2025年1月15日号(国際、政治)

2025.01.17


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2025年1月15日号
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発行日:2025年1月16日(木)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2025年1月15日号の目次
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◇トランプ氏の頭の中とウクライナ戦争の行方(続編)
★最悪の状態になりつつある日本の政治
◇放射能汚染の島
 
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
1月20日、トランプ氏が米国の次期大統領に返り咲きます。
その日が待てないのか、はたまた舞い上がっているのか、本人の暴言が止まりません。
「カナダは米国の51番目の州になれ」だの、デンマークには「グリーンランドを寄こせ」だの、「パナマ運河を米国のものにする」だのと、呆れる発言のオンパレードです。
今号は、その話題から。
 
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┃◇トランプ氏の頭の中とウクライナ戦争の行方(続編)      ┃
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こんなトランプ氏に怯えたのか、石破首相はソフトバンクグループの孫正義会長に「対処方法を教えて・・」と、料亭に招く有様。
この首相、早々に降ろさないと、日本はトランプ氏の“良いカモ”にされてしまいそうです。
 
ですが、トランプ氏のこうした勢いが続くかは疑問です。
彼は関税を“打ち出の小槌”と本気で思っているので、乱発する可能性があります。
しかし、高関税を広範囲に掛け続ければ、沈静化しつつある米国のインフレを再加速させることになります。
それでも、こうした強硬策を続ければ、庶民の暮らしは苦しくなり、2年後の中間選挙で共和党は敗北を喫し、彼の立場は弱まるでしょう。
 
もう一つ、ウクライナ戦争の終結という重要な課題があります。
私は、2025年内にウクライナ戦争は終わらないと見ています(残念な予測ですが・・)。
トランプ氏の最近の発言も一気に後退しています。
「24時間で終わらせる」と豪語していたのが、「半年で・・」と、完全に自信を失ったような発言に変わっています。
(ウクライナ戦争の予測は、後段で述べます)。
 
もっとも、トランプ氏自身は、こうした自身の発言の後退を「どこが悪い!」と言うでしょうね。
トランプ氏は自著でこんなことを言っています。
「私は自分が頑固で、扱いにくく、タフであることを誇りにしている。成功する者にはこうした資質が重要である。しかし、ときに、全体目標を見失わずに、少々リラックスすることも必要だ。焦点を絞っていることと、硬直的で柔軟性のないことを混同してはいけない。タフな戦いに勝利したいなら、絶えず変化する状況に適応しなければならない」
 
この言葉がトランプ氏の本質を示しています。
「前言を翻すことの、どこが悪い!」なのです。
冷静に見れば、柔軟な考え方ができる人物ともいえます。
彼が今の姿勢を変えるとしたら、それは大きな壁にぶつかったときです。
その壁とは議会です。
先に言及した2年後の中間選挙が大きなカギとなります。
たしかに、上下院とも共和党が過半数を制していますが、民主党との差は僅かです。
トランプ氏の過激な考え(特に経済政策)に同調しない共和党議員もかなりの数います。
トランプ氏が打ち出す政策に対し造反議員が数人出て民主党と同調するだけで、議会で否決されます。
大統領令で議会の反対を強引に破るという手はありますが、内容は限定されるし、そう乱発も出来ません。
下手すれば、大統領弾劾という恐れもあるからです。
それを防止するためか、トランプ氏は副大統領候補にJ・D・ヴァンス上院議員という、過激な発言で知られる人物を指名しました。
「オレを弾劾すると、もっと過激なヤツが大統領になるぞ」という脅しともとれる人選です。
 
ただ、正式に大統領に就任した後も同じかと言えば、そうではないと思います。
「今のうちに好き勝手なことを言っておこう」という牽制球と受け止めるべきかもしれません。
 
次にウクライナ戦争の行方ですが、早期に終わる見込みはほぼなくなったといえます。
もちろん、私が戦争継続を望んでいるわけではないのですが、以下の理由で一時停戦すら難しいと思うのです。
一つは、ウクライナ軍の意外なほどの巧みさとロシア軍の息切れ傾向です。
ここにきて、ウクライナのドローン技術とミサイル技術の高さが際立ってきました。
ウクライナの技術吸収力と応用力の高さが欧米の想像以上だと言ったほうが良いかもしれません。
その能力が早期にドローンを高性能化し、自前の増産力も想定以上の早さで実現しています。
それに対して、ロシア軍の技術力の低さ、戦略・戦術面の拙さが表れ出しています。
もちろん戦局全体としては、ドンパス地方での占領地拡大などにみられるように、まだロシア軍の数が圧倒していますが、ウクライナ軍が犠牲を伴う抗戦をせず、ロシア軍の戦線が伸びきるように後退していると、私は考えます。
前線のロシア軍に勝利感はなく、犠牲者の増加が徐々に兵員の士気を下げ出しています。
しかし、プーチンは増大する犠牲を補うための総動員令を掛けることは出来ず、北朝鮮兵を投入していますが、彼らは悲惨な状態にあります。
近代戦を戦う経験も能力もない北朝鮮兵は、戦場での捨て駒に過ぎず、犠牲が増え続けています。
やがて全滅するか逃亡するかでしょう。
 
しかし、プーチンは野望を諦めていないし、ウクライナにも勝ち切る力はありません。
ゆえに、早期に戦局が大きく動く事態は考えづらいところです。
となると、トランプ氏が正式に大統領となってから、どんな手を打つかに注目が集まりますが、先に述べたように、知らん顔になる可能性も濃厚です。
しかし「一寸先は闇だな」がこの戦争の本質です。
次回までに政局、戦局が動けば、それについての解説を行っていきます。
 
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┃★最悪の状態になりつつある日本の政治           ┃
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石破首相が「大連立」なるものを口にしました。
立憲民主党の野田代表は増税論者ですから、石破首相とは相性が良いはずです。
となると、この話のバックは財務省で「この策で増税路線への道が敷ける」と目論んでいるはずです。
そして、もうひとつのバックが労働組合「連合」です。
吉野会長は、春闘で目論む賃上げが実現できるなら消費税増税も「悪くない」とみています。
「連合」は大企業労組と公務員労組の連合体ですから、消費税増税で輸出還付金が増え、賃上げ原資ができることで賃上げし易くなるという図式を描いています。
しかし、その恩恵の外にいる中小企業や小店舗・フリーランス、およびその家族にとっては最悪なシナリオです。
 
こうした大連立や「連合」の思惑を潰せるのは、一般国民の声だけです。
そうした声が大きく広く広がっていき、夏の参院選や都議選をはじめとする各地方選挙、あるかもしれない衆院の解散総選挙などの結果に出てくれば、日本の政治も変わるかもしれません。
そのカギはSNSなどの草の根の情報にあるといえます。
マイナス面も大きなSNSの世界ですが、大企業がスポンサーである既存マスコミにはない大衆を動かす力があります。
ですが、上記のシナリオの実現性は、まだまだ低いとしか言いようがありません。
 
それよりも、直近の心配は外交にあります。
石破内閣の親中姿勢は徐々に国民にも分かってきたようですが、前のめりが加速しています。
岩谷外相が早速に訪中し、王毅外相と親しげに会談する姿に「やれやれ」と呆れましたが、帰国早々、中国人富裕層に対する10年ビザの発給問題が浮上してきました。
さらに、自民、公明両党と中国共産党による「日中与党交流協議会」が中国で開かれることが固まったことなど、どんどんと中国ペースになってきています。
 
日本の領海内に設置したブイも撤去を約束はしたが現在でも実行されていない上に、福島原発処理水を「原発汚染水」呼ばわりして禁止した日本産の海産物の輸入も未だにそのままです。
政府は、早々に水産物の輸入を協議すると言っていますが、及び腰が見え見えです。
中国に対し「まずは、さっさとブイを撤去しろ。さもなくば、日本で撤去する」というくらいの姿勢が必要なのです。
さらに、中国海警が尖閣諸島周辺の海域に侵入を繰り返し、近場で漁をする沖縄の漁船を威嚇している現状も続いていますが、こちらの話題は、マスコミもほとんど報道しません。
 
岩谷外相に対して米国は、中国が後ろで糸を引いている「IR疑惑」を指摘しているくらい警戒しています。
しかし、石破首相には外務大臣を更迭する考えはまったく無いようです。
こうしたことも含めて、石破首相の本音は米国に行きたくないのです。
わざわざ料亭にソフトバンクグループの孫正義会長を招いて、対トランプ対策を聞くほど怯えているのです。
しかし、大風呂敷を広げる天才の孫会長の言葉に惑わされただけの結果だろうと推測されます。
日本国首相として、ただ一言「情けない」というしかありません。
 
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┃◇放射能汚染の島                     ┃
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福島第一原発の話題は、ときに忘れられ勝ちになり、ときに浮上します。
そもそも『いつのことなのか』を覚えている方はどのくらいいるでしょうか。
2011年3月11日ですから、まもなく14年前になるわけです。
私は事故の翌日から弊社のホームページに、原発とこの事故に関するページを開設し、事故の分析と今後の予測の書き込みを続けました。
かつて同原発内で放射能汚染の調査をし、自身も被曝した経験から書けることもあると考えたのです。
そのとき、弊社ホームページの閲覧数がいきなり3桁も上昇したのにはびっくりしました。
多くの人がそのくらい怯えていたということですね。
質問もたくさん来て、その中には「東京に住んでいますが、すぐに九州あたりに避難したほうが良いでしょうか」などという切実(?)な問いもありました。
私は「東京は、まったく心配ないです」と返答を書きましたが、ネットには「東京も危ない」などという無責任な投稿も多かったです。
こうした風評被害が怖いなと思います。
 
さて、「表題と違うぞ」とお叱りを受けそうなので、本題に入ります。
この「放射能汚染の島」とは、マーシャル諸島のビキニ環礁のことです。
そう聞けば、「あ~」と思われる読者の方も多いと思います。
1954年、米国が行った世界初の水爆実験の実験場になった島(環礁)です。
この時の水爆は広島型原爆の1000倍の威力だったと言われていますが、広範囲の海域に死の灰をまき散らし、その灰を被った日本漁船の第五福竜丸のことで、日本中が大騒ぎとなりました。
この死の灰とは「放射性物質」のことですが、同船の乗組員の証言では「灰は、雪のように船に降り積もった」とあります。
驚くほど冷静な証言から、乗組員たちは「この灰が何か」分からなかったと思われます。
当時、周辺海域で被爆した船舶は延べ一千隻に及んだと言われています。
しかし、第五福竜丸以外が話題になることはなく、被害実態も分かっていません。
 
年月を経た現代では忘れられた島となっていましたが、昨年12月に米国のアーティストであるカーク・ヘイズ氏がSNSで公開した現地の様子が話題を呼んでいます。
ビキニ環礁は、現在でも放射線レベルが高すぎて、ヘイズ氏も「滞在は3時間しか許されなかった」と書いています。
彼の言葉です。
「島を訪れて厳粛な気持ちになった。ビキニ環礁は信じられないほど美しい場所でありながら、環境にとってはとても有害で、子どもを含むあまりに多くの人が放射能中毒や先天性欠損症に苦しんだ場所でもある」。
 
ビキニ環礁は世界遺産に登録されていますが、人間の立ち入りは厳しく制限されています。
原住民の一部の帰還が許されましたが、帰還した住民のセシウム137の体内量が11倍に増加していることが発覚し、さらに流産や新生児の遺伝的異常も見つかり問題になっています。
映像も見ましたが、このまま何の説明も加えずに「世界遺産の景色」として見せたなら、「行ってみたい」と思うこと必然の美しさです。
私は、かつて爆発前の福島原発で、格納容器の蓋を開けた中を覗き込んだことがありますが、そのとき、透明のごとく澄み切った水の中に整然と並ぶ何本もの燃料棒は青白い光に包まれていました。
文字通り「息をのむほど美しい」光に意識も体も吸い込まれていきそうになりました。
しかし、あれは「死の美しさ」です。
ビキニ環礁の映像は、同じ思いを抱くほどの美しさです。
 
ただ、ビキニ環礁の映像には、島に生い茂る植生や木が大量に映り、海の中は海藻がびっしりでした。
帰還した島民に被曝の影響は出ていますが、全員というわけではありません。
この違いの原因はどこにあるのでしょうか。
科学的および医学的解明が進むことが望まれます。
我々が、放射線を正しく理解し、正しく恐れるためにです。
 
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<編集後記>
中国が沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡で「海上封鎖演習」を行ったようです。
台湾を狙う意図をどんどん露骨にしてきていますが、日本政府の腰はまったく定まっていません。
石破内閣は「自衛力を強化することで中国を刺激しないほうが良い」との方針ですが、真逆の結果となっています。
つまり、「腰抜け日本は何もできないさ」として、侵攻を本格化させる危険が高まっています。
この問題、次回、もう少し掘り下げて解説します。
 
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