2023年4月15日号(国際、政治)

2023.04.17


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2023年4月15日号
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発行日:2023年4月15日(土)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2023年4月15日号の目次
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★盛り上がらない統一地方選挙
◇ウクライナ侵攻が示唆する近代の戦争(後半)
◇日本にとって欧州は遠い地です
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
宮古島における自衛隊のヘリ事故は、南西諸島という防衛最前線で起きたことで、ことは重大です。
師団長を始めとする10名の安否は絶望的です。
事故機は2機のエンジンを持つ安全性の高いヘリということですが、100%の安全はありません。
安全確保に限度が無いことを痛感させられます。
それと同時に、防衛任務が危険と隣合わせであることを突き付けられた思いです。
 
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┃★盛り上がらない統一地方選挙                   ┃
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4月の前半戦が終了した統一地方選ですが、まったく盛り上がりに欠けたまま、後半戦に入ります。
前半戦は、下ネタ盛り上がりの神奈川知事選を除くと、マスコミ報道も低調です。
唯一、維新の会の躍進が話題となりましたが、それも関西圏にとどまりローカル感からの脱却は道遠しです。
関西圏での勢いを全国に広げる戦略を聞きたいものですが、大阪方式は、特に首都圏では受け入れられないでしょう。
推測ですが、同党は明確な戦略を描けるまでには至っていないと思われます。
東京での選挙は後半戦ですから、その結果を見たいと思います。
 
ところで、私の住居がある八王子市の市議会選挙は後半戦の23日ですが、普段住んでいないこともあり、情報ゼロの有様です。
土日も仕事に費やしている身ゆえ、棄権するかどうか迷っています。
このようなメルマガ配信を続けながら棄権するのは「大いなる矛盾」といえますが、往復2時間半を掛ける価値を、この選挙に見い出すことに苦労しています。
当日まで迷いは続きそうです。
 
私は、普段住んでいる墨田区から会社がある台東区へ、隅田川を渡り浅草を抜け徒歩で通勤していますが、両区には選挙権がありません。
20分の通勤ですが、道すがら、両区の候補者や支援者からビラを渡されます。
告示前なので、大半はビラを配るだけなのですが、共産党だけはスピーカーでがなっています。
話す内容によっては違法となるようですが、実態はあいまいなようです。
 
告示の16日からは、俄然“うるさく”なるでしょうが、区民の様子は冷め切っているように感じられます。
浅草周辺の住民は、それより3年ぶりとなる三社祭のほうに関心が向いているようです。
 
国政選挙を含めて、今の選挙の仕組みを根底から作り直す必要を感じます。
しかし、そのための法律改正を行うのは、現在の議員たちです。
自分の議員の座を危うくする改正を真剣に行う議員がどれほどいるのかを考えると絶望的です。
しかも、その上に各党の党利党略が絡んでくるのです。
例えば、国民が選んでもいない“とんでもない”人や、小選挙区で落選したはずの人が議員になってしまうということで批判の多い比例選挙ですが、廃止となったら共産党や少数党は猛反対するでしょう。
その意味からは、「改革は地方から」は、正しいといえますが、その地方選挙がこのように低調なのですから、突破口は見当たりませんね。
 
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┃◇ウクライナ侵攻が示唆する近代の戦争(後半)           ┃
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ウクライナでは、現在、東部ドネツク州のバフムトが一番の激戦地となっています。
多大な損害を顧みず執拗な攻勢を続けるロシア軍は、防衛側のウクライナ軍の4~5倍の戦力で徐々に市の中心部に迫っています。
しかし、ウクライナの作戦は、反転攻勢までの時間稼ぎとロシア軍の戦力を削ぐことにあります。
その反転攻勢がどこから始まるかについては、様々な情報が錯綜しています。
引き続き情報の分析を続けていきたいと思います。
 
今回のウクライナ侵攻が示したのは、昔ながらの陸軍歩兵と大砲、戦闘車両が中心の泥臭い戦争です。
ミサイルやドローンといったハイテク兵器も使われていますが、戦局を見る限り、脇役です。
しかし、台湾侵攻があるとした場合、ウクライナとはまったく違う戦争になります。
台湾は島国です。
当然、中国による侵攻は海からとなりますが、上陸の前にミサイルと航空機による徹底した空爆が行われるでしょう。
とすると、太平洋戦争における米軍による日本攻撃と酷似したものとなる可能性が高いです。
当時、太平洋の島々を占拠していた日本軍を米軍は大量の物量で圧倒し、日本本土に迫りました。
しかし、本土決戦の前に沖縄と硫黄島が陥落したところで終戦となりました。
 
中国による台湾侵攻は、この過去が参考になると思いますが、大きく異なる点があります。
その第一は、台湾の地理的条件と人口です。
台湾の面積は36.000平方kmで、島部を除いた九州の面積とほぼ同じです。
沖縄本島の面積の30倍となるので、戦闘の規模もそれなりの大きさとなります。
当時の米軍といえども、九州全域に対する攻撃は困難との判断が働いたと思われます。
 
また、台湾の人口は2353万人で、九州の2倍です。
昭和19年当時の沖縄と比較すると、実に40倍です(昭和20年の国勢調査記録はありません)。
ウクライナのように国民総動員で戦うとなると、上陸してくる中国軍の規模を上回ることになります。
昭和20年当時、国力、軍事力とも日本を圧倒していた米国ですが、沖縄と硫黄島の戦闘での兵員損失の大きさから、九州に上陸しての戦いは天文学的な損害が予想され、不可能と判断したのです。
昭和20年当時と違うとはいえ、現在の中国が九州と同等の面積、そして人口が2倍の台湾を容易く攻略することは、どう考えても無理と思えます。
 
次に、中国と台湾の軍事力の差を見てみます。
戦力比でみると、陸軍10倍、海軍3倍、空軍4倍と、中国が圧倒しています。
しかし、台湾にとって最大の強みは、幅130~180kmにおよぶ台湾海峡の存在です。
しかも、台湾の中国側の海岸は崖が多く、上陸に適した地点は僅かしかありません。
大軍で一気に上陸とはいきません。
となると、反対の太平洋側の海岸からの上陸となりますが、背後に位置する日本の南西諸島が邪魔となります。
中国海軍の上陸用艦艇は370隻と言われていますが、東側に回り込んでの上陸作戦に使用できる艦艇は20%程度(50~70隻)と思われます。
日本は現在、南西諸島へのミサイル配備やステレス戦闘機F35を積む事実上の軽空母の配備を進めています。
中国の上陸艦艇は、その背後を日本に取られる形となるため、その防御に戦力を割く必要があります。
ならばと、南西諸島を攻撃すれば、日本および米軍との全面戦争となる危険が増します。
中国は、台湾侵攻の演習やシミュレーションを繰り返していますが、成功の確率は限りなく低いと出ているはずです。
日本の防衛能力の向上は、台湾有事を防ぐ意味も大きいということです。
 
結論として中国は、軍事攻勢を脅しに使いながら、政治的な攻勢を今以上に活発化させるでしょう。
実際、台湾の親中派を抱き込みながら、現政権に対する圧迫を強化しています。
さらに、日本の親中派勢力を抱き込む戦略も露骨になってきています。
先日の林外相の中国訪問などは、その前哨戦です。
ネットでは「Youは何しに中国へ」などと揶揄されていますが、不法な人質を取り返すことも出来ず、接待漬けにされただけでした。
日本が親中に近づくほどに台湾侵攻が現実味を帯びてくる構図です。
こうしたことを岸田首相はどの程度認識しているのでしょうか。
そこが気がかりです。
 
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┃◇日本にとって欧州は遠い地です                  ┃
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中国を訪問したフランスのマクロン大統領の言動が物議を呼んでいます。
習近平主席の異例とも言える歓待ぶりから、中国にとっては期待以上の結果だったのは明らかです。
なぜマクロン大統領は、ここまで踏み込んだ姿勢を見せたのでしょうか。
 
一つは、中国に対するフランス商品のセールスです。
年金改革の強行採決などで国内の大きな反発に直面している大統領としては、経済へのテコ入れで失地回復を狙っていました。
今回の訪問で、中国はエアバス社から旅客機を160機も購入することを明らかにしました。
さらに、30の経済協力の協定も締結しました。
フランス経済への貢献は35億ユーロ(約5110億円)と言われていますから、まずは成功と言ってもよいでしょう。
 
二つ目は、国際政治の舞台で埋没しかけているフランスの存在感の誇示です。
「台湾問題で欧州は米中どちらの側にも付くべきではない」の発言は、その典型です。
これは、中立を意識したものではなく、明らかに米国を意識しての発言です。
また、「欧州のリーダーはフランスだ」とする自意識も強く感じます。
ウクライナ侵攻後、プーチンとの19回に及ぶ電話会談を行なったのも、その現れです。
さらに、モスクワを訪問してプーチンとの差しの会談に及ぶという執拗さを見せています。
この会談は、実に5時間に及んだと言われていますが、ほぼプーチンの独演を聞き続けた会談だったようです。
呆れるほどですが、この驚異的な忍耐力には感心するしかありません。
 
今回も、ウクライナ問題で中国を説き伏せ、ロシアに対する働き掛けを狙ったのでしょうが、これには失敗したようです。
しかし、めげた様子は微塵もありません。
習近平主席による二夜連続の晩餐会という異例の厚遇でフランスの存在感を示せたと、本人は満足しているのかもしれません。
 
こうした派手な外交の裏で、フランスは4月4日に「次期軍事計画法(防衛力整備計画)」を閣議決定しています。
なんと、国防費を現行より約1200億ユーロ(約17兆5200億円)も増額しているのです。
しかも、インド太平洋における中国の戦略に対する備えも盛り込まれています。
大統領の中国寄り発言の裏で、政府としては中国を安全保障上の脅威と捉えているわけです。
相当に“したたかな”大統領というべきかもしれません。
 
しかし、こうした努力にも関わらず、国民からの支持率は30%にも届かないままです。
それでも「再選など考えていない」と強気な姿勢を崩そうともしません。
正直、「大したものだ!」と言わざるを得ません。
来月のG7サミットでは、どんなパフォーマンスを見せてくれるのでしょうか。
 
と、ここで20数年前の弊社の体験を思い出しました。
 
当時、日本と海外の建設会社にJVを組ませ、WTO案件を受注・施工するというビジネスを手掛けていました。
主に米国や韓国の建設会社と組んでいましたが、欧州の会社との提携も考えました。
日本ではあまり知られていませんが、フランスは世界一のゼネコンがある建設大国です。
そして、その営業の矛先は自国より海外です。
我々はフランス大使館に提携を持ちかけ、何度か協議を行いました。
その結果、フランス大手の建設会社を紹介してくれ、その会社と交渉する場を設けてくれました。
しかし、交渉相手の言葉に日本との距離を思い知らされました。
彼らが考えているアジア進出は香港までだったのです。
その先の日本は遠すぎる国なのです。
「極東」という言葉の深い意味を、そのとき知りました。
この言葉は、欧州から見た日本だったのです。
 
あの時から年月は経っていますが、今のマクロン大統領も、中国は見ていても日本は見ていない感じがします。
広島サミットでの彼の振る舞いに注目したいと思います。
 
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<編集後記>
中国の軍事力増強が驚異と捉えられていますが、最新兵器の性能には疑問があります。
例えば、最新鋭戦闘機と言われているJ20ですが、ロシアからの輸入に頼ってきたエンジンの弱点は克服できていないようです。
前部に付いているカナードと呼ばれる小さな翼も大きな疑問です。
ステルス性を考えれば明らかにマイナス要素だからです。
それが分かっていながら、この翼を付けたのは、運動性能の不足を補うためと考えられます。
 
それでも、技術改良は続けていくでしょうから、脅威は増す一方です。
経済利権に目がくらみ、独裁国家とも平和的な付き合いが出来ると思うのは危険です。
 
 
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