2020年12月15日号(国際、政治)

2020.12.31


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2020年12月15日号
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発行日:2020年12月15日(火)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2020年12月15日号の目次
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◇抑止力という名の軍事力(8)
◇バイデン政権で米国はどう変わる
◇韓国にはもう疲れた!
◇中国の思考法を学び、対処する(6)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
追い込まれた形でのGOTOトラベルの全国一斉停止。
政府は「勝負の3週間」との言葉で国民が活動を自粛することを期待したわけですが、その一方でGOTOキャンペーンを推進する矛盾。
それは分かっていた上で、“いいとこ取り”を期待したわけですが、所詮、無理な政策でした。
もはや、ロックダウンでもしない限り、感染拡大を止めることは不可能と思われます。
こうなったら、政府は医療機関への支援に集中して、1月か2月といわれるピークを乗り切ることに全力を上げることです。
その間、苦境に追い込まれる企業への支援を含めて100兆円規模の補正予算を緊急に通すことです。
菅首相は、二階幹事長のあやつり人形かもしれませんが、ここは、「どうせ、オレは短期の“つなぎ”役なんだ」と腹をくくって欲しいですね。
 
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┃◇抑止力という名の軍事力(8)                  ┃
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防衛省が長射程のミサイル開発を明言したことで「専守防衛を逸脱する」との批判が起きています。
今回は、開発の是非ではなく、改めて戦争の抑止について考えてみました。
 
「戦争をできるようにするか、できないようにするか」は、永遠に平行線となる考えです。
「憲法を守れ」と主張する人々は、「戦争をできないようにしておけば戦争は起きない」と考えているわけです。
それに対し、「憲法改正」を主張する人々は、「戦争をできるようにしておけば戦争をせずにすむ」と考えているわけです。
どちらも「戦争を避ける」ことを目的とした考えなのですが、軍備については真反対の主張です。
そこで、この2つの主張の源流を、2500年前の古代中国の思想体系に求めてみました。
 
「軍備を持たない」思想の源流は老師などが唱えた道教にあります。
道教の代表的な論客である莊子の言葉に「機械あれば機事あり、機事あれば機心を生ず」という言葉があります。
現代語に直すと「機械を使っているうちに人間は機械に依存し、やがて機械が好む考え方をするようになる」となります。
これを軍事に当てはめてみると、「軍備を持つと、その軍備に依存し、やがて使いたくなり戦争になる」となります。
「なるほど」と思える思想ですね。
 
一方の「軍備を持つ」思想は、人間社会が複雑になるに従い、自然発生的に生まれた考えです。
この考えを整理し思想体系化したのが孫子です。
簡単に言うと、「相手が攻めてこないだろう、と考えるのではなく、攻めてこられないように準備をしておこう」という思想です。
同系統の思想である韓非子は、「人の愛(好意)をもって我が為にするを恃(たの)むものは危うし」と言い切り、「相手の好意を当てにするのは愚かだ」と主張しています。
こちらも「なるほど」と思える思想です。
 
本稿の「抑止力」というテーマで考えれば、国家は後者を取るべしとなりますが、「そう単純に解釈するものではない」と、一方で孫子は教えています。
具体的にはどういうことなのでしょうか。
例として、近年、尖閣諸島への侵入を加速させている中国の戦略を分析してみましょう。
 
まず、中国海警局の船が何のために尖閣海域に来るのかを考える必要があります。
「尖閣の奪取を狙っている」とする論評が多いのですが、違う見方もあります。
「本当の狙いは台湾侵攻で、その侵攻の背後を確保するため」という意見もあり、「中国の国内向けのプロパガンダだ」という意見や、逆に「本当の狙いは沖縄だ」という極端な意見もあります。
私は、こうした意見はどれもあまり意味が無いと思っています。
なぜなら、当の中国が正解など持っていないと思うからです。
 
報道や解説記事を読む限りの情報しかなく断定は出来ませんが、海上保安庁の巡視船の報告から垣間見えてくるものがあります。
それは、中国海警船の動きに「尖閣を奪取するぞ」という本気度が見えないことです。
数や装備で圧倒する中国側が、それを前面に押し出してくる様子が乏しいのです。
また、海上保安庁の巡視船側にも、中国側の雰囲気を察してか、「中国は本気だ」とする最高度の危機感が感じられないのです。
つまりお互い本気ではなく、「やっているよ」というアピールが主になっているように思うのです。
もちろん、巡視船がサボっているとか緊張感に欠けているなどと言っているわけではありません。
最高度の緊張感を持続して対処している姿には頭が下がります。
ですが、一触即発の事態とは思えないのです。
マスコミや一部の評論家は、尖閣海域への侵入回数などで危機感を煽りますが、その裏にある両国の意図を明快に解析する記事にはめったにお目にかかりません。
 
最も必要な抑止力とは「情報を集め、解析する力」です。
そして、その情報を駆使する外交力です。
孫子が教えている抑止力の考えも、そこに主眼があります。
ただし、武力衝突が明日起きる可能性は常にあります。
その事態に備える軍事力を持たない外交力は無力といえます。
同盟国も、戦う意思も軍備もない国を助けようとはしないでしょう。
 
巡視船の増強や装備の近代化、後方で備える自衛隊の増強などの備えで、中国に「攻めるのは難しいな」と思わせることが最大の抑止力です。
長射程のミサイル開発という「一石」が中国の姿勢にどう影響するか、賛否の前に、池に広がる波紋がどう広がるかを見ていくことが大事です。
 
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┃◇バイデン政権で米国はどう変わる                 ┃
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未だにトランプ大統領が敗北宣言をしない異常事態が続いていますが、14日の選挙人選挙でバイデン新政権への流れは確定しました。
では、今後の米国政治は、どう変わるのでしょうか。
米国では、これまでオバマ、トランプと、キャラが際立つ政治が12年続きました。
結果として、世界は振れ幅の大きい米国政治に翻弄されてきた感があります。
それが一転、まるでキャラが見えない大統領に変わるわけです。
バイデン次期大統領は、43年と長い政治キャリア以外に目立つ業績がありません。
「そういえば、オバマ時代の副大統領なんだ」しか思い浮かぶ印象がありません。
 
息子が中国とのビジネスに関与しているとか、過去のセクハラ疑惑などが報道に載りますが、ほぼ事実とみて良いでしょう。
しかし、決定的な証拠がない中では、それは「井戸端会議の話題」に過ぎません。
日本は、そうした色を付けずに、これからの政策で判断していく姿勢が賢明です。
 
すでに、主要閣僚の名前が発表されていますが、バイデン氏の政治姿勢が垣間見える人事です。
私が注目したのは次の3点です。
1.派手な経歴より実務能力に定評ある人材の登用
2.人種や性別のバランスを重視した人事
3.民主党左派を排除した人事
 
感想を一言で言えば「手堅さ」でしょうか。
マスコミは、サンダース氏やウォーレン氏といった若者に人気の左派政治家を登用しなかったことで民主党内に争いが起きると喧伝していますが、私はそうは思いません。
名前が上がった両氏は、政治家であって実務家ではありません。
 
彼らを労働長官や財務長官に登用すべしという論調もありましたが、そうなったら素人並の相当に過激な社会主義政策を採ることが確実です。
バイデン陣営は、そのことを危惧して、彼らの登用を見送ったのだと推測します。
 
こうした人事政策を見た上で、中国の習近平主席がバイデン氏に祝辞を送ったことは、かなり意味深です。
表の外交では、強気一辺倒の中国ですが、裏では案外手堅い戦略で動いています。
そうしたことが垣間見える今回の祝辞です。
 
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┃◇韓国にはもう疲れた!                      ┃
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毎日のように、韓国マスコミは反日や「日本に勝った」という記事を報道します。
こうした記事を読んでの正直な感想は「うんざり!」です。
反対に、この記事を読んだ韓国民は「ざまあみろ、ニッポン」と溜飲を下げるのでしょうか。
 
日本国民の多くは、韓国との付き合いは「もういいよ」という気分ではないでしょうか。
そして、この要因はみなが分かっています。
それは、過去の日本による朝鮮併合のトラウマと、韓国政権による執拗な反日政策です。
そして、その根底に横たわるのが「中国が一番、韓国がニ番」という「小中華思想」の国民性であることは、いろいろな方が指摘しています。
 
歴史研究というものは、感情やイデオロギーを排し、かつ善悪基準抜きに、歴史上の客観的事実を多く積み上げ、真実を追求する学問です。
しかし、韓国においてはそうではありません。
国民感情に根ざした「期待する歴史」を先に作り上げ、その説明に都合の良い事実だけを断片的に探し、不都合な事実は葬り去り、国民感情に迎合する歴史を作り上げることが歴史研究なのです。
政治や外交は、そうして作り上げられた歴史認識を土台にします。
これでは、日韓でいくら話し合いや共同研究を行い、日本が謝罪や賠償を行っても、底のない桶に水を汲むようなものです。
 
韓国の歴史学者は、こうした韓国民の感情から自由になれないため、ウソであっても「事実だ」と言うしかありません。
ごく一部に、事実を発表する学者がいますが、彼らは政府だけでなく国民の多くからもひどい迫害を受け、身の危険すらあります。
大学を首になったり、暴力を振るわれたり、裁判に引っ張り出され有罪判決を受けるという、日本では考えられない仕打ちを受けます。
韓国では「日本が武力で竹島を取り返しに来る」とウソの動画まで配信して国民感情を煽り、「だから空母が必要」と虚構の上に虚構を塗り固めています。
こうした韓国に付き合うことに、日本人は疲れ果てた感があります。
 
私自身、20代の頃から仕事で韓国と付き合ってきましたが、ビジネスの場でも最後はこうした韓国人特有の思考が出てきます。
そして、最後に「約束を平気で破る」のですが、日本人に対してはそうしても良いという感情が彼らには働くようです。
しかし、こちらが徹底的な高飛車に転じると、言い訳にならない言い訳やウソを並べ立て、自分たちの損失を防ごうとするのです。
次期駐日大使に内定した姜昌一(カン・チャンイル)氏は、過去の反日発言のことを問われて、「自分は態度を変えたのではなく、日本の偽ニュースに釈明したもの」と、呆れた発言をしました。
 
私もお人好しなので、三度騙されたあげく、最終的に、とても付き合える相手ではないと絶望し、永遠に半島との付き合いを切る決断をしました。
日本政府としては、そうもいかないでしょうが、冷静かつ冷徹な距離感を保つことを望みます。
すでに、1965年、2015年の決定的な合意を破られたのですから、三度目は無しです。
 
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┃◇中国の思考法を学び、対処する(6)               ┃
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11月24日、来日した中国の王毅・国務委員兼外相は、尖閣諸島海域に日本漁船が侵入し、中国は主権を守るため、その排除を行っていると、居丈高に発言しました。
この発言を、記者会見の場で行なったことで、今回の王毅外相の来日の目的が分かりました。
中国は、孫子の兵法を駆使した外交を仕掛ける相手です。
今回の記者会見での発言も、その分析で捉えるべきです。
 
まず、「正体不明の漁船が敏感な海域に侵入・・」と言いましたが、「正体不明の漁船」とはいったい何でしょうか。
中国情報に精通している人によると、「右翼勢力が乗り込んでいる漁船」という意味だそうです。
日本では、「中国海警局の船が日本の漁船を追い回している」と報道されましたが、そうではなく日本側の挑発に「やむを得ず」対処しているというわけです。
右翼の乗船が事実かは確認が取れていませんが、報道関係者が乗り込んでいる例はあるといいます。
中国側にはその区別はつかず、過剰反応しているともいえます。
 
どうやら、2012年の日中の秘密交渉で、「尖閣の領有権問題」が政治・外交問題に発展しないよう、事実上「棚上げ」する“黙約” があったのは事実のようです。
それ以降、中国公船の海域侵入は減ったのですが、今年に入り急激に増加しています。
中国側の言い分としては、「漁船に報道関係者だけでなく政治活動家までが乗船して挑発している。その排除だ」ということです。
さらに、「日本は、中国公船の追尾を大きく報道させることで『中国は横暴だ』というイメージを拡散させ、習近平主席の訪日反対の世論を盛り上げようとしている」とみています。
唐突な王毅外相の来日と記者会見での発言は、国際社会を意識したプロパガンダとみれば納得がいきます。
それは「中国は、“やむを得ず”追尾・・」という「やむを得ず」を強調した言い方で分かります。
米中対立の中で、現在の正常化しつつある日中関係を損ないたくないという本音がよく分かります。
 
茂木外相が即座に抗議しなかったことが責められていますが、たいした問題ではありません。
中国が米国大統領選後の空白を狙っていることは明白ですが、焦りも感じます。
茂木外相には、その焦りを逆手にとって切り返す手腕を期待します。
その手腕を見るまでは、茂木外相への評価はお預けです。
 
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<編集後記>
皇嗣となられた秋篠宮ですが、宮家のごたごたは、将来の天皇制の存続にも影響する大きな問題です。
たしかに憲法では「結婚は両性の合意で・・」となっていますが、そう簡単なことではありません。
現在、日本国民の多くは天皇の存在を「日本の誇り」と感じています。
その天皇家は、やがて秋篠宮家に移ります。
外戚とはいえ、その秋篠宮家の親族に「あの男がなるのは・・」という国民の反発感情が大きくなっているわけです。
こうした中で結婚を強行すれば、国民の間に「天皇制不要論」が出てくる危険を感じます。
眞子さまは、かつて「天皇をお助けすることが皇族の務め」と発言されたことがありますが、現在の状況は天皇および次期天皇の深い心労となっています。
この結婚を断念することが皇族としての務めだということを理解すべきです。
 
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