2024年11月30日号(経済、経営)
2024.12.03
HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2024年11月30日号
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発行日:2024年11月30日(土)
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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2024年11月30日号の目次
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◇トランプ再登場は、リスクかチャンスか
☆水商売からビジネスを学ぶ(その4)
◇2024年からの展望(5):責任あるAIってなんぞや?
<HAL通信アーカイブス>http://magazine.halsystem.co.jp
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こんにちは、安中眞介です。
今号は、経済、経営の話題をお送りします。
世界中でEV(電動自動車)が失速しています。
本メルマガの読者のみなさまは、私がEV嫌いであると認識されていると思います。
しかし、「嫌い」ではなく「まだまだの商品なんだよ」が真意です。
今はハイブリッド車が最適解であり、揺るがなかったトヨタの経営力は“さすが”です。
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┃◇トランプ再登場は、リスクかチャンスか ┃
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トランプ氏は、来年1月20日に米国大統領に返り咲きます。
過去に返り咲いた大統領は、第22代・24代のグローバー・クリーブランド(民主党)だけです。
それは1892年のことだったので、トランプ氏は実に133年ぶりの2人目ということになります。
日本では明治24年なので、「そんな前なの!」ですね。
まずは「よくぞ再挑戦したもんだ」と、トランプ氏の意欲(執念かな・・)に単純に感心します。
そういえば、トランプ氏と盟友ともいえる関係だった安部元首相も再選を果たした首相でした。
うがった見方ですが、二人の会話の中には、再選への戦略に関する話題もあったのかもしれません。
良くも悪くも、この二人は“馬が合った”間柄のように見えます(深いレベルの話は断片的にしか入ってきませんから、断定はできませんが・・)
そう考えると、トランプ氏は返り咲いた後の政策に関する話題を生前の安部元首相と話していた可能性があります。
つまり、一期目とはかなり違う政策になる可能性が大きいと考えます。
今号は経済・経営が主題なので、経済に絞って話を進めます。
トランプ氏は、輸入品に対する大幅な関税引き上げを明言していますが、個別の相手国との取引材料にするつもりなので、どう仕掛けるかは未知数と考えたほうが良いでしょう。
もし、本当に全面的な大幅な引き上げを実行したら、米国は大変なインフレに見舞われ、トランプを支持した層の国民の生活は大打撃を受けます。
交渉相手国に対し「やるぞ、やるぞ」と脅しを掛け、有利な条件を引き出すディール(取引)材料にするトランプ流の常套手段です。
当然、相手国も承知ですから簡単な結果にはならないでしょう。
また、そのディール(取引)の結果によっては、議会と衝突して政権の不安定材料となります。
議会の上下院とも共和党が過半を占めているので「政権は安定する」との見方がありますが、経済政策に関しては共和党の議員グループは、それぞれの業界の代弁者です。
当然、個々の政策に対し反対に回る勢力もそれなりに出てきて、大統領との対立が増えていくものと思われます。
就任1年目は、そうした情勢への対処があり、またウクライナや中東問題などの政治的対処もあり、それほど急進的な策をいきなり実行はできないでしょう。
さらに、4年目になると次はありませんから、求心力は失われていきます。
となると、経済政策のカギは2年目と3年目の僅か2年間限定となります。
日本は慌てて対処するのではなく、政策が出される前の情報を収集し、様々な対抗策を練っておくことが肝要です。
その政策の中心になるのが首相ですが、石破首相にそうしたリーダーシップを期待するのは無理というしかありません。
要するに、彼が日本にとっての最大のリスクなわけで、早期の退陣が日本経済のためということになります。
その後は、急激に変化していく内外の情勢をチャンスに変えることができる首相の誕生を望みます。
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┃☆水商売からビジネスを学ぶ(その4) ┃
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資金がない中でホステスの募集はできないので、女性接待の水商売としては絶望的な状況でした。
そこで考えた案は、付き合っていたガールフレンドに、「友達を誘ってアルバイトしてくれないか」というものだった。
母は心配したが、「この案しかない」と腹をくくり、彼女に頼み込んだ。
彼女は、意外とあっさりと「いいわよ!」と返事して、友人を誘って店に来てくれた。
こうなると問題は給料である。
当然ながら、女子大生の普通のアルバイトよりは高い日給を提示したので、二人は二つ返事でOKだった。
しかし、お店の資金は、その日給を出す資金すら怪しい状況で、店が順調に回転し、利益から給料を払えるまでの間の資金が必要だった。
その資金は、私が行っていた別のバイトで得るお金を当てようと考えたのである。
その頃、私は深夜から明け方まで、新車を運ぶ陸送のバイトをしていた。
普通の運送業ではなく、自動車メーカーの工場から横浜の埠頭まで輸出用の新車を運ぶバイトである。
当時も、5台くらいをいっぺんに運ぶ大型輸送車はあったが、急激なモータリゼーションの高まりと空前の輸出量増大に対処できず、自動車メーカーの輸送を担う子会社は、1台ずつ人間が運転して運ぶ「単騎」と呼ばれる方法を併用していた。
当然、大量の運転バイトが必要で、かなりの高給で募集していた。
私は、そうした会社の下請けの運送会社に登録して、深夜に輸出用の新車を運んでいたのである。
(この話は、そう単純な話ではないので、後日、改めて書こうと思います)
この陸送の賃金は定額ではないが、頑張れば、当時の新入社員の3~4倍は稼げた。
つまり、当時の私は高額所得者(?)だったわけであり、女子大生2人のバイト代くらい負担できたのである。
一方の2人にしてみれば、他のバイトより高い賃金がもらえる。
つまり、「三方良し」の仕組みだったのである。
資金確保に窮していたから、こうした非常識な策が実行できたといえるので、まさに「ピンチこそチャンス」なのである。
もちろん、営業努力も必死に行った。
チラシを作り母たちと駅前で配ったり、近所のお店に貼らせてもらったりもした。
そうした努力もあり、また女子大生2人の素人っぽさも受けて、来客は増えていった。
一番の問題は、素人バーテン(つまり私)のカクテル作りの腕前にあった。
辞めたバーテンの残した手書きの冊子と購入した「カクテルの作り方」の本だけが頼りの情けない状況で、毎晩が綱渡りであった。
実は、自分の作ったカクテルを飲むお客の顔をまともに見られないほどの心理状態に陥っていた。
そんなある夜、近所のショットバーのバーテンが飲みに来た。
彼は、私の作ったカクテルを飲んだ後、顔をしかめ、「不味くはないが、美味くもない」と、私だけに聞こえる小声で言った。
私は「すみません。作り直します」と頭を下げたところ、彼は意外なことを言った。
「あんちゃん、明日、店を開ける前にウチに来ないか」
意味が理解できず、ボーとした顔の私に「じゃあな」と、彼は一杯分の代金をカウンターに置いて店を出て行った。
「はて?」と少し前のNHK朝ドラの主人公のような思いの私だったが、翌日の夕方、大学の授業を終えて店に来た私は、仕事をする前に近所のそのショットバーのドアをおそるおそる開けた。
さて、どんな展開が待っているのか、それは次号で。
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┃◇2024年からの展望(5):責任あるAIってなんぞや? ┃
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文部科学省は、AIが人々の生活にもっと使われて便利になるよう、理化学研究所のセンターなどでAIの基本(きほん)となる数学やアルゴリズムの研究を進めています。
AIのような大きなテーマの研究は国家主導で進めるべきですが、国はカネを出すだけで口は出さない。さらに、その成果のすべては民間に開放するという姿勢が必要です。
それだけ腰の据わった、そして「見返りは国の経済の発展のみ」という政治を貫けるかが肝心です。
かつてあった「2番じゃダメなんですか?」の姿勢ではダメなんです。
さて、時間を40年と少々遡ります。
当時、コンピュータメーカーでSEだった私は、「第5世代コンピュータ開発」という国家プロジェクトの要員として、東京都三鷹市にあった電通研に送り込まれました。
当時の国産コンピュータメーカーから多くのハードおよびソフト技術者が集められた一大国家プロジェクトでした。
当時は、パソコンなどが誕生する前の世界で、「汎用型」と呼ばれる大型コンピュータの時代でした。
従って、ハードもソフトも大手企業しか参入できず、ベンチャーと呼べる企業は皆無でした。
ゆえに、集められた技術者のすべてが大手企業の社員でした。
しかし、当時の米国には、すでに幾つものITベンチャーが誕生していて、その中からビル・ゲイツやスティーブン・ジョブスたちが生まれていきました。
私は、機会に恵まれ米国で仕事をすることがあったので、そうした米国の新進気鋭(野望を抱いていた)天才といえる若手技術者と交流することもできました。
そうした経験も、第5世代開発のメンバーに呼ばれた要因かもしれません。
国家肝いりのこの斬新なプロジェクトは、10年ぐらいの年月を掛けましたが、何も作り出せず、自然消滅のような形で消えてしまいました。
私は数年で会社に戻され、新規開発の防衛システムの担当となったため、その後のことは分かりません。
ですが、このプロジェクトが壮大な無駄使いだったとは考えていません。
このプロジェクトの目的は、「人間の思考を模倣し、知識や経験に基づいて推論や判断を行う人工知能(つまりAI)を搭載するコンピュータの実現」でした。
具体的には、
(1)自然言語処理、(2)知識ベースのシステム、(3)並列処理
これらの技術を組み合わせた高度な情報処理能力によって人間との対話や人間の意思決定を支援するコンピュータ・システムの構築です。
ほぼ、現代のAI開発の目的と同じです。
しかし、技術的な課題は大きく、予算や人員の不足などで目標達成できず、何も生み出せませんでした。
それでも、このプロジェクトは後の多くのコンピュータ・システムの開発に大きな影響を与えたことは事実です。
私自身、その後の防衛システムの開発に際し、このプロジェクトで得た技術やノウハウを大いに利用しました。
また、当時の大手コンピュータメーカー各社の精鋭が集まったプロジェクトでしたから、日々のやり取りだけでもお互いに相当の知識やノウハウが得られたはずです。
その意味で、このプロジェクトの意義はあったといえます。
ただ、当時の先輩はもちろん、同年代の者も大半は退職していて、後輩たちへの伝承も怪しい状況です。
そのせいか、現代の大半の企業は「AIが人工知能」と呼ばれることの意味を理解していないように感じます。
もちろん、マスコミも同じです。
これまでのシステムはEvent-driven(イベントドリブン)という「操作する手順に従ってデータを処理する」タイプのシステムです。
その反対が、Data driven(データドリブン)という「収集したデータを解析して意思決定やプロセス(手順)の改善に利用する」というシステムです。
読者の皆様は、AIが後者の部類に入ることが分かると思います。
しかし、疑似的なシステムはありますが、真のData drivenといえるシステムは、オープンAIのようなものを除くと皆無といって良いでしょう。
そのオープンAIにしても、試作品の域を出ていないといえます。
ならば、この世界には大きな可能性があるということです。
次号に続けます。
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<編集後記>
弊社の主力事業は基幹業務パッケージソフトの開発・販売ですが、まだまだEvent-driven型の範疇です。
しかし、これらのソフトを使って得られるデータの分析から意思決定やプロセス(手順)の改善に利用するシステムの開発を行っています。
商品の市場投入はまだ先になりますが、世界が新たな地平線を越える2026年には1号商品を世に出す計画です。
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