2025年5月15日号(国際、政治)

2025.05.19


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2025年5月15日号
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発行日:2025年5月15日(木)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2025年5月15日号の目次
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◇トランプ劇場の幕引きはまだまだ先です
◇核の傘は、もはや「破れ傘」か?
◇選挙の季節
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
猛威をふるっているトランプ台風ですが、この先の進路が予測できない難しさがあります。
今は、彼の言動に一喜一憂しないことが賢明でしょう。
とすると、何をするにも腰が重く定まらない石破氏は、今は最適な首相かもしれませんね。
「時代が人を選ぶ」という言葉を痛感します。
石破首相は短命で終わりそうですが、次のリーダーも時代が選ぶのでしょうか。
 
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┃◇トランプ劇場の幕引きはまだまだ先です          ┃
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前月号で「トランプ大統領の狙いは中国だ」と書きました。
両国の高関税合戦を見ると、その狙いは明らかです。
ところが、ここにきて、一気に115%下げるという、呆気に取られるような展開です。
この結果、中国の対米関税は30%、米国の対中関税は10%となります。
 
この合意前の145%対125%という高関税は事実上の禁輸であり、まったく意味のない数字です。
さすがに「意味が無さすぎる」と思ったのか、トランプ大統領は、その後「80%ぐらいが妥当」と、これまた意味不明な発言をしました。
が、最終結果は30%対10%となりました。
このようにドタバタ劇に見えるトランプ劇場ですが、当然、裏があります。
この裏の狙いを少し考えてみます。
 
外国から製品や部品を輸入する米国企業の在庫は3カ月分ぐらいです。
そこに、中国製品には145%という高関税(事実上の禁輸)が発表されたわけです。
その後すぐに出した90日間という猶予期間は、この在庫期間を考えてのことです。
しかし、パニックになった消費者の駆け込み消費が急増し、企業の駆け込み輸入も急増しました。
この後、米国で何が起こるかは明白です。
 
米国企業は、在庫がなくなっても145%関税では輸入ができません。
そうなると、消費は大きく後退し、企業収益は大幅に悪化します。
そうした事態が現実になる前に、悪化状況の先取りが発生し、株価の大幅下落だけでなく、国債市場の下落とドル安というトリプル安が起き、市場金利は4.1%から4.4%に急騰しました。
トランプ大統領は、高関税で得られる税金を使って所得税の大幅減税を行い、支持率の爆上げを狙っていました。
しかし、その減税の原資が金利上昇で吹っ飛んでしまう事態となり慌てました。
それで、早く手を打つ必要に迫られたわけです。
 
では、この結果は中国の勝利と言えるのでしょうか。
もちろん、そう簡単なことではありません。
ここで我々が見逃してはならないことがあります。
トランプ大統領のやり方があまりにも強引で世界から批判を受けていますが、一番悪いのは中国です。
我々は、そこを見過ごしてはなりません。
 
2001年、WTO(世界貿易機構)のルールを守ることを約束して加入させてもらった中国ですが、加盟が認められたら、後は好き勝手にルールを破り、自分の利益だけを享受しています。
もちろん西側陣営は何度も「ルールを守れ」と中国に抗議してきましたが、「馬の耳に念仏」状態。
それどころか、イタリアなどに甘い餌を撒き西側陣営の結束を乱し、BRICS諸国や新興国には甘い餌をばら撒き、「中国は頼りになる」とシンパにして、自分だけ大きな経済発展を遂げました。
 
野球に例えてみると分かりやすいでしょう。
野球のルールでは、進塁する方向は1塁から2塁へと反時計廻りです。
また、守りは全部で9人など、当然のルールのもとでゲームは進行します。
ところが、Chaniaチームだけは、反対廻りしたり塁を勝手にとばして本塁に戻ってきたり、果ては、いつの間にか10人で守ったりと、好き勝手し放題です。
他チームが抗議しても、知らん顔でルール破りを止めようとしません。
そこに、強面のドナルドさんが米国チームの新監督になりました。
「よ~し、オレがChaniaチームを懲らしめてやる」と、かなり自分勝手なルールを持ち出してきたのが現在の状況なのです。
 
そうした状況の中、今回の米中協議で注目したことがあります。
中国代表の何立峰(か・りつほう=ホー・リーフォン)副首相の記者会見での発言です。
「貿易問題を協議する新たな枠組みを設置する。米中の貿易関係の本質は共に勝つこと」
つまり、中国はルール無視を続けることが難しくなったので、今後はルールを守る気持ちがあるということなのです。
このことは、トランプ政権の成果といえるでしょう。
 
ところで、メディアはあまり取り上げませんが、トランプ大統領の発言で気になったことがあります。
香港の民主活動家の「黎・智英(れい・ちえい=ライ・ジーイン)氏」のことを、これからの「交渉の一環として議題に載せる」と発言したのです。
黎氏の名前に聞き覚えの無い方でも「香港メディア『リンゴ日報』の創業者で、2020年に香港国家安全維持法で逮捕・収監されている方」と聞けば、「あ~あの人」となるのではないでしょうか。
トランプ大統領は、昨年の大統領選挙中、「自分が再選されたら、黎氏を釈放させる」と発言していました。
もちろん、中国が一番嫌がることなので、持ち出したとたん、交渉は打ち切りとなる可能性があります。
しかし、安全保障と人権問題は、米国民にとっては日本では考えられないほど大きな関心事です。
中国に対するトランプ大統領の“バカみたい”な高関税は、中国を交渉の場に引きずり出すディール(取引)材料だったわけです。
さて、この行方は・・
 
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┃◇核の傘は、もはや「破れ傘」か?             ┃
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2021年1月22日に発効した核兵器禁止条約は、2024年9月で94カ国が参加・署名・批准しています。
ですが、唯一の被爆国である日本は不参加のままで、オブザーバー参加も見送っています。
2024年に日本被団協がノーベル平和賞を受賞した際に、被爆者を中心に広島市長や長崎市長などが政府に「参加すべき」と要請しました。
しかし、政府は参加に踏み切りませんでした。
 
「参加すべき派」の人たちは、同じ敗戦国のドイツがオブザーバー参加していることから「日本も参加すべき・・」と主張しています。
しかし、同じ第二次大戦の敗戦国ですが、日本とドイツは戦後の事情が異なります。
ドイツはNATO(北大西洋条約機構)という軍事同盟の一員としての「核の傘」の下にあります。
それ故、NATOの核保有国である米英仏の3カ国が一致して不快感を示さない限り、条約参加を非難されることは無いでしょう。
しかし、日本はアメリカ1国の「核の傘」の下にあります。
禁止条約に加わることで、米国から見放されるということを政府は恐れています。
さらに、ドイツに対する核脅威はロシア一国だけですが、日本に対する核脅威は、中露、そして北朝鮮の3カ国です。
それも、海を隔てていますが、直に国境を接している脅威です。
危険度が格段に違うという状態にあります。
米国の「核の傘」という核抑止力が無ければ、この脅威に立ち向かえないという政府の認識は揺るがないわけで、国民の多くも同じ認識にあるでしょう。
 
しかし、その米国にトランプという「何を考えているか分からない」大統領が返り咲いたことで、この「核の傘」が破れ傘になったのではないかという危惧が生じました。
こうした事態に「日本も核武装すべき」とする意見が増えてきていますが、同時に、そうした風潮を危ぶむ意見も強くなっています。
また、中国による台湾進攻が現実になった場合、日本はその事態を座視できず、何らかの対抗処置を取ることになるでしょう。
ということは、中国から核攻撃される可能性があるということになります。
 
私は、そうした事態になった場合でも、日本は通常兵器で中国に対抗すべきと考えています。
かつ、その事態が起きることを前提にして、技術力、先端軍事力を磨き続け、友好国への武器輸出も行うべきと考えます。
これは、武器開発費の削減だけでなく、潜在的な同盟国を増やすことにつながります。
その延長線上に、国際社会に対し「いつか核兵器を持つかも」と思わせておくことが日本の核抑止力ではないかと考えるのです。
こうした状態を作った上で、核兵器禁止条約にオブザーバー参加するのです。
かつ、破れ傘になったとしても、米国との軍事同盟は必須というアピールも必要です。
こうした「いったい、日本は何を考えているんだ」と思わせる“したたかな”外交的防衛力こそが日本の採るべき防衛戦略だと思いますが、読者のみなさまは、どう思われますか。
 
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┃◇選挙の季節                       ┃
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今夏には参議院選挙が行われますが、東京では、その前に都議会議員選挙が行われます。
弊社の本社がある浅草は、まもなく「三社祭」という地区最大のお祭り一色となります。
選挙も一種の祭り(?)ですから、「今年は、祭りの3連荘だね」などと話しています。
 
日本の現状は、そんな“のんき”なことを言っていられる状況ではないのですが、参院選は石破内閣が倒れることに繋がる選挙になるかもしれません。
自公与党が敗北することになれば、早期の衆院解散が現実となる公算が強くなり、政権が持たないことは確実です。
その前哨戦としての都議会議員選挙にも関心が集まるのは当然です。
選挙戦の様子などを、本メルマガでお知らせしたいと考えています。
 
今の自民党は芯から腐ってしまっています。
そこを狙って、ハイエナのように新党が生まれています。
どこからカネが出るのかは分かりませんが、こうした新党が候補者を出し乱立状態になりそうな気配もします。
しかし、共倒れ続出で、結局与党候補が生き残ってしまう可能性も大きいとみています。
つまり、「腐っても鯛」という結果になるということです。
「それじゃー、つまんねえだろう」と言われれば、たしかにそうですが、そのくらい先が読めないということです。
 
一時期、「103万円の壁問題」の提起などで話題の中心になった国民民主党も、最近は話題になることも少なくなり、埋没している感があります。
玉木党首の個人問題の件以来、榛葉幹事長との距離感も微妙となり、勢いが失速しています。
もともと存在感が薄くなる一方の立憲民主党は、ますます薄くなり、分裂することが時間の問題のように思えます。
終始一貫、姿勢が変わらないのが日本共産党ですが、同党のじり貧傾向が止まることはなく、団塊の世代がいなくなる頃に消えていくのではないでしょうか。
 
日本において、こうした政治の不毛状態をもたらしている最大の責任者は、自民党でもなく野党でもなく、まして石破首相でもなく、有権者たる我々国民です。
とりわけ若い人たちの無関心、無気力は深刻です。
こんなことを言うと、「うるさい年寄りだ」と言われるでしょうし、「そもそも、あんたら団塊の世代が、こんな日本にしたんじゃないか」と批判されるのは当然です。
でも、そんなことを言っても若い方たちの未来は開けません。
一つぐらいは年寄りの言うことを聞いて、選挙に足を運びませんか。
万が一ですが、投票率が70%、80%になったら、日本は劇的に変わること、確実です。
 
ということで、私も、これからの選挙に一票を投ずるだけでなく、「選挙に行こう」運動をやっていこうと思っています。
読者のみなさん、「選挙に行きましょう」
 
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<編集後記>
また、悲劇的なストーカー殺人が起きてしまいました。
26年前の桶川事件後も、ストーカー事件は、後を絶たないような状況です。
「なんで警察は動かない・・」の声がありますが、警察は我々庶民の感覚とは別の論理で動いています。
昔、水商売をしていた時、無銭飲食の男を警察に突き出したことがありましたが、私のほうが「書類送検」されてしまいました。
彼が自分の財布を持っていたことで、「払う意思はあったのに、私が暴力的に警察に突き出した」という理由でした。
警察のこの体質は、変わっていないようです。
 
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