めました。
こうして、日本は否応なしに戦争の泥沼へと引きずり込まれていったのです。
 
現代の日本でも、国会で憲法改正の議論を行うことさえ反対する意見がありますが、戦前と裏返しの硬直化した姿勢です。
日本の法治国家への道は、まだまだ遠いです。
 
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┃★隣国の悪意の発端は日本人が作った(4)             ┃
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日本ではまったく報道されませんでしたが、昨年末、中国でちょっとした事件があり、その内容が中国全土に拡散したというのです。
 
中国では、日本は「南京大虐殺」で30万人の中国人を虐殺したとする教育を広めていますが、「この数字には裏付けできる証拠がない」ということを、ある女性教諭が授業中に述べたのです。
彼女の発言は「私たちは永遠に恨み続けるべきではなく、むしろ戦争がどのように起きるのかを反省することが最も大切だ」と指摘し、主観に基づく短絡的な判断ではなく、証拠を厳密に追う科学的態度の必要性を説いたのであり、至極もっともな発言です。
しかし、当然のごとく、彼女を密告する学生が現れ、彼女は学校を解雇されました。
ネットでも彼女への批判が殺到しました。
と、ここまでは「いつもの中国」の風景ですが、驚くことに、この解雇に異論を唱える別の女性教師が現れたのです。
二番目の女性は、南京大虐殺への異論ではなく、単にこの解雇に疑問を述べただけでしたが、当局によって精神病院に強制収容させられたのです。
しかし、その収容を「行き過ぎ」とする世論の高まりが起こり、釈放されたというのです。
もちろん、彼女は現在も厳しい監視下に置かれています。
さらに、彼女の母親が、「入院は強制ではなく、娘を心配した家族が決めたことだ」と釈明したのです。
 
と、ここまで聞いて、多くのひとは、「張高麗・元副首相から性暴力を受けた」と告発した女子テニスの彭帥選手をめぐる話を思い出したのではないでしょうか。
 
この二人の先生は、南京大虐殺を否定したわけではなく、政府を批判したわけでもありません。
しかし、この異常ともいえる過剰反応が何を物語っているかです。
習近平体制が年月を重ねるに従い、異常な国家になっているという現実です。
すでに、多くの学校で学生の密告により職を追われる教員が増え、子が親を密告するという独裁国家特有の密告現象が増えてきているのです。
 
これに対し、現体制に反対する勢力からの反撃も出てきています。
つまり、中国共産党全体が必ずしも習近平の完全支配となっていないことを意味しているのです。
習主席の「毛沢東回帰路線」に対して公然と反旗を翻す勢力が“それなり”の力を盛り返していると見ることができます。
 
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<編集後記>
政治指導者の評価は難しく、単純に断定はできません。
自分勝手な人は論外としても、清廉潔白な人でも無能では困るのです。
 
外交の舞台は狸と狐の化かし合いの世界です。
500年前、イタリア・フィレンツェ共和国の外交官であったニッコロ・マキャヴェッリは、著書「君主論」で国家君主の資質を以下のように述べています。
「君主たるもの善人でなければならぬ。(中略)いや、実際に善人であることは有害なので、善人であると思わせておくことが有益なのである」
さて、岸田首相はどうでしょうか。
今後の彼の言動を注意深く観察することにしましょう。
 
 
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