2019年10月15日号(国際、政治)

2019.10.21


HAL通信★[建設マネジメント情報マガジン]2019年10月15日号
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発行日:2019年10月15日(火)
 
いつもHAL通信をご愛読いただきましてありがとうございます。
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           2019年10月15日号の目次
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★韓国はいつもの道をたどる?
★トランプはもうダメ?
★民主主義で軍事力は不要になる?(1)
★第一列島線の攻防(2)
 
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こんにちは、安中眞介です。
今号は国際問題、政治問題をお送りします。
 
1級河川の堤防が次々に決壊する映像を見ていると、無力感だけが募ります。
巷では「コンクリートから人へ」のキャッチコピーとともに公共工事予算を大幅にカットした民主党政権への批判が聞かれますが、その政権を選択した国民の責任でもあります。
しかし、過去への反省も必要ですが、問題は今後です。
政府の中長期に渡る具体的な対策を聞きたいものです。
 
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┃★韓国はいつもの道をたどる?                   ┃
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韓国の国(チョ・グク)法務部長官が14日、電撃的に辞意を表明した。
家族を守るためのような釈明をしていたが、明らかに、文在寅大統領が、やむを得ずチョ長官のクビを切ったということであろう。
就任わずか35日で、側近中の側近のクビを切るという失態を犯した文大統領の指導力が大きく削がれることは否めない。
「チョ長官を守れ」と大々的なデモを仕掛けた民主労組などの支持勢力の勢いを大きく削ぐことが分かっているのに、文大統領は、なぜ盟友ともいえるチョ長官のクビを切ったのであろうか。
今後、チョ氏の逮捕という最悪の事態も予想されるだけに、この選択の裏が気になるところである。
 
しかし、その答えは、簡単に察しが付く。
左右両派のデモが激化の一途をたどり、大量動員を競い合う異常事態になっている。
双方が「〇百万人動員」と、韓国らしい誇大宣伝を繰り広げているが、実際、相当数の韓国民がこのデモ騒動に巻き込まれている。
まるで、韓国には国会がなく、街頭動員で雌雄を決するような事態に、韓国メディアは「代議制民主主義が崩壊する」と警鐘を鳴らしている。
 
そもそも、2016年の朴槿恵(パク・クネ)前大統領の退陣につながった「ろうそくデモ」を「民主主義の精華」と誇っていたのは、その韓国メディアなので、呆れる話だが。
なにしろ、臆面もなく、あの「ろうそくデモ」を、英国名誉革命、フランス革命、米国独立革命と並ぶ「世界4大革命の1つ」と自画自賛していたくらいである。
さらに、「安倍政権をデモで引きずり降ろせない日本は遅れている」と日本を誹謗し、「そんな日本国民は韓国を羨ましがっている」とまで書いていたのだ。
バカバカしくて反論する気もない日本が黙っていると、さらに勝ち誇るというバカバカしさである。
 
こうした事態に、日本では「クーデターが起きるのでは」といった論調も見受けられるが、当の韓国では「今の韓国軍幹部はサラリーマン化していて、そんな気もないだろう」と思われている。
 
かつて、クーデターで政権を握った朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の時代に、私は初めて韓国を訪れた。
仕事で渡韓したのですが、ちょうど戒厳令が敷かれていた時だった。
やたら軍による検問所が設けられ、仕事場に行くにも何度もパスポートの提示を求められた。
夜ともなると夜間外出禁止令で、文字通り「猫の子一匹いない」状態となり、小銃を構え街頭に立つ兵隊の姿が通りに不気味なシルエットを映し出していた。
 
その頃の韓国軍には、朴正煕や全斗煥(チョン・ドファン)といった国軍を掌握していた将軍たちがいましたが、今はそうした軍人が見当たらない。
もしかしたら、退役した将軍が復活して・・という可能性も否定はしないが・・
民主化の成果ともいえるが、「左右どちらかしか生き残れない」という“未成熟な民主化”である。
文大統領も、相手意見の尊重などは全く考えず、保守勢力を「積幣」として弾圧するのみだ。
ゆえに、国会はあっても機能せず、結局、デモという「街頭政治」で国政が動くという、まさにフランス革命時代の政治が韓国の政治なのだ。
国民が選んだ代理人による国会で、与野党が調整と妥協を通して国政を決定する、という「代議制民主主義」が機能する日が、この国にいつ訪れるのであろうか、と思うのみである。
 
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┃★トランプはもうダメ?                      ┃
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7ヶ月ぶりに行われた米朝実務者協議は、北朝鮮は「決裂」、米国は「良い議論だった」と真反対の声明を出して終わった。
声明の内容をよく読むと、「決裂」のほうが正しい見方のように思える。
北朝鮮側には、これまで制裁解除の見返りもないまま、核実験の中止やICBMの発射を自粛してきたのに、アメリカは何の譲歩も示していないとの不満が募っていた。
一方、アメリカとしてみれば、北朝鮮が核放棄への道を明確に示さない以上、部分的といえども制裁解除に応じるわけにはいかない。
これでは、折り合うはずもない会談だったわけである。
 
北朝鮮としては、まだ、トランプ大統領と金正恩との個人的関係に期待しているのか、大統領への直接的な非難は自粛している。
しかし、声明の言葉の端々にトランプ大統領への不満が現れ出している。
不満が爆発するのも時間の問題であろう。
 
さて、一方のトランプ大統領だが、この会談結果に対してさっぱり反応を示さない。
今は、中東のことで頭が一杯なようである。
トルコが始めたシリア領内のクルド人勢力への攻撃に対し、シリア駐留の米軍を撤退するというちぐはぐな声明に米国でも批判が出ている。
絶望したクルド人勢力は、シリアのアサド政権および後ろ盾のロシアと手を結ぶという声明を出した。
イスラム国掃討に大きな力となり、米国寄りであったクルド人勢力を敵対側に寄せるという大失態となった。
トランプ大統領は、慌ててシリア残留の米軍の撤退を撤回する意向を示したが、泥縄の感は免れない。
 
ここに来て、トランプ大統領の弱点が徐々に露呈してきた。
彼は、軍事能力ゼロの大統領なのである。
ツイッターで吠えまくるのは、彼の弱さの裏返しで、本当はかなりの小心者ということが米国民にも分かってきたようである。
軍事能力の弱さを補う意味で国防長官にしたはずのマティスを切ったのは、マティスの存在によって自分の弱さが露呈し始めたことが原因で、強硬派のボルトンを切ったのも、彼の
方が強いからである。
 
米国民の望む大統領は、昔も今も二丁拳銃を携えた正義の保安官である。
決して自分からは銃を抜かないが、相手が銃把に手を掛けたなら躊躇なく早撃ちで相手を倒せる能力を持った保安官である。
 
米国に住んでいる妹が一時帰国しているが、「アメリカではトランプ人気はガタ落ちで、再選は無理という見方が多くなっているよ」と言う。
ただ、民主党の候補がみな弱すぎて、それに助けられているだけという。
米国も人材難・・なのである。
 
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┃★民主主義で軍事力は不要になる?(1)              ┃
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戦前の日本は、帝国主義国家であった。
帝国主義とは、自国の領土や覇権を広げるため、他国への侵略や合意を得ない領土拡張を国策とする主義と定義されている。
その定義どおり、日本は、朝鮮、台湾、樺太と領土を広げ、中国北東部に傀儡国家の満州国を建国するに至った。
現代の国際常識から言えば、こうした行動は“いけない”行為とされる。
しかし、そうした行動を違法行為とする国際法は、現在でも成立していないし、その手段として戦争を起こすことを違法とする法律さえ存在していない。
わずかに国連安保理決議があるのみである。
これが世界の現実なのである。
 
戦前の大国や強国は、すべて帝国主義国家であり、それが世界の常識であった。
英国、仏国、ロシア、スペイン、オランダ、米国などは、もちろん帝国主義国家であった。
しかも、多くの国は、現代につながる民主選挙による議会を持っていた。
民主主義が非帝国主義とはいえない所以である。
 
日本は、74年前の敗戦で民主主義国家へ衣替えした。
その衣替えは日本国民の自主的な意志ではなく、米国の意志に無条件に従ったものであった。
GHQ(占領軍)司令官となったマッカーサーは、日本を軍事力なき民主主義国家として再建しようと考え、日本の軍事力を完全に解体した。
終戦時の日本は、海軍こそ壊滅状態であったが、それでも200万の陸軍と1万期の戦闘機を擁していたというから、軍事国家のままであった。
実際、マッカーサーは、日本軍によるクーデターを覚悟していたという。
厚木飛行場に、パイプをくわえながら悠然と降り立つ彼の写真は有名だが、内心は、日本軍による狙撃にビクビクだったという。
「せめて拳銃の携帯を」という幕僚たちの説得を拒否して丸腰でタラップに立ったのは、自分の勇気を内外に示す目的だったといわれている。
ゆえに、日本を非武装の民主主義国家にするという彼の理想は本物だったといえるのである。
 
それから2年後に制定させた新憲法によって戦争を放棄させ、そのための戦力(軍事力)は持たないと宣言させたのだが・・
その理想はあっけなく砕かれ、日本は、今や世界第6位と言われる強力な軍隊を持つに至っている。
戦前の大日本帝国の軍事力は、世界第3位であったといえるので、その能力に近づいているのである。
 
平和国家=民主主義国家という図式は確かにあるが、民主主義国家=非軍事国家とはならない。
戦後の日本の歩みはそのことを証明しているのであろうか。
このことをもっと考えてみたいと思う。
 
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┃★第一列島線の攻防(2)                    ┃
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日本にとって「第一列島線の攻防」の最前線ともいえるのが尖閣諸島だが、最近、めっきり報道が減っている。
では、中国による領海侵犯が減ってきているのかといえば、そうではない。
逆に増えている。
マスコミの報道が減っているだけのことであり、それだけ国民の関心が薄らいでいる証拠でもある。
中国からしたら、そこが付け目であろう。
領海侵犯を既成事実化し、やがて実力で海上保安庁の巡視船を追い払い、実効支配を企んでいることは明白である。
 
現在の日中関係は、表面では良好である。
背景に米中激突の国際情勢があるのは誰もが分かっているが、中国側から考察してみると、相当な危機的状況にあることが分かる。
つまり、中国は余裕がなくなってきているのである。
 
中国は、最大の脅威である米空母艦隊の接近を阻止し、中国の領域に入ることを拒否する、いわゆるA2/D2戦略を、防衛の基軸にして急ピッチで軍事力を増強してきた。
その防衛ラインとして第1列島線を設定し、“短期高烈度の戦い”で、列島線の内側に米艦隊を入れないという軍事強化を主軸としてきた。
実際、中国の沿岸部には数千といわれる対艦弾道ミサイル網が整備されている。
これにより、習近平主席は列島線の内側に入ってきた米艦隊を完全に殲滅できるという自信を深めた。
 
しかし、トランプ大統領同様、習近平主席も軍事の素人である。
ただ、米国は大統領に能力がなくとも、軍首脳は優秀であり、豊富な国防費を使い、有効な戦略を実行に移せる。
これに対し、中国は独裁国家であるため、個人の能力に依存してしまう。
この弊害を緩和するため、トップ7人(以前は9人)による合議制を採っていたのだが、習近平主席は自身の独裁制強化へひた走っている。
これが、中国の最大の弱点となっている。
 
この10年、米国は、中国のA2/D2(接近阻止・領域拒否)戦略を圧倒する新戦略を研究し、2019年5月に、MPS =Maritime Pressure Strategy(海洋圧迫戦略)を発表した。
この詳細は次回述べるが、第一列島線に位置する日本が無関係でいられるはずはない。
米国のこの戦略には、自衛隊との共同作戦が重要な要素となっている。
2020年以降、日米の共同軍事演習は、この戦略に沿って大きく様変わりしていくであろう。
日本は、否応なしに新たな冷戦の最前線に立たされることになるのである。
 
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<編集後記>
私の嫌いな言葉のひとつに「知恵を出し合え」があります。
総論としては至極まともな言葉です。
しかし、例えば今の日韓関係について、新聞が「知恵を出し合え」と書く場合はどうでしょうか。
私は、その新聞社が、自分に知恵を出す能力がないことを露呈した“逃げ”と解釈します。
会社で、トップが同じような言葉を幹部や社員に投げる時も同じです。
そう言いそうになったら、「やばい、自分の知恵の無さを露呈するところだった」と自制したほうが良いです。
要するに逃げの言葉ですから。
 
サラリーマン時代、上からこの言葉を言われた時、「あんたに知恵があんのかよ」と反発したくなりました。
もちろん、口には出せませんでしたが・・
 
 
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